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【完結】✴︎私と結婚しない王太子(あなた)に存在価値はありませんのよ?【改訂版】  作者: 綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢をよろしく
本編

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第39話 準備は万全でした

 ピクニック計画を聞くなり、リオ兄様のお頬が緩みました。


「それはいい考えだよ、フランカと僕も参加するね」


 穏やかな表情で賛同するリオ兄様は、昨夜どこかへ出かけて朝まで戻りませんでした。でもフランカが何も聞かないなら、行き先を事前に知らされていたのね。


 以前にフランカとリオ兄様は何やら不思議な話をしていた。前世の記憶、ゲームがどうの……盗み聞きするつもりはなく、すぐにその場から離れたけれど。


 恋人同士の会話なら私が知る必要のないことだもの。知るべきなら、2人は教えてくれるわ。だから何も聞かないのが、私の信頼の示し方よ。


「僕が陛下をお誘いしてくるから、準備して待ってて」


 明け方に戻ったばかりなのに、兄は馬を用意すると駆けだしました。公爵家の屋敷から王城までは近いですが、寝不足の身では危険では? この後もお出かけになるのだし、帰りが遅くなったら疲れがたまるのではありませんか……とても心配です。


 ぐるぐると考え、思い切って提案してみました。


「ねえ、フランカ。リオ兄様は寝不足だろうから、馬車で出かけるのはどうかしら」


 それなら御者がいるから、往復寝ていられます。馬から落ちる心配もありませんし。


「あら、リオなら平気よ。そうだわ! 親しくなるために、横抱きで馬に乗せていただくといいわ」


 婚約者の心配より、こちらの運命の恋を優先する親友は鼻歌交じりに侍女と打ち合わせを再開しました。持っていく食事、お茶の道具、連れていく侍女や騎士の数……あっという間に準備が整っていきます。手際が良すぎて、魔法を見ているようですわ。


「ティファの服も決めなくちゃ」


「これではダメなの?」


 いま着ているのはシンプルなワンピースです。先ほど着替えたばかりですし、フリルやレースは少なめでした。これならピクニックでも動きやすいと思うのですけれど。


「ダメよ。だって恋人に会いに行く服装じゃないもの」


「恋人……」


 今の私とテユ様にふさわしい表現じゃないと思います。テユ様は好きと言葉をくださるけれど、私は浮かれているだけで自分の気持ちが理解できていません。


「これにしましょう」


 舞踏会や宴に着るドレスとは違うけれど、普段のワンピースとも違うデザインでした。確かに外出用に作らせたけれど……本当にこれを着るの? ピクニックなのよ。抗議と疑問の声は、フランカの笑顔に飲み込まれます。


「手伝って頂戴」


 公爵家のメイドをすでに掌握した未来の女夫人の命令で、私はあっという間に着替えさせられ、髪を高い位置で結ぶことになりました。


「ちょっと、髪をすべてあげたらマナー違反だわ」


「もう関係ないと思うけど、そうね……ならば両脇に残しましょうか」


 何とか思いとどまってもらえました。未婚なのにすべての髪を結んだら、変な評判が立ってしまうわ。顔の両側に髪を残し、大半の髪を後ろで留め直しました。


「これ、ポニーテールっていうの。馬の尻尾みたいでしょ?」


 くすくす笑いながら教えてくれるフランカは、自分も同じように上でひとつに括った。もちろん説得して耳を隠すように左右の髪を下させましたけれど。黒髪を後ろにまとめると、途端に雰囲気が変わりますのね。すごく大人っぽいし、色っぽいですわ。


 この髪型、動きやすくて便利。気に入って鏡を覗いていると、侍女は慣れた手つきで薄化粧を施してきました。いつも思うのですけれど、私に侍女のお仕事は無理でしょうね。気遣いも器用さも負けておりますもの。彼女達がいないと、外へ出られる恰好に整える自信がありませんわ。


「そろそろ準備が出来たかしら」


 運ばれるバスケットは大きく、複数用意されました。敷物やクッション、タオルなどはもちろん、食べ物やお茶のセットも用意されます。着替えは要らないと思うのですが? 馬車なら持っていけるけど、馬に乗ったら無理な量ではないかしら。


「馬に乗らないでしょう?」


「馬に乗るのは私達だけだもの。馬車は先に湖の辺りに行ってもらうわ」


 心得たように侍女は、用意したものを馬車に運び込みます。この部屋に運んだのは、何を用意したか見せるためでしたのね。2頭の馬に引かれて馬車が先に出発します。見送ったフランカが、テラスから目を凝らしました。


「そろそろ、リオが帰ってくる頃じゃない?」


 隣に並んだ私は、思いがけない姿に目を見開いていました。空の上を指差し、「あれ」と指摘するのが精一杯です。


 黄金の竜がひらりと空を舞う――竜は復活したのですし、テユ様をいれて13人もいらっしゃるのだから、どなたか飛ぶでしょうけれど。何か手に持っているようですわ。


 昨夜見た竜より一回り大きい気がしました。屋敷の上で一回転し、旋回して高度を落とします。目的地は、この屋敷ですの?

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