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それから二年後
お互い忙しくなってしまい、以前のように頻繁にゲームは出来なくなった。けれど、月に一度は会うことにしていた。もちろん会合場所はゲーム内のチャットだ。
「今日、日本学校の先生に習字上手くなったって褒められたんだよ。アップするから見てよ」
「どれどれ、本当だ、上手くなったね、エリオ。また私がオンラインで指導してあげるね」
「うん!」
「私もコーヒー煎れるの上手くなったんだから」
「菜々美の作ったコーヒー早く飲みたいよ」
「エリオのために美味しいノンカフェインコーヒーを作るからね」
互いのことを知るうちに、二人の夢はどうやら入れ替わったようだ。
夢を持つのは良いことだ。
ならば、ふとしたきっかけで、夢が変わることだって良いはずだ。
書道の先生になり、バリスタになり、二人が出会うのは、また別のお話。