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僕がなりたい主人公  作者: 白瑠璃
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敵?味方?

 放課後俺は根賀に屋上へと呼び出された。根賀のあの宣言の後クラスは収拾がつかないくらいに荒れ、休み時間になるたびに俺と根賀のところには人が集まる騒ぎになった。しかし根賀は喋らないし、俺に聞かれたところで俺も根賀については今日初めて会ってどんな人物か知らないのでクラスメイトの質問に答えることが出来ずにいた。それが功を奏したのか徐々に人込みが少なくなっていき放課後には根賀から呼び出されるくらいには騒ぎは落ち着いた。

 屋上の扉を開けるとすでに根賀は居た。転落防止用のガードに寄りかかり俺を待っていた。

「来たか・・・。」

根賀はそう呟くと俺の前に歩いてきた。

「逃げずに来たことを誉めてやろう。朝にお前に宣言した通り、お前からミコトの存在を貰い受ける。」

「ちょっと待ってくれ!その前にお前にいくつか聞きたいことがある。」

俺がそういうと根賀は若干眉をひそめたがすぐに元の機嫌悪そうな顔に戻した。

「・・・お前もミコトと関わった人間だ。聞く権利はある。何が聞きたい?」

話を聞かないタイプかと思ったが意外と聞いてくれるようだ。

「じゃあまずは、お前とミコトさんはどんな関係なんだ?」

根賀がミコトさんと知り合いなのはわかる。だがどんな関係なのかはわからない。もしかしたらミコトさんの敵でその存在が宿った因子の欠片を壊しに来たのかもしれない。だからまずは二人の関係性を知らなければならない。

「なんだ、そんな事か。俺とミコトの関係はパートナーだ。お互いに主人公の因子の欠片を宿していたために良く二人で相談したり行動を共にすることもあった。」

「それってつまり・・・・二人は付き合っていたの?」

「っ!ゴホッ・・・ケホッ・・・。」

俺が問いかけると根賀は動揺してむせた。

「な、何故そうなる!」

「いや、だってミコトさんの話をするとき顔がうれしそうだったから・・・。」

そう、根賀がミコトさんの話をしていた瞬間は機嫌が悪い表情どころか薄くだが微笑んでいたのだ。

「はぁ・・・。俺とミコトはそういう関係ではなかった。だが俺はミコトの事が好きだった。今でも愛している。」

そういった根賀の顔はこれまでで一番真剣な表情をしていた。

「そうか・・・それで俺を恨んでいるのか。本当にすまなかった!謝って済む問題じゃないことじゃないことは分かっている。でも、今の俺には謝ることしか出来ない!でも、その代わり俺は誓う!必ずミコトさんを生き返らせることを!」

俺は根賀にそう決意を宣言した。

「ミコトを・・・生き返らせるだと?それがどんなに不可能に近いことか分かっているのか!?この世に存在する主人公、悪役を合わせても人を生き返らせる力を持てるのは類いまれな才能を持つ一部の奴らのさらに一部の奴らだけだ!お前には不可能だ!だから俺はお前を殺しせめて俺の中でミコトを生きさせるんだ!」

!?今なんていった?俺を殺す?

「ちょっと待て落ち着け!俺が死んだら俺の存在が因子に食われてミコトさんの魂の力に上書きされるんだろ!?なら俺を殺してもミコトさんが消えるだけだぞ!」

「良く知っているな。だが何事にも例外がある。因子の力を持つもの同士ががぶつかった場合は相手に勝った方に因子は譲渡され、自分の持つ因子の欠片と融合し成長させる。つまり、お前は死ぬが因子の欠片は譲渡という形になるためお前の存在を食らい因子に成長することなく俺に取り込まれることになる。だから安心して死ね!」

根賀はそういうと手を前に突き出した。

「顕現せよ!我が武具!レーヴァテイン!」

根賀がそう叫んだ瞬間根賀の手の中には黒い炎を纏った木の杖があった。

「レーヴァテイン!モード・ソード!」

根賀がそういうと木の杖に纏わりついていた黒い炎が剣の形に姿を変えた。

「嘘だろ・・・。」

黒い炎からは熱さを感じないがそこから発せられている存在感は圧倒的なものであった。

「覚悟は良いな・・・。死ねぇええぇぇぇぇ!」

俺に向かってレーヴァテインが振り落とされる。間違いなく俺は死ぬのだろう。そう思った瞬間時の流れがゆっくりになり、今までの人生の映像が頭の中に流れていった。

あぁこれが走馬灯か・・・。短い人生だったな。まぁこれは俺の罰なんだろう。自分勝手な行動でミコトさんを死なせてしまったことの。そして走馬灯も終わりに差し掛かってきたのか頭に流れる映像は最近のものであった。そこに移っていたのは俺がミコトさんに助けられ気を失った後の映像であった。

 「ごめんね。戦いに巻き込んじゃって。私はもう生きることはかなわないけど私の分まで生きてね・・・。はぁこんなことならもっと友達と遊んだり彼氏を作ったりしてもっと楽しめばよかったかなぁ・・・。まぁでも最後に誰かを守れたんだから主人公としては中々いい終わり方なのかなぁ。・・・う・・・うぅ・・・ぐすっ。もっと生きていたかったなぁ。せめてこの子には私が歩めなかった分楽しい人生になれますように。」

ミコトは自分が死ぬ間際でも僕の心配をしていた。

「あぁ・・・眠くなってきたなぁ。来世では静かに平凡に暮らせますように・・・」

そう彼女は呟いた次の瞬間光に包まれ小さい球場になり俺の体に吸い込まれていった。

・・・今のはミコトさんの記憶?そうかミコトさんの存在を取り込んだ因子の欠片が俺の中に取り込まれたことでミコトさんの記憶が共有されたのか。ミコトさんは最後まで俺の事を心配してこれから生きることを望んでいた。なのに俺が今ここで生きるのを諦めて根賀に殺されるわけにはいかない!

「俺はミコトさんの為にもここで死ぬわけには行かないんだぁ!」

そう叫んだ瞬間俺の体を光が包み込み根賀のレーヴァテインを弾き返した。

「何っ!?お前今何をした!?」

根賀がそう叫ぶが俺にも良く分からない。だが俺を包むこの光は凄く温かく落ち着く。俺を包んでいた光は小さな球場になり俺の前まで移動した。そこで一際大きな光を放った。俺も根賀もそのあまりの光量に思わず目を瞑る。一拍置き光が小さくなり完全に無くなるとそこには一人の少女、神崎ミコトが居た。

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