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気に入らないメイド  作者: 汐月綾音
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初日の薄幸

(嘘だろ?)


なんで、なんでお前がここにいるんだ?



(思い出した!)

永瀬色葉は、一条奏と同年であり、奏の監視役でもある。

そのため、同じ高校へ行き、奏にお怪我のないよう使える。


(今思い出すなんて...しかも同じクラスとか....)



(最悪ッツ!!)


思わず教室の入り口で立ち止まってしまった。

「おいそこのお前、早く入れー」


後ろから肩をトントンと優しくたたかれ、振り向くと少し男前で若い女性が話しかけてきた。

多分、担任だろうか。

「すみません」


最初は愛想良く、笑顔で謝った。

(笑顔で謝るって逆効果なのかな)

ま、いっか。と指定の席に着く。


全員が席に着いたところで、さっきの担任らしき女性が教卓に手を乗せた。

「今日からお前らの担任の宇佐美だ。覚えておけ。」

そう告げて、順番に自己紹介するよう言い放った。

ちなみに俺は1番だ。

起立をして深呼吸をしてから皆の方に笑顔を向ける。

「一条奏です。よろしくお願いします」

愛想良く、言うと、所々で女子たちがざわざわしている。


「おい、一条、自己アピールないのか?好きなこととかなんでもいいぞ」

(好きなこと....か)


「ごめんなさい、趣味とかそういうのあまりなくて」

ニコッとして言う。担任をため息をして

「じゃあ、一条に質問ある人いるかー?」


声を張って尋ねる。みんなざわざわしているなか一人の女子が手を上げようとしたとき、それより早く手をあげたやつがいた。

(げっ..)

永瀬色葉だ。

(なんでお前なんだよ!!!)


「おー永瀬?だよな。なんだ?」

担任が聞くと永瀬は、

「今日の夕飯は何を食べたいですか」

無表情で俺に質問した。


何故今聞くのかよくわからないが、とりあえずみんなが見てるので、愛想良く。

「今日の夕飯か...えーっと、カレーが食べたいですね」

たまたま「カレー太郎」という文字が描かれたトラックが通ったので、そこから取った。

「そうですか」


たった一言だけいって席に着いた。

(それだけ?)

なんかイラついてきた。

他の生徒が次々と自己紹介をしていたが、全く耳に入ってこなかった。


休み時間になったとき、4、5人の女子が俺の前に来た。

「い、一条くんだよねっ?カレー好きなの?」

顔を赤らめながら必死に聞いてきた。

「え、あーうん。多分、好きだと思う。」

なんとも曖昧な返事だったが、それで十分だったらしい。

喜んで「料理の勉強してくる!!」といって一人はどこかに行ってしまった。

他の女子生徒も俺になんらかの質問をしてきたが、それを遮るかのように、

「ちょっといいですか」

とあの女が輪に入ってきた。


「あ、一条君に?ですか?」

「ええ」

そう聞いて他の女子たちは俺の前から去った。

「お父様から今日の晩、お屋敷を訪ねるようご連絡が来ました。学校が終わり次第、車を用意し出発します。よろしいでしょうか」


完全に業務連絡だ。声にハリもないし、表情も不愛想。

(本当、なんなんだこいつ。むかつくなぁ)

「わかったよ、でも車はいらない。俺は一人で歩いていく。いいな?」


「...」

少し黙ってから「わかりました」と言って教室を出た。


その後、この学校についていろいろ説明を聞き、一日目は終了した。


「では、お先にお待ちしております」

そう告げ、さきに向かったメイドを目で追い、いなくなった時に俺は


屋敷とは逆方向に走った。


二話目です。次回は「囚われ人」。

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