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参本目 犯人は闇に踊る、探偵は空に祈る

 ガチャッ

 コツッコツッコツッ

「クックック、これで、最後だ。へっへ、ざまぁ見やがれ」

 バンッ

「そうは問屋が」

「卸さない!」

 ドアが勢いよく開かれたそこには、二人の探偵が!という感じで登場した。

「な、クソっ!バレた?なぜだ?!世間はもう魁とかいう奴が犯人だと思い込んでやがったのに!」

 ドッキリ大成功である。さっきまでの余裕のある顔が、焦りと動揺とに、みるみる染まってゆく。これが見たかった。

「そんなあなたに、わざわざ説明してあげる!まず、今回倒されたビルは、その全てが、基礎を溶かされて倒壊していた。この時点でただの人間には不可能。そして、ビルは倒壊するのに必要最低限の箇所だけが溶かされていた。すこしかじったようなアマチュアでは無理なほど的確に。つまり、建築関係の経験がない魁氏は容疑者から外される。さらに、倒されたビルには魁氏の復讐相手の会社が経営している店があること以外に、もうひとつ共通点があった。あなたが以前務めていた建設会社が建てたこと。ならば次の襲撃場所は、唯一の生き残りのここしかないのよ!」

 ドヤァ

 待ってましたと言わんばかりに1歩進み出て、長々と説明し、渾身のドヤ顔を決めた。

 ほとんど姉の受け売りであるが。

「ふ。なるほどな。完璧な推理だ。しかし、別にいい。そう、その通り、後はここだけだ。ここらへんの柱を潰せば終わりだ。フッフッフッハッハッハッハ」

 男はキードを取り出す。

「ハッハッハッハブァ」

 バイーン

 地下は天井(1階の床)に手が届くので、事前に社員さんに協力してもらって、犯人が立つであろう位置の上の部屋に、タライを設置した。相手がヴィーナスを使う前に、先に天井に穴を開ければおーけー。落ちてきても軽傷ですむ安全性と、ビジュアル的観点から考えた結果、タライが採用された。

 当たりどころが良かったのか悪かったのか、犯人は上手く気絶してくれたようだ。

 犯人の頭の上にお星様が踊っているスキに、一気に取り押さえる。こんな状態なら、女二人でもなんとかなるもので、来がけに買ってきたロープでぐるぐる巻きにした。


「くっそぉ、あと、あと一つだったのにぃ」

 ビタンビタンッ

「おはようございます。ケーサツは呼んであるので、もう少しそこで這いつくばっててくださいね」

「お姉ちゃん、マスタード取って」

 あんパンをモグモグ。思ってたよりずっと早く来たので、食べる暇がなかった。

「くっ、ケーサツ呼ぶって、お前らケーサツじゃないのかよ、ナニモンなんだよ!」

「あ、聞いちゃいます?ではでは、美浜、カレーパン早く飲み込んで!…ゴホン」


「猫探しから爆破予告、」

「浮気調査から完全犯罪までなんでもござれ。」

「「糸玉異能力探偵事務所から参りました!」」

「姉の有田川(ありだがわ)由良(ゆら)です」

「妹の有田川美浜(みはま)だよ」

「………こんなのに負けたのか。じゃあ最後にもう一つだけ。なんで俺が犯人だって分かったんだ。さっきの説明だと、俺が犯人とまでは特定できないんじゃないか?それに犯行日時もバラバラにしていたのに」

「分かりっこないに決まっているでしょう。そもそも私たちは、あなたの名前だって知らないのよ。ただね、どんなバカだって、現行犯逮捕はできるの」

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