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学祭ホリック  作者: 葉月希与
第三章 微かなる望み託して
9/27

幕間1

    ◇    ◇    ◇


 晃仁たちに言われるまで気付かなかったなんて、凄く不覚なのだけれども、それを今言ってもしょうがない。そう思いつつ一番瘴気の濃い場所に向かったのはいいのだけれど、扉を開けた瞬間に凄まじい瘴気の塊が飛び出てきた。

「なによ、この瘴気」

「こんなところに普通の人が長くいたら大変なことになりますよ」

「というか、すでに大変なことになってないか?」

 見ると部屋の奥で何人かの生徒が倒れていた。でも、

「あれは大丈夫でしょ。ただ寝てるだけみたいだし」

「そうですね。それよりも問題なのがいるはずです」

 そう言いながら私と遥華は同時に同じような方向を向く。そこには、倒れている生徒の中に一人佇む少女がいた。

「…え、女の子?」

 晃仁はポカンとそんなことを呟いてたけど、あの子がこの瘴気の大元なのは間違いない。

「あれ? 邪魔者が来ちゃった…」

 私たちの視線が少女に向くと、彼女はそう呟きながらこちらに振り返る。黒髪と制服に碧眼が怪しく輝いていた。

「誰よ、あなた」

「人間の体を使って何をする気ですか」

 そんな私と遥華の質問に少女は薄い笑みを浮かべ、

「ほんと、うるさいハエ…」

 そう言いながら人差し指をこちらに向けると、少女から瘴気の塊が一気に向かってきた。

「晃仁さん、私たちの傍から離れないようにしてください」

「あ、あぁ」

「…っ」

 遥華と私は急いで防護壁のような結界を張る。

「なんなの、この瘴気の濃さは」

「…」

 その瘴気はとてつもなく濃く、二人で張った結界がすでにヒビだらけになっている。

「この力すごい、もっと欲しい」

 濃い瘴気の向こうで少女がそう言いながら、鞭を振るうような動きをすると、濃い瘴気の中から一筋、結界に叩き落とされる。

 ビシッ、バシッ。

 それはあらゆる方向から振るわれ、その度に結界にはヒビが入る。

「…美樹ちゃん」

「解ってるわよ!」

 結界が壊れてしまうことを心配したんだと思ったんだけど、

「ううん、そうじゃなくて」

 そう言うと遥華は私に耳打ちをしてきた。

「……」

 私は晃仁を横目で見て黙考した。

 それしかない。

 そう思えた。だけど、この結界を自分から消すのはムカつくので、最後まで頑張ってもらうことにする。

 バシッ、バリッ、バキッ。

「くっ…」

「うっ…」

「うわっ」

 結界が崩壊した直後、濃い瘴気が一気に私たちにぶつかり、そのまま弾き飛ばした。

「……晃…仁…」


    ◇    ◇    ◇

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