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学祭ホリック  作者: 葉月希与
第三章 微かなる望み託して
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N 前兆は既に過ぎて

 目を開ける。部室の風景が目に飛び込んでくる。いつの間に眠っていたのだろうか。

「…あれ?」

 ふとユリエたちの方を見ると、ユリエが薄く、透けて見えた。だが、すぐに元の姿に戻る。気のせい…なのだろうか。

「どうかされました?」

 サユリが口元に笑みを浮かべて聞いてきた。となりではユリエが伺うような表情でこちらを向いている。そういえば、ユリエの碧眼がいつもより暗いような気がする。

「え? いや、なんか、一瞬ユリエが薄く見えたんだ」

「…見間違い」

「そうですよ。ユリエが薄く見えるなんてことないですよ。疲れてるんじゃないですか?」

 サユリが少しビクってした気がする。

「そんなことはないと思うんだが…」

「…寝て…、それでユメ(・・)を見ればいいと思う」

 ユリエが少したどたどしく言う。

「そうですよ。明日は文化祭なんですよね? 疲れていては楽しめないですよ」

 サユリが少し慌てるように言う。

「そうかな?」

 一理あるような気もする。

「そうです。それに、今日は完全下校時間とかは無いはずでしたよね」

「あぁ、確かにそうだな」

「でしたら、ゆっくりお休みください」

 こいつらがここまで言うのも気になるが、思考がうまく働かない。本当に疲労しているのかもしれない。なので、俺は再び机に突っ伏す。

「…ユメを見ていた方が楽しいと思う」

「そうですね。それに、明日はいろいろすることがあるでしょうから…」

 眠りに就く直前、二人が何かを呟いた気がした。

「……やっと捕らえた」

「…でも、まだ邪魔なのがいるはず」

「……時間の問題、すぐに見つかる」

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