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人発見…

(うーん…眩しい…)


目が覚めかけているのを自覚しているが、心地よい微睡みは手放し難い。


寝転ぼうとすると、柔らかい何かに触れる、


(ん?…)


ようやく目を開くと、至近距離で一対の目と合う。


「おはよう」


にこやかな笑顔で香奈美が言う。


寝起きからすでに鼓動が半端ないが、


「お…はよう…」


なんとか、返事は変えせたはず…?





いつまでもこんな生活は続けられないので、今日は本格的に移動することにした。


とりあえず、人を探さなければ!


香奈美に飛んでもらい、上からの散策もおこなう。




日が上り、おそらく昼くらい。


(お腹すいたな…)


流石に空腹も無視できない状態になってきた。


香奈美がまた飛んで周りを見てもらっていたので、降りてきたら声をかけようと考えていたら、ちょうど降りてきた。


「香奈…

「ごめん祐!」


何故か謝られた。


「ん?」


… バサ……バサッ……バァサッ


何やら不吉な音が聞こえてくる。


「鬼に見つかっちゃった」


この状況で、最悪の事態。

しかし、凹んでもいられない。

音からしてかなり大きそうだ。


そして、


「キギャァァー」


その鬼は姿を現した。


見たことのない鬼である。

頭部は蜥蜴に似ている。手自体が翼で足は太い。尻尾も蜥蜴のような尻尾。身体は黒一色で、棘らしきものがたくさん生えている。


そして、でかい。


軽く10mは超えているだろう、特大級だ。


ズウゥゥゥン


その鬼が祐武たちの前に降り立った。


「ギギャァァーー」


威嚇して、突進してくる。


無意識に腰に手をやるが、刀がないことを思い出し、慌てて回避する。


香奈美はすでに覚醒して、上空に飛び回避していた。


「任せて!」


香奈美は自身満々に言うと、両手を上にかざして、氣を集中させる。


みるみる氣弾は大きくなり、香奈美の身体より大きくなり、直径が3mくらいの特大の氣弾をつくる。


鬼が香奈美に気づき、香奈美に向かって飛ぼうとしたところに氣弾を撃ち落とす。


ドオォォォーーーン


衝撃波が半端ない。


祐武も吹き飛ばされ、辛うじててを伸ばして届いた木の枝を掴む。




ようやく落ち着き、砂煙が晴れたあとには直径、何十mにも及ぶ穴が空いていた。


おそらく鬼は一瞬で蒸発してしまったのだろう。灰すら残っていなかった。


「祐ーーーーっ!」


そこへ、香奈美が飛び込んでくる。まだ覚醒したままなので、かなりの衝撃で祐武は再び吹っ飛ばされる。


「うぇーーん、死んだかと思ったよー」


(いやいや、こっちも死ぬかと思ったよ)


とは言えず、よしよしと頭をなでる。





香奈美が落ち着いてから起き上がり、改めて穴を見る。


「すごっ………ん?」


穴の底に、キラッと何かが反射した。


(なんだろう?)


「香奈美、あの光ってるやつ、取ってこれる?」

「どれ?」

「あの底で反射してるやつ」

「えーと?……あっ、あれ?分かった」


香奈美に取ってきてもらうと、人の顔くらいの大きさの球だった。


滑らかな表面で、基本は黒色なのだが、どういうことなのか、内部で赤い炎が燃えているようにみえる。


おそらく、倒した鬼が持っていたのだろう。


見かけほど重くはなかったので、とりあえず持っていくことにする。




それからまた移動を始め、香奈美に慎重に飛んでもらっていると、


「祐、あっちの方で鬼が何匹か旋回してる。何かあるかも」

「とりあえず、様子を見に行ってみようか」


何も手がかりがないので、可能性があるなら行った方がいいと思う。


香奈美に降りるように言い、徒歩で向かうことにした。





目的の場所に近づくと、鬼の鳴く声の他に、武器の音、そして、人の声が聞こえてきた。


「人がいる!」

「うん!」


おそらく人が鬼と闘っているのだと推測し、急いで向かう。


戦闘が起こっている場所が見える位置まで行って、少し様子をみる。


助けたいのは山々だが、慎重になるのも仕方ない。ここは、自分達はこの場所のことを何も知らないから。



そこにいたのは、やはり人と鬼だった。


馬車らしき乗り物の周りに人が10人くらいいるが、その内3人は地に倒れている。


ほぼ全員が武装している中、乗り物の横で1人、恰幅のいい女性が武装せずに立っている。もう1人、目に留まったのが、黒髪の少女。祐武達と年は変わらないくらいだろう。なんと、その少女の頭には動物の耳と、腰のあたりからは尻尾が生えていた。


鬼は、また見たこともない鬼で、先に倒した鬼に形態は似ているが、大きさは人と同じくらい。


全部で3匹で、上空で旋回しながら隙をついて急降下して攻撃、また上昇の繰り返しみたいだ。


また、1匹が急降下を始める。狙いは黒髪の少女のようだ。


祐武はすぐに決断、行動する。


「香奈美!」

「うん、わかってる」


流石、幼馴染。その返事に満足感を感じながら、祐武は少女に向かって走り出す。


時間的に少し鬼の方が早いと予測し、瞬時に覚醒、駿足で少女の元へ。


ギリギリの時間差で少女を横抱きにし、鬼の攻撃を躱す。


(ふう、なんとか間に合った)


そこで、少女と目が合う。


大きな澄んだ空色の瞳を、さらに大きくしてこちらをみている。整った顔立ちをしていて、かなりの美人である。


「キキィィーー」


空かしを食らった鬼が再度襲ってくる。


祐武は少女を降ろし、ちょうど近くに落ちていた剣を掴む。おそらく倒れている人が持っていたものだろう。


鬼が急降下してくるが、その攻撃はさっき見ていたので冷静に対処する。


鬼の足を、剣はそのままに身体だけ躱し、相手の勢いを利用して一刀両断。



他の2匹は香奈美が片付けてくれた。





(……で、どうしよう)


戦闘がひとまず終了し、香奈美は祐武の横にいるのだが、


「#####……」

「###…」

「####…………」


祐武達を遠巻きに、助けたはずの人達に観察されている。


(…言葉が通じないなんて……)


香奈美は不安なのか、祐武の裾を掴んでいる。


そこへ、あの恰幅のいい女性が近づいてきた。


「###………」


やはり、言葉が分からない。すると、


「言葉わかる?」

「⁉ はい‼」


ややぎこちないが、祐武達の言葉だ。


「やっぱり和の国の人だったんだね」


(和の国?)


「助けてくれて本当にありがとう」

「いえ、間に合って良かったです」

「あんた達、若いのにすごく強いんだね」

「はぁ……」

「うちが雇った護衛が全然歯が立たなかったのに、あっさり倒してしまうなんて、どこのギルドに所属してるんだい?」


所々、知らない単語が出てくる。

思い切って自分達の事情を話す。






「そうだったの、よく頑張ったわね。えらいわ。そんな状態でうちらまで助けるなんて……」


おばさんが涙目になっている。


それから、お互い自己紹介して状況を整理する。


このおばさん(シーラさんと言うらしい)は商人で、護衛を雇って町から町に移動している時に、ここで鬼に襲われたらしい。


ここでは、鬼のことを総称してモンスターと呼んでいるらしい。因みに、さっきのモンスターはターブラと言うらしい。



「あんた達、お腹空いてるんじゃない?」


シーラさんはすごく親切というか、面倒見が良かった。


2人はこのままシーラさんに同行させてもらい、とりあえず近くの町にに行くことにした。


(良かった、なんとか皮一枚繋がった………)





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