第3話 生まれ変わっても働きたくないでござる
そして次に意識を取り戻したとき私には…………ちんこがついていた。
ちんこついてるよ!
え、なにこれ?
手もちっちゃいし、ちんこもちっちゃいし。
というかこんなにマジマジと見たの初めてだわ。
すごっ!へー、ちんこってこんなんなってんだ!
って子供じゃん!私子供になってんじゃん!
しかも、これまだ一歳にもなってないよね。
ようやく首が座ったくらいだよね。
え?何?もしかして私今度は男に生まれ変わっちゃったってわけ?
無理無理!!!男ってことは将来女の子相手に恋愛してエッチしなきゃいけないってことでしょ!絶対に無理だから!私そっちの気ないから!
…………………………………………いや、ちょっと待ってよ。
そもそも私前世でも恋愛なんてしてなくない?
エッチなんてしたこともなかったじゃん!
…………よし!イケル!
どうせ現世でもそんな機会は一生訪れないでしょ。
と、なぜかこのときの私は根拠のない自信に満ち溢れていた。
「あら、目が覚めたのね」
突然女の人の声がした。
声の方へと振り向くと私は言葉を失ってしまった。元から何もしゃべってないけど、それくらい驚いたってことで。
それはもう見事な金髪であった。
うわー!外国の人だ!
私の貧相な語彙で表現するとしたらまるで天使みたいな人だ!
唖然となって見ているとその天使がゆっくりと近づいてきた。
そして私が寝ていたベッドへと腰を下ろす。
すると優しいお日様のような匂いが私をふんわりと包みこんだ。
そう。まるで干したての布団のような匂いが。
やばい、これは寝れる。
そしてその天使のような愛らしい顔に浮かべられる極上の微笑。
ガハッ!
何これ!?何が起こってるの!
女子力が高いとかそういうレベルじゃないんだけど!
神々しいよ!
「あら、赤くなったわ。もしかして熱でもあるのかしら?」
そう言って私の額に手が添えられる。
やわらかー。あたたかー。
って、面識のない人と話をするだけでも緊張するってのに、それが天使みたいな外国の人だったら赤くなんない人なんていないって!
「うーん、熱はないみたいね」
分かるんかい!
って、もしかしなくてもそれだけ私に触ってたってこと?もしかしなくてもこの人が私のママなの?
いや、それ以前に今自分のちんこガン見してたの見られたんじゃないの?
うわっ!恥ずかしー!
「おかしいわね。ますます赤くなったわ。メアリ!メアリはいる?」
「お呼びでございますか、奥様」
天使が声をあげると、どう見てもメイド服を着たコスプレ……には見えない本職のメイドさんが部屋へと入ってきた。
こっちは金髪じゃなくて茶髪だけど、妙にその服装が様になっている。リアルメイドなんて初めて見たな……。一体誰の趣味よ。
「ルナの様子がおかしいの」
え?ルナ?ルナって私の名前?ちんこついてんのに?
というか転生してまさかDQNネームを頂くことになるとは!
漢字にすると『瑠奈』とかそういうのだろうか…………もしそうだったら割と本気でへこむ。
大人ってなんだろう?それは自分の子供にDQNネームを付けない人のことだよ。
「特に異常は見られませんが……」
そう言ってメイドさんが私の身体をペタペタと触る。
名前に驚いて顔の赤みもすっかり引いてしまっていたようだ。
しかしいつまで触っているんだろうかこのメイドさんは。
「柔らかいですね」
そりゃあ赤ちゃんですから。
硬かったら私でも引く。
「念のため癒しの魔法を掛けておきましょう」
は?魔法?
私が目を白黒させていると、メイドさんが私の額へと手を当てて言葉を発した。
「『キュアコンディション』」
するとメイドさんの手から緑色の光が漏れ出て、それが私の身体を包み込んでいった。
すっご……。
これで何も起きなかったら、ただの痛い人だったんだろうけど光ったよ!めっちゃ光ったよ!
メイドさんすごー。魔法すごー。
効果はどうだったかって?別になんとも。だって元々健康体だしね!
「ありがとう」
「いえ、それでは後ろに控えておりますのでまた何かありましたら声をおかけください」
「うん、そのときはお願いね」
そうして私は天使に抱きかかえられることとなった。
これはやばい。お日様過ぎてやばい。ぐぅ……。