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Cat's Eye  作者: 井沢円香
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とある猫の独り言

吾輩は吾輩である。

決して代用などきかない唯一の存在である。

吾輩は世界の証明はできないが,吾輩自身の証明はできる。それは,今ここで生きているからだ。

人間からしたら吾輩は名もないただのネコであろう。しかし,吾輩は自分をネコだといった覚えはこれっぽちもない。色々な方法を使い区別をしていったのは人間の勝手である。人間はやたらと区別したがる。分別したがる。知りたがる。これが人間のさがなのだろうか?

全てを区別したからといって何が変わる?全てを分別したからといって何がかわる?全てを知ったからといって何が変わる?

吾輩にはさっぱり理解できない。何故そこまでこだわるのだろうか?何故そこまで違いを求めるのだろうか?何故そこまで難しく考えるのだろうか?簡単に考えればよいのに。

例えば餌と自分と敵。例えば親と自分と子。オスとメス。大人と子供。若いと老い。過去と現在。こんなにも単純化できるというのに何故複雑にしたがるのだろうか?

遠い昔を知りたがるのだろうか?

『今、ここで生きている』

これを証明できれば十分であろうに。何故なにゆえに人は残したがるのだろうか自分の存在を。何故に人は誇示したがるのだろうか自分の生を?


吾輩は思う。人間は憐れだと。自分で自分の存在を証明できないのだから。それ故に他と比べ違いを見つけ『自分』は『自分』だと証明するのだろう。人間は誰かに証明されたいのだろう『自分』を。人間は誰かに認めてほしいのだろう『自分』を。

人間は自分の存在を残したくって記録を残すのだろう。『自分』という存在が消えることを恐れているのだろう。どんな形であれ『自分』を覚えていてほしいのだろ。そんな望みが叶うのはたった一握りだとしても。

吾輩は思う。人間は憐れだと。生まれてすぐにできる事は呼吸をすることだけ。目も見えず,立って歩くことも出来ない。こんな未熟のままこの世に生を受けるのだから…。何も出来ない。何も分からない。これが人間が最初。だからこそ人間は知りたがるのだろうか?

吾輩は思う。人間は憐れだと。人間の生き方は複雑すぎる。多様化したために人間自身なにが生の目的なのかが分からなくなっている。子をなすことが目的なのか?支配者になるのかが目的なのか?富豪になることが目的なのか?何かを残すことが目的なのだろうか?この世界でここまで自分が分かっていない存在も珍しい。だって生の目的は種の繁栄。これ以外にいったいなにがあるのだろうか?


生が行き着くのは死。これはどんなに足掻いても避けられないことわりである。それまでに何を残すのか,これが問題なのだろう。吾輩たちが残すのは子孫であろう。断続的に紡がれる生命。一つの個体が紡ぐ生命などたいしたことなどない。しかし個の子によって生命が紡がれ続けると言うのであれば,この命にも意味があるのだろう。

人間たちが残すのは大量のモノ。継続的に紡がれる記録。残された記録が永遠に歴史として語り続けられるのだろう。残されたモノで永遠に自分の存在を示すのだろう。自分の生に意味をもたせるために。後世の者にそこまでして評価されたいのか!生を示したいのか!忘れられたくないのか!消えることが怖いのか!そんなにも死が怖いのか!生は死があってこそ完結するのだ!人一人の生がすべてではないのだから!


死がなければ生を大切にしないだろう。実感しないだろ。終わりがなければ始まりもないだろ。永遠に続くものなどないのだ。語り切れないほどの生命によって紡がれ続け今がある。それを忘れたらいけない。


これは名もないネコの独り言。



猫たち見た世界の物語はこれにて終幕。猫からみたらきっとヒトと言う動物は奇異な生き方をしているのかもしれない。

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