表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
101/104

第39話 「ロウガン」

 部屋に侵入した敵は二人。

 外に、まだ三人。


 ロウガンはナユカを背にかばいながら、

 一瞬で状況を読み切っていた。


(……どう逃がす?

 俺だけなら突破できる。だが、ナユカを守りながらじゃ……)


 敵はすでに体勢を整え、いつ襲いかかってもおかしくない。


 ロウガンのマンダロット。

 トークンとフラクタルが、低く唸るように噛み合っている。


 その回転が示す“次”は――


(……二枚目は〈ハイ・ドライブ(正拳突き)〉

 一対一専用……)


 繰り出せば、もう一人にその隙を狙われる。


 そのとき。


 敵のひとりが、マンダロットを展開する。


 白い針が高速で回転し――

 次の瞬間、掌がこちらへ向けられた。


(……範囲攻撃!?

 まずい……直撃すれば、意識どころじゃ済まねぇ……!)


 判断の猶予は、ほとんどなかった。


 ロウガンはトークンとフラクタルを、力任せに噛み合わせる。


 強制回転。

 蒼転〈ブルー・シフト〉


 ロウガンの結〈ノット〉の渦が、青く染まっていく。


 本来なら避けるべき、

 身体に深刻な反動を残す緊急手段。


(……やるしかねぇ!)


「――五枚目ッ!!」


 足元から、反転の衝撃が弾け上がる。


 迫る敵の範囲攻撃。


 次の瞬間――


 衝撃同士が正面から衝突し、

 ロウガンの反転が、敵の攻撃をそのまま“押し返した”。


 跳ね返った衝撃波が、敵陣を直撃する。


 部屋の二人が後方へ吹き飛ばされ、

 壁に叩きつけられて崩れ落ちた。


(……二人、落ちた……!)


 だが、残る外の三人は即座に侵入を試みる。


 銃口に、青白い電流が走った。


(ショックガン……!)


 非殺傷用とはいえ、直撃すれば即戦闘不能。


「……っ!」


 ほぼ同時に、三つの閃光が放たれる。


 だが――


 ロウガンの体表には、

 先ほどの反転フラクタルの“残滓”が、薄膜のように残っていた。


 電撃が触れた途端、薄膜がわずかに震え、

 電流は膜に沿って外へと逃がされる。


(……持つか?

 いや……もう、俺の身体が……)


 強制回転の反動が、一気に噴き出した。


 ロウガンの膝が震え、視界がわずかに揺れる。

 汗が、背中を伝った。


 残滓が消えれば、終わりだ。


(……くそっ……!!)


 その瞬間――


 空気が裂け、すでに割れていた窓枠が、さらに大きく弾け飛んだ。


 割れたガラス片を伴い、

 白い閃光が室内へ飛び込んでくる。


「――ロウガン!!」


 ラネッサだった。


 空中で身をひねり、床へ滑り込むように着地。

 そのままの流れで、マンダロットを展開する。


 回転が、高速で噛み合った。


「ここは私が抑える!!

 ナユカを連れて、下がって!!」


 ロウガンは歯を食いしばりながら、かすかに頷く。


(……助かった……)


 その一瞬が、未来をつないだ。


 ――そして、逃走劇はここから一気に加速していく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ