プロローグ「太陽と月」
はじめまして。
日進 月歩と申します。本作品は一部に残酷な描写が含まれておりますので、
苦手な方はご遠慮いただきますようお願い申し上げます。
あきらは私にとって、憧れで同時に大嫌いな女の子だった。
学校という小さな社会の中で、あきらはみんなの人気者だった。いつも笑顔で、冗談がうまくて、勝手気ままに生きていて、それでいて憎めない可愛さがあった。当然のように、みんなが彼女に惹かれていく。
一方で、私はあきらとまるで違う。明るくないし、ユーモアセンスのかけらもない。おまけに可愛げがないと陰で怖がられ、避けられていた。
耳にタコができるくらい、あきら本人にすら笑いながら言われてきた言葉がある。
「ぜんぶ正反対なのに、いつも一緒にいるよね」
あきらと私はまるで、太陽と月のようだった。決して重なり合えないのに、片方だけでは成り立たない。不条理の鎖でつながれているみたい。
そのすぐ外側に、ひとりだけ、私をあきらの付属物として見ない視線があった。
同じクラスの男子――シン。
騒がしくもなく、冷笑するでもなく、ただ「トウカ」という個体を、他と同じ座標で見ている目。
だがその視線は、あきらの光の中ではあまりにも弱く、すぐにかき消されてしまう。
あきらが目を細めて笑った。
「トウカは、私を特別視しないから大好きよ」
薄紅色の唇が綺麗に弧を描く。他の誰にも向けない冷たさを帯びたその笑み。私はそれが、心底大嫌いだった。
あきらの笑顔に向けられる無数の好意と、その中心から一歩外れた場所に立つ自分。その距離は、ずっと昔から決まっていたのだろう。
亀更新の予定です。




