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ノースライム・ノーライフ~ぼくとスライムの日常~  作者: 雲川ぬーぬー


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3/3

スライムと一緒に昼食

 昼休み。


 太郎は、校舎の階段を上り、屋上へ向かっていた。

 昼時の屋上は学生達にとって人気スポットだったが、教師によって立ち入り禁止にされている。

 柵はあるが、風が強い。吹き飛ばされて落下でもすれば、学校の責任問題になりかねない。


 けれど、ぼくは仲の良い顧問に入れ知恵して鍵を手に入れた。スペアキーを作ってしまえば、借りた鍵を返したところで好きな時に屋上へ来れる。


 ぼくが扉を開けると、乾いた風が吹き抜ける。


「……今日は誰もいないな」


 立ち入り禁止でも、鍵があれば屋上に来ることができる。この学園には、ぼく以外にも特待生が居るらしく、彼らはよく好んで屋上に現れていた。

 しかし、お互いに不干渉を貫いている。


 ぼくはフェンス沿いのベンチに腰を下ろし、手に持っていた菓子パンとジュースに手をつけた。


 白衣のポケットの中で、スライムが小さく揺れて飛び出した。硬いコンクリートの上で、思う存分跳ね回っている。


「落ちるなよ」


 菓子パンを頬張り、勢いよくジュースを飲み干した。昼ご飯は一分で充分、あとの時間はひたすら寝てしまおう。

 ぼくは座っていたベンチに寝転がり、目を閉じた。


 食後の眠たくなる時間帯、少し気だるくて心地いい。


 スライムはと言うと、身体を細くして空に向けて伸びている。


 ……うん、目立つからやめてほしい。


「……屋上で昼食とか、いかにも青春って思うか?」


 細い針のようになっていたスライムが、いつもの形に戻っていた。


「いや、なんでもない」


 ぴょんぴょん、とスライムが弾みながら近づいてきた。


「誰かと食べるとさ」


 ぷるん。


「気使うだろ」


 ぷるぷる。


「話題とか、間とか」


 ぷる……。


「その点、おまえは楽だ」


 スライムは、膝の上に飛び乗ってきた。


「無言で同じ時間を過ごして、でも考えてることはなんとなく分かる」


 ぷる。


「それで成立する」


 昼休み終了のチャイムが鳴る。

 ぼくは、スライムを白衣のポケットに戻した。


「……さて、午後だ」


 ぷる。


 スライムは短い返事の後、ぼくのポケットに収まった。屋上での昼食は、いつもより静かで、少しだけ満たされていた。

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