かっ確認しておかないとね!
記念すべき六話目!
「花野井さん、私と一緒にお昼を食べていただけませんか?」
幸來が声をかけると、澪央は驚いた顔をした。しかし、すぐにいつもの優しい笑顔に戻り、「もちろんだよ、こっち座って!」と手招きしてくれた。
幸來は、澪央と彼女の友達2人、美咲と恵美の前に、少し緊張した面持ちで座った。
3人とも、幸來のことをじっと見ている。幸來は、何か言わなければと思いながらも、なかなか言葉が出てこない。
そんな幸來の様子に、澪央がそっと口を開いた。
「ねぇ、文月さんってさ、一ヶ月間どうしてたの?いきなりいなくなっちゃったから、みんな心配してたんだよ」
その声は、優しく、心配そうだった。幸來は、澪央の言葉に少しだけ戸惑いながらも、
「えっと……少し、体調を崩していて……」と答えた。
「そっか。よかった、元気そうで」
澪央の心からの安堵に、幸來は胸が温かくなった。美咲と恵美も、幸來に優しく微笑みかけてくれた。
「よかったら、私たちとも仲良くしてくれないかな?」
恵美が微笑みながら、幸來に言った。幸來は、思わぬ言葉に驚きながらも、「もちろんです」と答えた。
「やったー!じゃあ、これからよろしくね!」
美咲と恵美は、心から喜んでいるようだった。その様子を見て、幸來の緊張は少しだけ和らいだ。
そして、勇気を出して、本題を切り出した。
「あの……花野井さんって元宮くんと、仲良いですよね?…」
幸來の質問に、澪央は少し不思議そうな顔をした。「どうしたんだろう?」という表情だった。
しかし、すぐに柔らかい笑顔に戻り、「う、うん?和誠とは小学生からの幼馴染だし」と答えた。
(幼馴染……!こっこれだけは、絶対に確認しないと……!)
幸來は、心の中で自分を奮い立たせ、さらに言葉を続けた。
「とっ友達ですよね⁉︎…」
幸來の必死な様子に、美咲と恵美は、お互いに顔を見合わせて、小さく笑った。
その笑いには、ただただ、幸來のことが可愛らしくて仕方ないという気持ちがこもっていた。
澪央は、美咲と恵美の様子を横目で見ながら、幸來に向かって小さく頷いた。
「うん?そうだよ」
その言葉を聞いて、幸來の表情がパッと明るくなった。
「よかっ……あっ、そうなんですか」
幸來の安堵が隠しきれない反応に、澪央は彼女が和誠に好意を抱いていることを確信した。
(そっか……そういうことなんだ)
澪央は、なぜ一ヶ月間ものの間学校に来ていなかったのか、まるで別人のように姿が変わったのか理解した。
そして、少しだけ、和誠との関係をただの「友達」と答えたことに後悔を覚えた。
その事は、顔に出さずに明るい声で幸來に話しかける。
「文月さん、お弁当、すごく美味しそうだね」
澪央が話題を変えると、幸來は少しだけはにかみながらお弁当を広げた。
その日の昼休みは、澪央と美咲、恵美が幸來に優しく話しかけ、和やかな時間が流れた。
幸來は、生まれて初めて、女の子の友達ができたような気がした。
その時、幸來の席の後ろから、聞き慣れた声が聞こえてきた。
「何話してるんだ?」