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バッドエンドから

テストの点数は、中の上で、平均の少し上。


体育は、苦手でも短距離走では6秒台。


『礼儀が正しいね』と、生徒や教師からは言われて。


特に、毒にも薬にもならない暮らしは順調でありきたり。


他愛もないし苦難もない、そんな暮らしをしてるのに。


心はなぜ、カラカラなんだろう。


期待したこともないしされたくもない。


なぜなら、答えられる根拠などないのだから


そこらの普通の人の役割でいい。


爪は隠してしまえばいいし、右に倣え右のように、他人に合わせて、自分を廃したらいい。


望まれて失望されるくらいなら、ありきたりな私を演じて居たい。


努力をして、身を粉にしても、叶うかもわからない、明日の願いで生きてる。


私にとっては、はたから冷めた目で見てた。


そうして、頑張って努力して果たせなかったら?


目指したところが、目的の場所と違うところにたどり着いたら?


今までのやってきたこと、全部水の泡じゃないか。


やってきた時間の無駄遣いだったってことになる。


それに、過程なんて見てる人には興味ない。


見に来てる人なんて。結果が全てだ。


そんなものなんかに、身をすり減らす意味なんてない。


私はそう思ってた。でもそれは強がりで、ほんとは間違えるのが怖かった、でも周りはそんなこと気にせず楽しんでいる。


それも含め他の人にとっては青春だった。


私も……『あなた達のようになりたかった』


だから、心はカラカラなんだろう、こんなにもあなた達が羨ましかったのだろう。


私ができるのはまるで、白い線の内側からあなた達を眺めることしかできないのだろう。


私は、死の淵に立ち、今私は明日、飛び降りる。


世界から、命から、人から、私の全てを手放して……


人に飼いならされるような自分が何より嫌いだ


幸せな時は短くその終わりは私には、長すぎた

あまりにも……長く生きすぎた


争いによってたくさんの血が流れた話を聞いた、


天災により、思い出が流され途方に暮れた者たちを目撃した、


疫病が蔓延し、不自由を強いられ、最後の思い出を作ることすら出来なかったのを体験した、


一人の唯一愛する人の為に命を燃やした英雄(おとこ)の話を聞いた、


世界を見て、変えようと奮闘するも徒労に朽ちた者の話を聞いた


夢は幾多もありながら、はっきりした現実は1つしか存在できず

1つを選択すれば他の選択は存在しなくなる。


私は……『今更になって、愛されたかったと願うなんて』


罪はいづれ、罰が下される。

私が撒いて芽吹いた物によって多くの犠牲者を生み

私は裁かれた


私は犠牲者達の罪を背負わなけるばならない

永遠と続くかのような時の中で、いつか、許される日まで


『いつか許されることを望む事自体、愚かなことなのかもしれないが』


道具として生まれた私に親友は心をくれた

私にとっては大切な不純物


幸せな一時は一瞬のうちに消え、あとに残ったのは永遠の苦痛


死んだものは帰っては来ない、

生き返ることも生まれ変わることもない、

それでも……『私は、貴方に生きてほしかったと思う』


時は逆巻くことを許さず、同じ存在を置くことを許さない

命は複製できない、どれだけ上手く形を似せても記憶は継がれない


命はその人の生まれから終わりの旅路

どれだけ似せても同じようには行かないし

それが、命の不可価値を決めている


どれだけ遺伝子を同じに作っても

かつての年齢に戻るのに何十年も掛かる

その間に私も何十年も歳を取る


遺伝子を似せても、その子は私を知らない

どれだけ上手く形を似せても同じ性格、考え方、知識は備わうことはない


死んだ人がその続きから生きることは出来ない

もしもできたとして、最初に死んだものは何だったのだろうか


クローン計画は破綻した


犠牲者達の復元を諦めた


倫理は他の意見でしかなく

大切なものの目の前に倫理はなく1つの手段に過ぎない

いつでも自分の正義の反対はまた別の正義である


全ては選択で、後悔を避けることは叶わない


それでも、かつての仲間だったものを目の前に

生きて欲しいと願うことが不思議だろうか


世界が敵になろうとも生きて欲しいと願うことが罪なのだろうか

可能であれば、私は全てを犠牲にしてでも行ったかもしれない

でも、もしかすると心が許さなかったかもしれない

大切な親友は最後に私が生きることを願うほど

倫理と正義を掲げていたそれは、私には眩しすぎて

でも叶うのなら多くの人が幸せになることを知っていた


それは、道徳を礎としたもの

人としての生き方の手本のようだった


自分のことよりも全てを他に捧げていた

しかし手にしたのは残酷な現実


醜いものばかりで美しいものなどない

その中で唯一の美しいものだった


私はそれを殺し、悪人となった

世界の悪人は悪人が断ち切らねばならない


ただ彼女はそれを望まなかった

それは語られることはなく


私は断ち切ることも許されることなく出来なかった

私はそうして償い続けた、やっと……私は終わる

体はまともには動かない、心は、何も感じない


私が辿った旅路に意味はなく、多くの犠牲を強いることとなった。

何もかもたどり着くには遅く、一時の思い出は早く過ぎ去った。

あとに残ったのは……罪と幸せだった一時の思い出だけだ


全ては始まり、やがて1つの結末を迎え終わる

だからこそ最後に願う


『多くの人は私を知らないだろう、多くの人は私を恨むだろう、多くの人は私を憐れむかもしれない、だが、私は伝えたい、どうか私のようにならないで欲しい。』


『あまりにも人生は私にとって長く生きすぎた。この世界の辺で静かに死んでいくだろう、それでいい、この世界で苦しむのは私たった1人だけでいい。』


『悪人の罪は、悪人である私が払おう、それでどうか道を戻しありふれた暮らしをするといい。貴方はありふれた暮らしに忘れるかもしれない、それでもそのありふれた暮らしが永遠ではないのだ噛み締めて生きて欲しい。』


『今を……現在を……私は大事に生きて欲しいだからこそ私は願う』



『行き交う人々に幸福を、死にゆく私に終わらぬ不幸の一線の杭を与えてください、苦しむのは私1人だけで充分だから』

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