【第六話】 「「わかるわ〜」」
朝―――――――。
アドニスは困惑していた。
昨日はハルカという同じエルフ?を召喚し、酷く目立ち、入学早々に校長からご注意を受けたのだ。更には下ネタを息をする様に放つハルカは母親と早々に仲良くなっており、それだけで疲れたとしか言いようがなかった。
まだ一日、一日しか立っていない。
これはもう夢であってくれと願うか、諦めて慣れるしかないと思っていた。
思っていたのだ…………。
「おはようございます、御主人様」
「おはよー、アドニスちゃん♪ハルカちゃんのご飯、すごく美味しいわ〜♪お母さん、朝からゆっくりご飯食べれるなんて感激よ〜♪」
「もぎゅ……もぎゅ…………」
「…………」
使い魔のハルカ、そして母親。
それは分かる。
分かるのだが、最後の咀嚼しているのは誰だ。
まるで最初からそこにいるかの様に馴染みながら食事をしている白髪の少女、年齢は10歳程だ。お口いっぱいにもぐもぐさせる姿は愛らしくはある。が、お腹はぽっこりと膨れ上がっていた。白い軍服の様な腹を曝け出す格好をしているが、パツンパツン。ある意味、卑猥な目で見てしまえば妊婦みたいになっているのだ。
「ハルカ」
「はい、御主人様を愛し、愛されたメイド、ハルカです」
「あーうん、それより…………誰、この子」
「あぁ、この方ですか」
「もぎゅっ、もぎゅっ、ごくんっ。ハルカ殿、それは私が言おう」
ハルカが言う前に白髪の少女はぽっこりしたお腹を抱えながらアドニスに向かう。
「私は【ミカン】。諸事情により、貴殿―――――アドニス殿の従者として住み込みで働かせてもらうことになった。無論アドニス殿の母上とハルカ殿には既に了承済みだ。安心していい」
「え、従者?」
「不満か?しかし、私はアドニス殿やハルカ殿にご迷惑をかけてしまってな。その贖罪として働かせてほしい」
「いや、でも…………」
突如、同居人が増えたことに頭が追い付かないアドニスは助けを求める様に母親に目を向けるのだが。そもそも贖罪とは何の話だ。
「あらいいじゃないっ♪お母さん的には娘がもう一人増えて嬉しいわぁっ♪」
「私もミカンさんが従者になられるのは賛成です。それに、私には無いものがございますから」
「無いものって?」
アドニスは訪ねた。が、それが間違いだったと後悔してしまう。
「ミカンさんは、ロリっ娘・腹ペコ・グーデレがございます。しかも妹キャラもありますからね」
「いや、妹はいるからな。今は合宿に行ってるけど」
「そうなのですか。ですがミカンさんであれば近○相○ではありません。合法的に疑似○相○ですし」
「禁断の愛ね、ハルカちゃんっ♪」
「「滾りますね♪(滾るわぁっ♪)」」
「抑えろ、アンタらの欲望をッ!!!」
正常運転なハルカ、そして最近ハルカと同類と判明した母親が面白そうにしているのは気に入らない。というより母親がそれでいいのか。いいのか?うん、よくない。
「私としては、ハルカ殿から頂戴した“びーえるほん”の様な、少年同士の絡み合いの方が唆られるのだが」
「「わかるわ〜」」
「分かんなよっ!?というか、君もそういう感じなのね!?」
「いやはや、昨日色々あってな。ハルカ殿に夜食を頂いた際に勧められたんだ。いや、あれは素晴らしいものだな。私達の世界では到底知り得ない未知――――――」
「知らなくてよかったよッ!?」
げんなりとしながら、アドニスに新たな従者ミカンが住むこととなった。
「………結構食うのな」
「うん?安心しろ、ちゃんと生活費を稼ぐからな」
「ミカンちゃん、私のところで専属の探索者になったの♪早朝にお願いした依頼もこなしてくれたのよ♪」
「奥様から高校になれば探索者協会に加入すると聞きました。“探索”・“採取”・“討伐”・“狩猟”・“雑務”などがあるとか。その際は奥様に―――――」
「勿論よ〜♪お母さんに任せて☆」
「(なんだろう、心配しかない)」
こうして新たな従者?を仲間にしたアドニスは、ハルカと共に学園へ向かうのであった。