お父様…私年齢は五歳ですよ?中身はそれに二十六足すんですけどね!
「…ナーシャはまだ、お嫁さんには渡さないぞ」そう叫んでお父様が私に抱き着くのはいつもの事だと諦めるけども…
「そうですね、いきなり義理の兄になったボクにも優しくしてくれるナーシャには
嫁入りにはまだ早いと思います。」そう言って頷いた二人は話し始めたから
「お母様、これは一体?」お父様の拘束が緩んだ隙に笑っている
お母様の傍に寄って尋ねれば
「そうね、契約獣を出すことを怖がっていたミカエルが出していることを見たら
この光景は納得なのよ」そうふんわり笑うお母様に違和感を感じた。
確かミカエルをよく思ってはなかった気がするんだけど…そう考えていれば
「…本当はねミカエルの事を旦那様の隠し子だと思っていたのよ」
え、お母様それ言っちゃう…?お母様にベタ惚れだとわかりやすいお父様だけど。なんて思えば
「でもね、ナーシャが皆で川辺に行って遊びたいと言ったじゃない?
それを彼に言ったら『精霊に気に入って貰っているボクが良いんでしょうか』
って聞くのよ。しっかりしてる子だと思ったのと同時にこの子は
私のお姉様のように縛られていた子だと思ったの」寂しそうに笑うお母様に
「んなぁん」オレンジの火を灯したアルフがお母様の傍に寄れば
「…アナタもいいこね」そう柔らかく微笑むお母様を見て私は確信した。
これはきっと…
「モフパラ待ったなし」そう小さく呟いてアルフに抱き着く私に
小さく笑って女の子が床に座らないのですよ?そう言って私を撫でてくれる
お母様、そしてなにやら物騒な話をしているお父様とお兄様を見て笑っていた私はすっかり忘れていた。
お兄様以外の攻略対象がすぐそこまで来ていることに。
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とある薄暗い地下室では二枚の写真を受け取った人が
「…わかった、この人を狙えばいいんだな」そんな不穏なことを呟いて背負った
得物を大事そうに抱え
「ねぇ、ナーシャとのお茶の時間だったのをキミはわかっているのかな?
今日はナーシャとお母様が焼いたクッキーだったのをキミわかって
此処に、この時間に襲撃しているかい?」
お兄様の綺麗な笑顔の足元には一人の男の子が転がっていた