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第七十四話 嵐の前の静けさで

嵐は激しい。

 俺こと吉田よしだ英斗エイトは悲しいことに異世界転生を果たし、様々なことがありフィエナ帝国の帝王アルク・フィエナの依頼により、世界会議に無理やり絶海の孤島『ピリオン』に住む魔女を連れてきてほしいとのことで、報酬が船一隻というのに釣られ、引き受けることになり、ピリオンで出会った魔女改めだらしない超絶美女のエルスティ・アーモを世界会議に連れて来るというクエスト、なんだかんだでクリアしたのだった、まる。



 フィエナ帝国にたどり着き、本日はヨグソトルスにてアルク帝が手配してくれた宿に泊まることになった。

 さすが皇帝、手配され連れてこられた宿は俺の元いた世界であった高級ホテル顔負けの馬鹿みたいに豪華で馬鹿みたいに広い部屋だった。

 それにそんな部屋を二部屋、俺と女子組用の二部屋手配してくれた上に、ビスタリアの船乗りたちにも一ランク落ちるがそれなりに高級な宿を手配しているという優しさっぷり。

 正直、アルク帝の優しさが怖い。

 そんなこんなで優しさに怯えながらも最高級の部屋を堪能していた。


 「それにしても、世界会議か…」


 堪能しつつもそう呟き、大きく動き出した、そう思う。

 聞く話によるとヨコタシュンスケの仲間を捕らえるやら、討伐やらの話はなく、ただ一方的にやられるだけだったらしい。

 だが、そんな今までを俺は二人も討伐に成功することで塗り替えてしまった。

 そのおかげで、かなり現状が進んだらしい。

 俺のおかげ、といってしまえばそうなのだろうが、正直そんな気は全くしない。

 周りが助けてくれたり、支えてくれたおかげだ。

 だが、これからはそうはいかない。

 みんながみんな個々の命を守るのに精一杯になる、そんな戦いが始まる気がしてならない。

 おそらく、本格的に俺の目的につながることが起こるだろう。

 その先にあるのは何だろうか。

 それ以前に、その過程にあるモノに俺はどんな答えを選ばなければいけないのだろうか。

 今までの選択で正しかったのかすらもわからないこの状況で…、


 「どうすりゃいいんだ…」


 そう呟いた。

 答えがない。

 それはわかってることだった。

 そのはずなのだが。


 「それは難しいことなのかしら」


 答え、じゃなくて応えがあった。


 「なんで?」


 俺はその声で驚きつつも振り返り、声の主を見て冷静に突っ込んだ。


 「やっほ、エルお姉ちゃんだよ。気になったから、来ちゃった」


 そこにはエルスティさんがいた。

 つーか、来ちゃったじゃねーよ。

 たしかエルスティさんは城のほうで泊っているはずだ。

 城からこの宿まではかなりの距離があるはずだ。

 普通に抜けだせば、すぐでなくてもそれなりの騒ぎになるはずなのだが、そうなっていないところを見るに、空間転移魔法でも使ったのだろう。

 そこにいる原理は納得がついたのだが、


 「んー、エイト君、私がここに来る同機がわからないって、言いたいんでしょ?それはね、君はヨコタシュンスケの仲間と二回交戦してるって聞いたからなんだ。だから、なんかいい情報ないかなぁって思って」


 察しが良すぎる。

 だが、理由をい話しくれた分だけ、直ぐ本題に入れる。


 「いい情報って?」


 「そうだね、異能とか、そーいうの」


 俺の探るような質問に簡単にエルスティさんは答えてくれた。

 そこから、俺はエルスティさんに異能についての情報を提供した。

 そして、一通り訊いたエルスティさんは言った。


 「なんか、神様が与えた奇跡によく似てるなぁ」


 そして、エルスティさんは教えてくれた。

 この世界に伝わる神話とされるある魔導士が遺した予言を。

 神が世界を工作し、世界に海と空と陸を与え、人間と動物と植物と魔物をその空間に放った。

 そこから発展した世界に二つの王が生まれた。

 闇の世界を総べる魔王と人間を総べる善と悪の間にゆれる魂を持つ根王こんおう

 根王は魔王との戦いの中、悲しいことに死んでしまい、彼の五人の子供に未来は託された。

 五人の王は五属性を象徴する五つの宝玉を使い、魔王を封印することに成功し、千年間の封印が約束された。

 その千年後、魔王は復活し、再び世界は戦いに落とされた。

 しかし、世界を超えてやってきた勇者によりその魔王は倒される。

 だが、戦いは決して終わらなかった。

 世界を超えた勇者は。

 それが神話の大体のあらすじだった。

 途中で切れているのは預言者が死んでしまったから、らしい。

 この予言は序盤に登場した根王が生まれる前に遺されたものだ。

 だが、その予言は尽く当たり、神話として扱われた。

 だから、神話の先にいる今の時代。

 神が与えた奇跡を持つ奴がたくさん現れても、おかしくないんだ、と。

 エルスティさん言った。

 そして、彼女は教えてくれた。


 「魔法っているのはね。神様の奇跡を持たないものが自分で奇跡を起こすためにつくられたものなの。要は自衛のため、そんな歴史があるから、もしかしたら私の及ばないものばかりなのかもしれないな」


 私は及ばないかもしれないということを言葉には表さずに。

 それに俺は何も返すことができず、そう言った彼女の難しそうな表情を見るだけだった。

読んでいただきありがとうございます。

では、次回もお楽しみに!

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