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第五話 クエストで稼ぐ、俺はそうやって生きていきたい

勢いは留まりを知りません。

 俺こと吉田よしだ英斗エイトは絵面が強い神様にチート能力特典を添付され異世界転生させられ、チートアイテムが変身した美少女ことイフと共に始まりの街となる王都ビスタリアに到着し、お金を稼ぐべく、冒険者募集中のギルドとやらに足を運んだのだった。



 ギルドにたどり着き、一度イフには剣として腕輪の中に納まってもらうことにした。

 理由は簡単。

 イフを人型のままにして、武器として紹介したくないからである。

 さておき、俺は早々にギルドの中に入ると閑散としていた。

 居酒屋のようなたくさんのテーブルとイス。

 カウンターの後ろに見える厨房。

 たくさんの依頼書と書かれた紙が貼ってある、この世界のクエストボードらしきもの。

 異世界ものの創作物だったら、盛況しているはずなのに、閑散としていた。

 俺はその光景に戸惑いながらカウンターに向かい、受付嬢のお姉さんに話しかけた。


 「あの、冒険者募集って書いてあったんで来たんですけど…」


 「あ、ギルド入会者の方ですか?」


 「えーと、一応聞きたいんですけど、ギルド入会をすれば、あのボードに貼られた依頼できるんですよね?」


 「はい、もちろんです」


 「そうですか…、じゃあ、入会してもいいですか?」


 「わかりました。これに記入してくださいね」


 という事で、お姉さんが俺に差し出した用紙に書かれた欄に適当なものを記入していく。

 年齢、性別、使用武器、ニックネーム、そして、クエスト中に命を落としても自己責任とする同意証。

 たったのこれを記入するだけで書類手続きは終わった。

 ちなみにニックネームはエイト、それ以外の欄は略称なしだ。

 そして、受付嬢は記入用紙を見て、ちょっとした面接的な質問をし、


 「本日より、エイト様は我々のギルドに正式加入します。これからお願い致しますね」


 割と定型的な言葉と共にですべての手続きが終了した。

 と言う訳で、晴れて俺のギルドのメンバーとして異世界クエスト生活が始まったのである。



 だいぶ時間は過ぎ、今、俺は大量の熊型の魔獣『クラスタベア』と交戦していた。

 加入してすぐ、俺はクエストを勢いで割と弾みが良いものをとった。

 それがいま交戦しているクラスタベア百頭の討伐で、討伐した証拠はクラスタベアの特徴である白銀に輝く角だった。

 また、魔獣というのは特徴となる一部を残して、絶命すると消失するという特性があり、そのお陰で剥ぎ取りという未知の行為をせずに目的の品を得ることができていた。

 そして、俺はソレを手に入れるべく、やっと五十体の討伐に成功したのだった。

 だが、まだ半分。

 イフリートの能力で炎を刀身に纏わせることができるのだが、その能力を使ったとしても一撃一回で倒せるのはよくての二匹程度。

 基本的には一発一匹と言った状態だった。

 そして、一体多数という頭数の不利でチート能力を持ちながらも経験不足から苦戦していた。

 クラスタと名付けられるだけあり、和R藁と次から次に数を増やすクラスタベアたちに俺は一体ずつ確実に処理することを余儀なくされていた。

 いくら早く動けても、視覚が追いつかない。

 いくら強く攻撃できても、反動がどれ程来るのかの予想がつかない。

 そんな中で数をこなしながら、使い方ではわからいことをつかんでゆく。

 こうして、俺は個の装備の使い勝手の悪さや良さを判断していった。



 夕暮れ時になるころ。

 全ての角をギルド支給の袋に詰めて、ギルドの受付に渡したことで終了した。

 一応、数えると258個。

 約2.5倍の個数を稼ぐことに成功した。

 そして、元々の報酬の2000ルーカスにオーバーする数を持ち帰ることができたため、ボーナスとして1000ルーカスが加算され3000ルーカスが受け渡された。

 そのお金を持って、市場でそのまま食べれそうなものを使い方を知ることができる超絶感覚を利用し、選び取って購入。

 そして、そのまま宿も借り、腕輪から勝手に出てきたイフと共に久さしぶりのご飯を口にしていた。


 「…うまい」


 俺はそんな言葉が口から漏れた。

 空腹につぐ空腹が最高のスパイスとなり、一つ50ルーカスのパンに似たような何かを味わっていた。

 それにしてもだが…、


 「剣もご飯食べるんだな」


 目の前で俺と同じものをむしゃむしゃと小さな口で頬ばるイフに投げかけた。

 するとイフはそれに答えてくれた。


 「まぁ、生きてますので飲まず食わずで百年は生きれても、食べたほうが良いですからね。それにここの宿は風呂があるらしいですし、入りたいですね。お風呂とかそういう清潔にするっていう行為をすることで、剣としての手入れを省くことができますので」


 「へぇ」


 俺はその答えに単純な簡単を挙げ、ふたたび夕飯を食べ始めた。



 夕飯を食べ終え、俺とイフは共同浴場に向かい、俺は驚き固まった。

 一枚の看板があり、そこには『脱衣所は男女別、内部は経費削減のため混浴』と書いてあった。

 どういう展開だよ。

 そんなツッコミを心の中でして、俺は畏怖に提案した。


 「なぁ、時間ずらして入らんか?」


 それに対し、イフは、


 「どうしてでしょうか?私はご主人様の背中を流し、くつろいでもらおうと今考えていたのですが…」


 と、完全にクリーンで奉仕精神にあふれた発言をしてくれた。

 だけどね、俺はお年頃なんだ。

 17歳の思春期なんだよ。

 わかってほしい。

 出会った時の察しの良さを発揮してくれ。

 そう思いながらイフを見つめると、はっとしたような表情をイフは見せた。

 この感じはわかってくれたか、俺はそう思って歓喜しようとしたが、そうなれなかった。


 「も、もしかして、私のような、女性の裸があったとしても魅力に欠ける上に、実際は剣だからいい感じに目の保養になることができないとおっしゃりたいのですか?」


 いや、なんでだよ。

 確かに異性の裸を前に俺がまともでいられるかは心配だ。

 だが、イフが剣だからとか、身体がいろいろとほっそりとしているからではない。

 そういう意味じゃないの…。

 …、もうこれ、弁解の余地なくない?

 もう諦めるしかなくない?

 いや、諦めるか。

 という事で、俺は諦めて、


 「いや、なんでもないよ。お風呂入ろっか」


 共に入浴することにした。

読んでくれてありがとうございます。

次話もお楽しみに!

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