第五十八話 銀翼vs黒翼
今回は短いです。
俺こと吉田英斗は悲しいことに異世界転生を果たし、山あり谷あり、様々を経て、ヨコタシュンスケの手からフィエナという町を守るため船で移動していたところ海賊で魔法使いの少女に襲われ、イフリート第二形態をやむを得ず使用してしまいながらも退けることに成功するがイフの人間化が進行してしまうもたどり着いたヨグソトルスにて、とうとうヨコタシュンスケの一味の一人の変態と遭遇したのだった、まる。
目の前の変態に俺は失いかけた姿勢を取り戻そうと、
「自己紹介で誰ってのはねぇだろ」
とりあえず返した。
それに変態はなるほど言ったように腕を組んで頷き、
「なるほどぉ!俺の名、ミャリャリ・クェクェ!ヨコタの兄さん言うぅ。転生した奴、連れてこいぃ!だから、目的はお前だぁ!Oh,Yeah!」
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こいつ、ラップで話すっていう縛りをしているのではないだろうか。
最初は母音縛りで、今回は母音を『お』から『あ』の五十音の逆相で音をつないでいた。
…、下手だ。
俺は確かにRふぁっぷは出来ないし、時間をたっぷり貰えたとしても、良いリリックは書けそうにもない。
だが、変態改め、ミャリャリ・クェクェのそれはとても下手なのはすぐ分かった。
しかし、それをストレートに本人に言うのは敵味方関係なく、引けるので言うわけにはいかない。
それはそれで可哀そうな気がする。
そう思いながらも、ラップではなく怪文書であり、解読に頭を使えば、ラップは無視できるだろうと踏み、宇圧の発言に俺は言う。
「やれるもんならやって、見ろよ」
そして、俺はイフリートを構えると、
「行っただろぉ?俺は強いんだYO!」
クェクェはそういうと体を包む空間を歪ませながら姿を変えた。足だけがやけにでかい大きな翼とデカすぎる手とその指先に生えた長すぎる鋭利な詰めを生やした悪魔のような姿に変わった。
姿を変え終えた瞬間、クェクェはその場から消え、目の前に迫っていた。
それに俺はバアルで反応し、ギリギリでイフリートで攻撃を逸らしたがクェクェの狂爪が放つ威力の大きさに俺は反動のみで吹き飛ばされた。
「っ!?・・・んだっ、これぇ!!」
その威力に驚きながらも俺はギリギリですぐ距離をつめることができる地点で踏ん張ることができた。
そして、俺が再び距離をつめれるように体勢を立て直すも、ある事に気付く。
途中で置き去りにした兵士が今更になって剣をクェクェに振ろうと駆けているのが見えた。
それにクェクェは気づいたらしく、振り向く動作を見せた。
確実にやられる。
その未来が予知能力もなしに見えた。
だが、二人とクェクェの間に割って入るには融合魔翼を使うしかない。
だが、それを使うとイフの人間化が進んでしまう。
その迷いが生まれた瞬間、脳内にイフの言葉がよぎる。
『私の目の前で誰かが傷付くのは見たくありません』
その言葉が無理やり自分の感情ねじ伏せた。
そして、俺もイフの言葉に応える。
「俺だってそうだ!イフ!」
彼女の名前を呼び、魔剣から人間の姿に変わったイフと唇を交わし、銀色の繭に俺たちは包まれ、溶け合い、形作ると繭を引き裂いた。
「行くぞ」
俺はそういう。
「行きましょう」
彼女は俺の背を押すように言うと、その場に衝撃波の輪ができるほどの初速から加速を瞬時に重ね、すでにその時点で二人に振り向き切り、動き始めていたが、その速度は今の俺達には遅すぎるように感じた。
十八回もの加速を重ね、間に割り込むと、
「おりゃ!」
腕を剣に変え、一閃。
「はYeah!?」
クェクェはそれをギリギリで防ぎ、進行していた方向と逆方向へ弾き飛ばされるも、直ぐに止まる場所で留まり、戦闘態勢へ姿勢を戻していた。
初めて見るタフさに俺は戸惑いを覚えながらも、ここで蹴りをつけるために俺たちも構え、直ぐにお互いが動き出した。
空中を舞い、剣ではなく腕を振り、剣戟を繰り広げる。
しかし、その速度は決して見えるものではなく、時々起こる鍔競り合いが残像となりいくつものその光景が瞬間的に様々な場所に同時に残されるほどの速さ交わされていた。
端から見れば、闘っているのかすらも危うい戦いだが、俺たちは押されていた。
感覚がうまく合わない。
イフと俺の狙いや行動の移し方はすべて合っているが、何かが合わない。
感情的な、意志的な何かが合わない。
絶対に差があってははならないものの何かが合わない。
そのせいで反応がコンマ00001秒の単位で遅れ、ダメージを許してしまう。
俺はさらなる力を振り切れず、ピンチに陥ってしまっていた。
読んでいただきありがとうございます。
次回、変態の能力がさらに主人公を襲う!
そして、次回も短い!!!
では、次回もお楽しみに!




