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第五十三話 記憶の獣

バケモノ好き

 俺こと吉田よしだ英斗エイトは悲しいことに異世界転生を果たし、様々な変化を迎えながら前に進むことを続けているのであった、まる。



 ヴェルヴェルゴルフフ森林区域を抜け、俺達一行は休憩のための中継地点として、魔獣マルヒンが引く馬車を止め、帰路の途中に位置する小さな町、サウラジィアで特産品などを物色していた。


 「少し嘔吐から離れただけなのに、こんなにもてべ物が違うなんてな」


 市に売り出されている作物やらを見て、見たことのないものに驚いていた。

 隣にいるイフもサワムラも似たような感想を抱いていたらしく、


 「見てくださいよ、イフ様!」


 「面白い形をしていますね…」


 各々に関心やら興味やらを抱いた。

 そんな平和な中。


 「バケモンが出たぞー!」


 一人の男が大声で町の住民達に呼びかけ始めた。

 俺はそれに何かを感じ、その男から話を聞くことにした。


 「どうしたんですか?」


 そんな問いに男は震えながら答える。


 「で、でかいバケモノがすぐそこまで来てんだよ!」


 そう言うと、男は一目散に叫びながら逃げてしまった。

 異常な怯え方に異常という判断を下し、男が来た方面を見た瞬間。その方向にあるはずの太陽の光が消え、陰った。

 それはまるで雲が陽光をふさぎ込むかのような感覚だった。

 その異常現象はほかの町の住人も気づいたらしく、男とが逃げた方向へ全員が逃げて行った。

 巨大さに恐れをなして逃げる人々を背に俺はバアルを換装し、姿を変えたイフリートを手にし、サワムラは両手にナイフを逆手で構える。

 目の前にいるのは強大な影、ではなく、それを生み出すほどの巨大な見たことにない異形だった。

 見た目はトカゲに一番近い気がするが足は四本、でまるでケンタウロスのような立ち姿をしていて、腕に当たる場所が異様に短い腕が八本、とてつもなく細く長い腕が数えるのも億劫になるほどの数、太く長い腕が二本の魔物ですらもないそれこそ、物の怪、バケモノの類の姿だった。

 それが十、いや、もっとだ。

 三十、五十?

 もしかしたら百メートルはあり得るかもしれない。

 それほどの背丈でのそのそと少しづつであるが動いていた。

 進む旅にバケモノの声だろうか。


 『ジギギギギギギギギギギギ…』


 蝉の様な、軋みの様な音を立てている。

 悍ましい見た目に圧倒されながらも、俺はサワムラに指示を飛ばした。


 「俺があのデカブツを誘導して人から遠ざけるから、サワムラは避難の手伝いとかやってくれ」


 「了解っす」


 サワムラが返事を返すと、とんでもない速さでサワムラ避難する人々の方向へ向かっていった。

 そして、タイマンが訪れる。

 だが、今は戦いじゃない。

 今はデカブツの進行方向をできるだけ、お互いに被害を出さずに変更させる、それだけだ。

 見た感じ、人間に害を出そうといしている感じが見ることができない。

 ならば穏便第一だ。

 という事で、俺はバアルの力を使って空中ジャンプでデカブツの視界に入り誘導するために目を探すことにした。

 跳んで跳んで、少し息が上がるくらい跳んで、ようやく目らしきものにたどり着いた瞬間、俺とイフは同じ反応をした。


 『「うわっ」』


 目らしきもの、そう断定できるものは見つけることはできた。

 基本それに対して、俺もイフもそんな反応をすることはない。

 隻眼の魔物や自分が潰した目を垂らす魔物、基本は魔物ばかりなのだが、そういうのは見慣れているほうだった。

 だが、俺たちが見たものは生しい人間のそれに酷似した二つの頭の比率からしてもあまりにも巨大すぎる目がぎょろりと俺を見た。

 その目に俺は過去のトラウマから生まれる恐怖と似た感情が湧き出し、イフリートを振るおうとした瞬間。


 『ご主人様、落ち着いてください』


 イフの声で俺はふと我に返り、攻撃しようとしていた自分を畏れた。

 それはあの頃と同じ恐怖であり、いつも夢で見る、乗り越えたと思っていた感情そのままだった。

 だから、俺は再び乗り越えようと必死になり、デカブツに向かって、気を引くために叫んだ。


 「おい!俺が相手をしてやるぜ!!」


 どうしてか、挑発しようとしているはずが、今にも襲い掛かろうとするときの発破の様な声色になっていた。

 その声がデカブツに届いたらしくデカブツは俺のほうを向くと口を大きく開いて、言った。

 いや言っているように感じているだけだろうが、どうしてもデカブツの口がひらいたタイミングと脳に響いたタイミングが同時だったせいでそう感じてしまっているのかもしれないが。


 『えいとくん』


 あいつの声で、あいつの雰囲気で、あいつの声色で、脳に響き渡った。

 デカブツはそう発した瞬間にまるでデカブツが描かれたレイアーの透明度を徐々に下げるように視界からフェードアウトし、消えた。

 しかし、それに反して、デカブツの発したものから掘り起こされた記憶の人物は俺の脳内から消えることはけ決してなかった。

 これは思い出していいことなのか。

 いけない事なのか。

 誰も答えがわからない、そんな事件がデカブツについての事件にかかわる、そんな気がしてならなかった。

読んでいただきありがとうございます。

今回のお話は主人公自身の掘り下げです。

では、次回もお楽しみに!

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