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第五十話 嵐は去っても、去らず

今回のお話のエピローグみたいな感じです。

 俺こと吉田よしだ英斗エイトは悲しいことに異世界転生を果たし、何でも屋ヴァンヴォリックとバーズさん率いる国王直属騎士と団共に世界の敵となっているヨコタシュンスケの一味の一人、エミリー・フリッツを打倒することができたのだった、まる。



 エミリー・フリッツ討伐兼イフ奪還作戦が終了して十日が過ぎ俺たちの日常は元に戻っていた。

 作戦終了直後、俺とイフは再び分離することに成功し、イフと俺の二人にもどることができたが、その進化についてバーズさんの問いに答えなければいけなかったのは少し面倒だった。

 そして、エミリー・フリッツは作戦後、捕縛され牢獄内で自害したらしい。

 死因は特典の影を操作することにより心臓を一突き、というような感じだ。

 死体の頭は残っているという事で王国直属騎士団が死体の脳から記憶を魔法で読み取り操作する手段をとっているとのこと。

 さすがにその行いはバーズさんに直接抗議したのだが、国王が命じたこと、という事で騎士団も渋々行っているらしい。

 ヴァンヴォリックの連中と言えば、組織が今回の俺の突撃の件とエミリー作戦の件で維持できなくなり完全に解体されてしまった。

 しかし、今回の作戦の貢献により王国騎士団直下の警備組織として再興を果たすことができていた。

 そのおかげかたまに鬼町が家に来るようになった。

 サワムラについては無事退院。

 現在はイフとともに火事にいそしんだり雑用をこなしたりといつもの家内カーストワーストワンの扱いを継続している。

 ようやく、少し騒がしくなったいつもの日常が流れ始めた。

 だが、一つだけ、変わってしまったことがある。

 『何でも使い方が解っちゃう超絶感覚』で分かったこと。

 それはイフの人間化だ。

 完全に意思を持った武器としての存在にあったイフは人間である俺との融合という進化の中で人間の因子を得てしまった。

 それが意味するのは武器と人間の中間となったという事だ。

 イフの単体としての戦闘能力は武器としての無機質である無尽蔵さから生まれるものだった。

 だが、人間としての有機物の有限の要素がイフに生まれたことにより、戦闘面のみで言えば弱体化してしまった。

 だが、戦闘面がよくなったからと言ってダメになった訳ではない。

 今までイフを動かしてきた物は忠実、忠誠の意思だった。

 だが、人間かによりその原動力に心が芽生え加わった。

 それがどう転ぶかも分からないが、イフとしての存在に明確性を持ったいい事象なんじゃないかと俺は思う。

 だから、俺は間違った道に転ばぬよう、導いていこうと思う。

 それが俺にどんな影響をもたらすのかも興味がある。

 この、弱体化、心の芽生えについてはイフ本人、そしてサワムラにも伝えた。

 だが、イフと俺以外、だれにも話していないことがひとつあった。

 それは現状そうなっているだけ、の可能性があることではあるのだが。

 イフの内部でもともとのイフを構成している因子が人間の因子に対し拒絶反応を島しているという事だ。

 そのせいでイフはたまに軽くて立ち眩み、重くて気絶というような異常を不定期で示すようになってしまった。

 不確定要素ばかりの事象なせいでだれにも話さず二人でどうにかするという方針を取っているが、今後どうなるか、わからなかった。

 そんな要素を抱えた日々を暮らす毎日を余儀なくされた。

 時刻は夜。

 今日は雨が強く吹いていて、クエストもお休みと、家にこもるばかりの一日だった。

 そんな日、俺とイフはベッドで横になっていた。

 最近イフが一人で寝るのが寂しいといい始めたからだ。

 見た目の年齢通りの精神、というよりかは感情の動きに俺は寝付くまではとそうしていた。


 「明日は晴れるといいですね」


 イフがそう言いながら眠そうな目で笑って見せた。

 俺は彼女に笑い返すと、


 「あぁ、晴れるといいな」


 短く言葉を返えすと、安心したように寝息を立てた。

 まるで子供のようだ。

 そう思いながらもう少し、そこにいてやることにした。

 心が芽生えてからのこと、見た目の年相応の感情を見せることが多くなっている。

 多くなっているというよりは、表れている、が正しいだろう。

 幸せそうに寝ている彼女の姿を俺は見たことがあっただろうか。

 多分最近初めて見ている。

 最近は何もかもが初めてだ。

 イフという一人の少女を相手しているのと大して変わらない毎日を送っている。

 俺はそんな彼女の頬をそっとなでると、寝室をあとにした。


 その日、俺は夢を見た。

 あの夢だ。

 俺が殺した夢。

 奪った未来の夢だ。

 だがその夢に俺は変化を見出すことができた。

 誰かわからない手を、差し伸べられた手をつかむことによって抜け出せるようになった。


 目覚めると朝だった。

 隣のベッドにはイフが寝ている。

 寝相が悪くなったらしく、布団を蹴っ飛ばし、お腹を出して寝ている。

 風なんて引くのだろうか、なんて思いながらそっと布団をかけなおしてやった。

読んでいただきありがとうございます。

次回から新章突入です!!

では、次回もお楽しみに!

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