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第四十三話 本領

鬼町、割と強いんです。

 俺こと吉田よしだ英斗エイトは悲しいことに異世界転生を果たし、何でも屋ヴァンヴォリックと共に世界の敵となっているヨコタシュンスケの一味の一人、エミリー・フリッツを打倒することを決意したその矢先、イフが攫われ、サワムラハルコが重傷を負ってしまい、近衛騎士団から取り調べやらを受けたのち、バーズさんと再会を果たし、ヴァンヴォリック、国王直属騎士団、俺の三つ個人と勢力で協力しエミリー・フリッツを倒そうという提案を受け、ヴァンヴォリック、国王直属騎士団、俺の三勢力の協定がむすばれ、その最中、エミリー・フリッツの居場所が判明し、三勢力の共同戦線をもって、エミリー・フリッツ討伐作戦が始まり、過去に街であった少女がエミリー・フリッツであった事とイフがエミリー・フリッツの手によって心まで操られ敵となって再会した事の二つに驚きながらも戦いが始まり、イフを俺とバーズさんとアーノルド・ヴィン・ラハールを中心に構成圧された部隊で倉庫内に、エミリーを鬼町きまち兼弘かねひろとを中心に構成された部隊で倉庫外に隔離することが成功し、それぞれが相手専用に練った作戦に嵌めることに成功し、俺はイフの意識に入り込み精神的な操作を断ち切るべくイフの意識へと飛び込んだのだが、一方、エミリー・フリッツと交戦しているヤーヴェンさんとヨハンの策を逆手に取り、ヤーヴェンさんはエミリー・フリッツの一撃を食らってしまう、そして、イフの精神世界に入った俺は黒い繭を見つけ、自分の影と闘い、己の弱さと向き合い、意志を新たに固め、さらに影から勝利を奪い、黒い繭からイフを回収し、イフとの交戦は最終段階へと進むことができたのだった、まる。



 倉庫外、エミリー・フリッツ交戦組。

 大量の光のリングの中、ヨハンとヤーヴェンは苦戦を強いられていた。

 エミリーの影を用いた攻撃。

 影もできぬ光源の量だというのにかき消されぬ影。

 その影が繰り出す狂爪の連撃。

 一歩も動かないエミリーに反し、まるでドッヂボールをしているかのように動き回るヨハンとヤーヴェン。

 ワンサイドゲームだった。

 そして、その最中、通信魔法で鬼町は二人に言った。


 「交代だ」


 その一言で光のリングから二人はすぐさま出ると同時に鬼町はリングに上がった。

 その光景に攻撃の手をやめ、エミリーは鬼町に言った。


 「貴方はヴァンヴォリックの首領、キマチ…。…仲間の仇討でも?」


 それに気町は笑い捨てて、答えた。


 「敵とかそういうのじゃない。単純に俺の仲間を奪ったその実力がしたいってのと、あの時、アンタのいる間にお目見えできなかったからな、挨拶してぇってだけだ」


 その心中、キマチは呟く。


 (まぁ、仇討ってまではいかねぇがお返ししてぇってのは嘘にはできないんだがな)


 心中より言葉に出たほうが強いのは事実。

 それに鬼町がこのタイミングで出てきたのは理由がある。

 それは相性だった。

 それを証明するために鬼町は懐に隠した短刀ドスを取り出し、鞘を引き抜き、鞘を懐に仕舞うと静かに構えた。

 その一連の動作はまるで水のように滑らかなもので、エミリーはその動作に釘付けにされ、


 「本気って事…」


 鬼町の心の在り方を見た。

 鬼町はリングに上がった瞬間から、死ぬか、死なないかはエミリーの運次第、そのつもりで入っていた。

 要は 初め(はな )っから、勝つ気があった。

 というか、勝算しかなかった。

 ニヤリと鬼町は静かに笑い、言った。


 「もうお話はいいだろ?」


 其の言葉がリングに響き、音が消えた瞬間、エミリーは箱から幾本もの狂爪を放ち、鬼町はエミリーに向かって走り出した。

 狂爪は鬼町一点に襲いかかるが、どれも鬼町は手に取る様に交わした。

 エミリーがどんなに狙おうとも、広範囲の攻撃を仕様とも、鬼町は交わし、弾き、捌き倒す。

 そう鬼町は読んでいた。

 鬼町の能力、気配を読む能力。

 それを使っているだけなのだ。

 攻撃である以上、攻撃の気配と言うものがあり、攻撃して来る者が意志を持っている限り、鬼町は読める。

 敵を倒すという意思は気配を持つ。

 悪寒という気配を放つ。

 ならば、読めないわけがない。

 再び、ワンサイドゲーム。

 今度は鬼町の一方通行。

 想像した動きを物理的に可能であれば実現できる能力を駆使し、超人的な動きを起こし、エミリーに浅く斬撃を入れ込んだ。

 軽く短刀で右腕を撫でるだけ。

 だが、その方が痛みがある。

 さっきまで勝てると自覚していた奴には恐怖という痛手がある。

 あの少年、吉田英斗にこそ、室内という環境下を乱雑に活用した方法に負けたが、その縛りがない鬼町は実力、本領を共に発揮できる。

 エミリーの腕を撫でた斬撃を皮切りに、浅い一撃を重ねる。

 斬撃痕ができる度にエミリーは戸惑う。

 触れられない。

 何をやっても攻撃が当たらない。

 どうすればいいかわからない。

 理屈は分かるのに、対策が思いつかない。

 不明点が増え、わからないが脳を埋め尽くし、エミリーは陥る。

 人間の原始的な情動だ。

 わからないという恐怖。

 鬼町は意図してそれを与え、エミリーはそれには嵌っていく。

 これが鬼町兼弘の本領。

 真の領域だ。

読んでいただきありがとうございます。

では、次回もお楽しみに!

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