第三話 仲間が増えましたが、装備品でした。
勢いは恐らく留まるところを知らないと思います。
俺こと吉田英斗は絵面が強い神様にチート能力特典を添付され異世界転生させられ、さらにチートアイテムとしてもらって剣が美少女になっていました、まる。
今、現在、俺は魔剣イフリート(現在の姿はロリ顔の美少女)から、イフリートとは何なのかの説明を受けていた。
彼女曰く、イフリートは元々、堕天した悪魔であり、火を操り悪逆を尽くしていた。
そして、ある日、何者かに剣に封印され、主従関係を強制され、剣の持ち主に応え、形質を変える魔剣として生まれ変わった。
そして、魔剣『イフリート』の本質というのは元々生きていた悪魔をそのまま剣にしているため、剣自体が生きているという部分にある。
生きているという事は使用者の移り変わり、使い方の変化によって変わる環境にその姿を順応し、変化する。
大まかに言えば、進化する剣である。
最後になぜ少女の姿に形態を変化させること出来るのかという事だが、少女の姿は元々の姿らしい。
剣に生まれ変わったと言えど、悪魔は悪魔、そういうのはどうなろうが容易いことらしい。
それが彼女が俺に説明してくれたことのすべてである。
理解が出来たような、出来ないような。
まぁ、取り敢えずどんなものかが分かったからいいとして、俺は訊いた。
「で、イフリートさんはなんで鎧を腕輪に戻したというのにここにとどまれるのですか…?」
使い方を理解した時に知った知識では、腕輪に召喚した武器や防具を戻すとき、すべて強制的に腕輪に戻るという事になっていたはずだ。
だけど、イフリートは俺の眼の前にいた。
その状況に対し、イフリートは答える。
「私はご主人様である貴方が先程、何度も頭を打ち付けながら地面を転がるのを見ましたので、大事を考えて、ここにとどまることにしております」
あ、そういうコトなんだ。
なんて心中で納得すると同時にぶっ飛ぶところ見られてたと思うと、とんでもなく恥ずかしくなった。
正直、穴があったら入りたい。
入って二度と出たくない。
そう思いながら、取り敢えず、
「そうなんだ。ありがとう、イフリート」
しっかり礼を返した。
すると、イフリートは微笑みながら、言う。
「滅相もございません。私も、ご主人様と話す機会が出来て、とてもうれしく思います」
…まるで家政婦とか、メイドさんみたいな精神してんな、この魔剣。
だが、正直、見た目の幼げのある風貌とその奉仕の精神がギャップを生み、彼女の魅力と存在しているように感じる。
これが異世界ハーレムモノの第一段階とでもいうのか?
いや、しかし、待て、待つんだ俺。
いくら見た目美少女と言え、イフリートは剣だ。
もっと言えば、チート特典の装備であり、魔剣だ。
そして、元堕天した悪魔だ。
それをハーレムの一員として迎え入れることができるか?
実質、剣に欲情することになる。
嫌だ。
それは絶対に嫌だ。
という事で、脳内判断会議の下、俺は夢の異世界ハーレム生活がやってこないに一票を投じつつ、そのんな発情期レベルの浅はかな夢を諦めることにした。
取り合えず、膝枕され続けている現状から脱するためにその場から立ち上がった。
それに続く様にイフリートも立ち上がる。
そして、ある事に気付く。
それはイフリートの身長が俺よりかなり低いことである。
俺は身長が178センチであり、それに対し彼女は俺の頭二つ以上は小さかった。
それこそ、イフリートの剣の状態と同じくらいの高さ、大体150センチそのくらいか、下手をすればそれ以下の大きさぐらい。
そんなに身長差ある女の子に膝枕をさっきまでされてたと思い返すと、恥ずかしさを越えて、俺は自身を情けなく思ってしまった。
そして、俺は地面というよりは視界の少し下をぼんやりと見ながら、ため息を付く。
「あ、あの、ご主人様?どうなさいましたか?私の胸辺りを見て…」
俺のことを心配してくれたイフリートは、俺がぼんやりと見ているだけの場所を特定して、胸元をポスポスと叩いているのやら、押さえているのやら、どっちかわからない仕草をし、一言。
「もしかして、お胸があったほうが良かったですか…?」
余計な心配をさせてしまった。
いや、この流れで俺がそんなことまでも求めてたら、それこそヤバい奴なんじゃないか。
そんなように思われたら俺はどのように生活していけばよいのだろうか。
そうなってしまうと、俺は生きていけないのでは。
嫌だ(二回目)。
それは絶対に嫌だ(二回目)。
という事で、俺はその誤解を解くことにした。
「いや、そう意味ではなくてね、自分が情けなくてそう思っただけだから、胸のあるなしとかじゃないからね」
「という事は、私のお胸を小ささを見てこんなに小さなものに膝枕をされてたというのが情けなくなってしまったという事ですね!申し訳ございません、私のお胸がもっと豊満なものであれば、ご主人様にそんな思いをさせずに済んだことを…っ!ですが、どうしようもないのでございます、元々これなのです…」
弁解は出来ちゃようだが、違う誤解を生んでしまったらしく、めっちゃ申し訳なさそうな表情を浮かべてしまっている。
というかやけに察しがいい。
そんなに察しが良かったら普通に胸の方をたまたま見たという事を解ってくれるのではないだろうか。
わざとこじらせているのか、この魔剣は。
そんま疑わしさを持ちながらも、どうしようもなくなった、俺がちょっと嘘を吐くことにした。
「イフリート、俺は自分の持ち主である魔剣に新派有為された自分が単純に情けなく思ってるいんだ。別に胸云々が関係しているってわけじゃないんだ」
と、両肩に手を置き、言い聞かせると、イフリートは聞き返す。
「そうなんですか?」
「そうだ、これからちゃんとできるように頑張るからさ、イフリートはソレを明るく笑って支えてくれよ」
勢いでとんでもなく恥ずかしいことを口走りつつ、俺はソレに応えると、
「はい!これから、私も全力全霊を持ってご主人様を支えさせていただきます!」
笑顔で宣言してくれた。
そして、ようやく、俺とイフリートは旅へと足を踏み出した。
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