第三十八話 ドロップキック突入野郎
やっぱり、この主人公、頭おかしいんよな
俺こと吉田英斗は悲しいことに異世界転生を果たし、何でも屋ヴァンヴォリックと共に世界の敵となっているヨコタシュンスケの一味の一人、エミリー・フリッツを打倒することを決意したその矢先、イフが攫われ、サワムラハルコが重傷を負ってしまい、近衛騎士団から取り調べやらを受けたのち、バーズさんと再会を果たし、ヴァンヴォリック、国王直属騎士団、俺の三つ個人と勢力で協力しエミリー・フリッツを倒そうという提案を受け、ヴァンヴォリック、国王直属騎士団、俺の三勢力の協定がむすばれ、その最中、エミリー・フリッツの居場所が判明し、三勢力の共同戦線をもって、エミリー・フリッツ討伐作戦が始まろうとしていたのであった、まる。
作戦当日。
俺は作戦通りの転位魔法を封じ込めた瓶を持って、例の期限の無い交渉を果たしに王都ビスタリア北端の製鉄所の八番倉庫の出入り口前に立っていた。
一応、話の内容を証拠として保存するために俺の耳に感覚共有魔法が掛かっている。
さらに指示を受けるために意思疎通が遠隔で取れる思考共有魔法も掛かっているため、それなりに重装備な現状ではあるが、それでも俺は不安だった。
相手の能力が最後までわからなかったからだ。
国王直属騎士団の情報もほとんど当て忍ばるモノが無く、それこそヴァンヴォリックとの情報共有と同じ程度のモノしかなかった。
だが、もう時間はない。
日を十個も跨いでいるのだ。
もうこのタイミングしかない。
ここでどうにかするしかない。
「行きます」
俺は小さく呟くと脳内に響く様に魔法越しの濁ったバーズさんの声が言う。
「作戦開始だ」
それを皮切りに俺は倉庫の思い鉄の扉を開ける。
ただし、バアルを換装し、能力フル活用で助走を付けて、勢いよくドロップキックをしてだ。
ばっごーん!
面白いほどの快音が響き、俺は扉を吹っ飛ばしながら突入し、着地と同時にバアルを仕舞い込む。
「ひっ!?」
倉庫の中にいたローブの少女が驚きのあまり、かわいらしい悲鳴を挙げた。
そして、頭の中に突然のアドリブに「えぇ…」と困惑する誰かの声達が聞こえた。
俺はその場でゆっくりと、ふつうの立ち姿に戻し、ローブの少女へ足を向け、予定通りのことを始めた。
「吉田英斗だ。イフリートを返してもらう」
俺がそう言うと、ローブの少女が深くかぶっていたフードを捲りその顔をあらわにして、俺は驚いた。
「!もしかして、…アンタ、足しか、迷子の親探しを一緒にした女の子じゃ…?」
見覚えがあるローブだとと注入した瞬間から思ってはいたが、予想外の事態に俺は戸惑った。
そして、俺の質問に少女は答える。
「久しぶりね。あのタイミングで会うのは私としても不本意だったけど、そう、私がエミリー・フリッツ、貴方の敵」
その答えに俺は驚愕を隠せないまま、自然と零れるように質問を投げかけた。
「なんで、そんなことするんだ?」
それにエミリーは答えた。
「あれはあれで、これはこれ。貴方は世界の敵、どんな手を使ってでも処理しなければならない」
彼女の中から二つワードを抜き出し訊いた。
「世界の敵って、どういうことだ?それに処理ってそういう意味だ?」
それに寛容なのか彼女は面倒な顔一つもせずに答えた。
「まず、二つ目の質問から。処理っていうのは私たちの管理下に置く、またはその場で殺害するのいずれかを行う事。そして、一つ目の質問についてだけど、貴方の持つ力は異常すぎる、これだけしか言えない。これ以上は私が話したところで、私が理解できてないから聞いても無駄」
エミリーはそう答えると、物陰から何かを引っ張って来た。
引っ張て来たものは久しぶりに見たモノだった。
イフだ。
だが、おれはイフを見てすぐに違和感を感じた。
何か違う。
イフではある。
イフではあるが、そうじゃない。
ではなんだ?
そう思った瞬間。
エミリーは言った。
「【従え、忌々しきヨシダエイトを貫け】」
俺はその瞬間悟り、バアルを換装し、距離をとった。
俺が地面をけり込むと同時にイフは動き、右手を刃に変え無雑作に振りぬかれた斬撃がさっきまで立っていた場所の空を切った。
「イフ…?」
俺は躊躇いながらイフに投げ掛けるがイフは何も答えない。
表情すらも変えない。
そんな俺にエミリーは言った。
「魔剣イフリートには心があった。だからその言葉に私の言葉をしみこませ、触れ、心ごと操れるようにしたの」
その言葉に俺は再び驚くとともにエミリーの能力が操る能力なのだと理解し、その解除法、操作するための条件を考え始めた。
そして、脳内で「呼びます」というと、くぐもったバーズさんの声で、「了解」と短く帰って来たのをかくにんすると、俺は退いた先に遭った大きな鉄板をイフとエミリーの目にさすように投げつけ、簡易的なバリケードを作ったのち、ビンを握りつぶし、割った。
その瞬間、青白い光が辺りを包み、第一部隊である、兵士数人が出て。さらにその兵士たちは地面に投げるなり、殴るなりして転移のビンを割り、倉庫の外側に三百人、倉庫内に五十人の大群を築いた。
そして、布陣が敷かれると同時に鉄板をイフが一閃で切り裂き、エミリーは言う。
「予想通りだけど、顔ぶれは予想外」
それに俺は返す。
「仲間奪われてんだ。アンタがどんだけいいやつでも、俺はイフを取り返すさ」
完全に現状を振り切った俺はここですべて決める気満々で、言葉を言い切ったと同時にイフへと走り始め、それを合図に倉庫内にいる他の共同戦線の仲間たちも敵となる二人へと進み始めた。
読んでいただきありがとうございます。
では、次回もお楽しみに!




