第三十四話 立ち上がれ転生野郎
復習みたいで復習じゃない回です。
俺こと吉田英斗は悲しいことに異世界転生を果たし、何でも屋ヴァンヴォリックと共に世界の敵となっているヨコタシュンスケの一味の一人、エミリー・フリッツを打倒することを決意したその矢先、イフが攫われ、サワムラハルコが重傷を負ってしまったのだった、まる。
血だらけのサワムラを負ぶって王都の病院へと向かうと、直ぐにサワムラは緊急治療室なる部屋に連れていかれた。
医師曰く、緊急治療室では手術を行いながら治療魔法をかけるといういわゆる手術室の当たる部屋らしく、その治療法は俺が元いた世界から見れば夢のようなものが、そこで行われているらしい。
だが、サワムラが傷を負い時間がそれなりに立っているという事もあり、失血死すれすれのところからの治療をしているため、生きることができるかはサワムラの体力次第らしい。
俺は治療室前のベンチで治療が終るのを待っていた。
その時、看護師の女性がが一人、俺の元にやってきて、
「あの、事件があったのでしょうか・・・」
俺を疑うような目で、困惑を浮かべながら、訊いてきた。
確かに端から見ればそう見えるのだろう。
仕方のないことではある。
だから、俺は落ち着いて言う。
「一人誘拐されて、誘拐されたのを援けるために負った傷らしいんです。俺が見つけたときにはすでにあの状態で…」
だが、そうも簡単に理解もおろか、状況を受け入れることすらもできていない俺は落ち着けるわけがなかった。
たどたどしくなり息が荒くなった俺に看護師は優しく背中を撫で、
「わかりました。なにか、事件にあったんですね。今から、近衛騎士団に連絡しますので、待っていてください」
と言い、看護師はその場から離れた。
サワムラも心配だが、イフのことが気になってままならない。
ヴァンヴォリックの連中に連絡するにせよ、この事態。
元々、闇組織である連中がどう出るかすらもわからないし、近衛騎士団が関わってしまった以上、協力をして貰う事はいい方向にならない。
ただ待つのみ。
これ以上はどうしようもできなかった。
一時間ほど後だろうか、近衛騎士団がやってきて、病院の一室を簡易的な取調室として俺は事情聴取を受けていた。
最初に名前と住所と職業を聞かれ、状況をやら、関係性やらを細かく訊かれ、それに俺は答えた。
それが二時間ほど続き、部屋から解放されたときにはサワムラの手術は終わっていた。
医師は今日は病室で面会できる状態ではないということで、俺は帰宅することになった。
帰宅すると家の前にはすでに近衛騎士団が十人ほど待ち構えており、家宅捜索をしたいと申し込んできた。
それに俺は承諾し、家の前で外壁に殻をを預け、地べたに座り込むしかなかった。
そんな時、一匹の馬が俺の前で止まり、一人降りた。
「エイト、無事か?」
聞き覚えのある声が耳に入り、顔をあげると目の前に鵜から降りた人物がバーズさんだという事が分かった。
思いがけない再開に俺は驚きながら、
「俺は無事です。でも…」
続きと言いかけると、バーズさんは俺の頭を撫でて、
「ああ、そこは訊いてるよ。イフちゃんが攫われて、もう一人の仲間が重傷なんだろ」
わかっているというように言葉を並べ、
「私が来たんだ。心配するし、落ち込んだりもするだろうが、君は絶対に無力だといおもわない方がいい。動きたいときに動けないくなるからな」
そう言い残し、俺の家に入って、捜索している騎士たちの指揮を執る声が俺の耳に入った。
地べたに座ったまま俺はバーズさんの言葉を繰り返し、反芻して、小さくため息を吐いた。
クラスタベアに大敗を喫した時といまの俺は同じじゃないか。
俺は俺を乗り超えなきゃいけないのに。
こんなところで戸惑って、足踏んで、止まってて、どうするんだ。
俺は決めたはずだろう。
誰ももう悲しませないと。
助け出して、またいつもの笑顔のある生活に戻すために動かなければならないのだ。
俺はその為に立ち上がらなければいけない。
土を知りにつけて、何の意味がある。
土煙をあげて突き進まなければならない立場だろう。
やらなきゃいけないんだろう!
俺はその奮い立った心で立ち上がった。
そして、俺は試したいことを試すことにした。
それは装備を格納している腕輪のきのうの一つだ。
腕輪には装備を格納する機能の他に一つに装備の強度を可視化し確認することができる機能がある。
少なくとも、それで何かダメージを受けているのかを確認する程度は出来る。
その機能を使って、俺はイフの状態を確認した。
イフは現在も人型をたま追っていること、そして、『ほんの、ごくわずかに耐久が減少』しているのが分かった。
何かをされているのは間違いはない。
嫌な予感は消えないが、イフが壊されてはいない、それだけは確信し、俺は前に進むために思考をめぐらせることにした。
読んでいただきありがとうございます。
では、次回もお楽しみに!




