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第三十三話 悪魔を壊すアクマ 

最近、ギャグのテイストを忘れている。

早く元の路線に戻したいです・・・。

 吉田よしだ英斗エイトの拠点から攫われたイフの話だ。



 水の滴る音でイフは目を覚ます。

 そして、直ぐに体を動かそうとすると身体が動かない。

 見てみると縄などなかった。

 そして、記憶を遡り、これがローブの少女の能力で起こっている事象という事を理解し、さらに自分の行いを思いだし、過呼吸に陥る。

 サワムラハルコを自らの手で殺めたかもしれない。

 少なくとも、最後に見た彼女は倒れている姿だった。

 吉田が仲間として認めた人物を、そして、吉田を裏切った。

 どうしようもない。

 どうすることもできない。

 過去は変えられない。

 今までの自分が築いた歴史が自身に刻み込んでいるから、よくわかった。

 自分の手で行った事実に。

 自分の身体が操られ、意志が関係ないとしても、罪悪感は行いという一側面が排除されない限り、重圧として乗り続ける。

 その重圧に押され、押され、圧され、圧され、とうとう潰れた。


 「ああぁぁあああぁぁぁぁっぁっぁぁあああああああああああああああああぁっぁあああああっ!!!!!」


 叫んだ。

 悲鳴を挙げ、のたうち回る。

 おかしなことに、自分の身体が縄で縛られているかのように手足が密着しているだけでそれ以外は自由に動かせる。

 だが、それだけだ。

 何もできない。

 その事実がさらにイフの感情を押しつぶす。


 「うあああああああああぁぁああああぅぅぅぅうううううううううう!!!」


 唸り声の様な響きを持った悲鳴は見たことのないレンガの薄暗い室内に反響して行く。

 まるで芋虫のように体をうねらせ、イフは動かなくなり、咳き込んだ。

 喉が枯れた。

 いくら現在の元の姿が魔剣と言えど、元は悪魔。

 声だって枯れる。


 

 「ぅぅ…あぁ・・・」


 だが、それでも、悲鳴は止まらなかった。

 記憶には悪魔だった頃に殺したものたちの苦悶の表情が浮かんだ。

 そして、それと同時に、殺したときに自分が浮かべた愉悦にあふれた笑みを思い出す。

 その忌まわしい記憶が脳をかき乱すが、体は一向に動かない。

 涙が止めどなく溢れ、何度も、何度も、頭を地面に叩き付けた。

 傷は出来るが、血ではない。

 剣なのだ。

 出るのは鉄の削れた粉だけ。

 だが、何度も打つ付けた。

 今自分に出来る贖罪だと信じて、打つ付けた、

 打ち付けて、何回目かも数える気が無くなり、無数に、無限に打つと付け、涙を流す。


 「【従え】、【そのその行動をやめて】」


 その声と同時にイフの身体の自由は完全に無くなり、動く事ができなくなった。

 その声の方へ顔を向けると右目を縦に切り裂く大きな傷跡を持った一人の少女がいた。

 来ているローブを見るに攫った人物だという事が一瞬でわかり、イフは感情のままに訊いた。


 「なんで、こんなことするんですか!」


 枯れた声で叫ぶように放たれた言葉に、少女は悲しそうな表情をして、イフの目の前まで歩くと、その場にしゃがみ、イフの頬を撫でて応えた。


 「世界を、守るため」


 少女は白く長い髪をかき上げると、その場で立ち上がり、どこかに歩きだしたかと思えば、椅子を一脚持ってきて、言った。


 「【従え】、【この椅子に座れ】」


 そう唱えると、イフの石に関係なくイフの身体は立ち上がり、少女が用意した椅子に座った。

 それを見て、少女はまた言う。


 「【従え】、【椅子の背凭れに手を回し、手首を縛られよ】、【足の踝同士を付け、足首を縛られよ】」


 そして、その言葉通りにイフの石の関係無く再び体は背凭れの後ろに手を回し、手首を縛られるように手首同士を付け、両足も足首を縛られる様に踝同士を付け、手首、足首共に動かすことができなくなった。

 イフは必死に動かそうと抵抗するが身体が動かない。

 そんなイフを見つめて、少女はイフの傷だらけの額に口づけをした。

 突然の少女の行動にイフは止まり、少女はそのまま耳元で囁いた。


 「あなたは優しい。人間ではないようだけど、あなたは人よりも人の感情がある」


 その口調は優しく、甘く、深い。


 「私は、あなたにあなたの仲間を傷つけさせたことに公開しているの。許して頂戴。知らなかったの。だから、あなたが傷付けたあの子がもし生きていたら、命令であっても手は出さないようにする」


 その言葉は許しを求め、救いを出すような矛盾を孕んでいた。


 「だから、私のいう事を聞いて」


 そう言うと、イフの額に少女のか細い人差し指をツンと乗せるように指した。

 その瞬間、イフはわかった。

 目の前の少女の記憶や、感情が流れたことによって、少女についてを理解し、恐怖した。

 この少女はイフ、いや、『イフリート』と同じだ。

 悪を悪として感じなかった過去のイフと同じだ。

 それにこの少女は復讐ができるのならなんでもいいと思っている。

 何でもいいと思いながら行う復讐ほど恐ろしいものはない。

 善悪の判断どころか、自分に対しての良し悪しも判断していない。

 すべを捧げ、捧げたモノすらもすべて投げてている彼女の生き方にイフは驚愕し、戸惑った。

 悪魔でもないのに羅刹の道を歩めるのか、と。

 そして、何よりも少女の転生の原因になった、死因。

 それにイフは驚きのあまり、呟いた。


 「親に殺された・・・?」

読んでいただきありがとうございます。

次回、主人公に戻ります。

では、次回もお楽しみに!

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