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第三十二話 従者の従者

変則的なお話なのです。

エミリーは強い。

 吉田よしだ英斗エイトはヴァンヴォリックの連中と情報共有しに彼の拠点を開けているときに遭った、いわば同時間軸で起こった別の出来事であり、サワムラハルコとイフのお話である。

 イフはサワムラハルコと共に吉田の拠点で平和を謳歌するが、二人の前にローブのフードを深く被った少女が現れ、イフは操られてしまい、サワムラの命を狙うために突如として不穏が訪れた。



 サワムラは最速で能力を発動させながら、先ずは居間の食卓の下に隠れた。

 簡単な位置で索敵側の様子を見るためにあえてそこに居すわる。

 行動には必ず癖がある。

 探し始める方向、高さ、物、などなど。

 それらから

 逃げ道や逃走経路を探し出す。

 吉田の際はそれができるというレベルではなかったからできなかったが、今なら、この状況ならそれができる。

 (アタシだって、一応、元プロなんっすよ!)

 心の中で意気込むと、案の定、サワムラを追ってきたイフが居間にやって来た。

 どこに向かうのか、先ず見るべき場所として定めた観点での観察を始めた瞬間、イフは右手を巨大な大剣に変えた。

 (え?)

 サワムラは唖然とし、ハッとした。

 そして、最悪の予想をした。

 大剣で部屋中壊しまくるんじゃないか、と。

 そして、その発想から一間空き、実現する。

 横に一閃と薙ぎ降るわ振るわれた腕は周囲を切り裂いた。

 その瞬間、サワムラはわかった。

 探すとかではなく、殺せればいい動きをしてるのだと。

 その瞬間、サワムラは能力を解かずに隠し持っていたナイフを一本取りだした。

 そして、自分の音という気配の一首を隠しながら、飛び跳ねて移動し、家の梁に着地する。

 気付かれない。

 その自信はある。

 だが、殺せればいいという相手にいつまで隠れて防戦をつらぬけるかわからない。

 そんな危機感と共に、イフと吉田に何かあったときと仕込んでいた数十本のナイフの一本を現状漬かっているという事実に言い難い感情を覚えた。

 力になりたいと思った相手に捧ぐべき力を穂子として向けている現状に、とまどいすらも感じていた。

 感情を振り払うように首を横に勢い良く振って、サワムラはイフの顔を見た。

 イフは操られたからだを止めたいのか必死に耐えていた。

 その目からはうっすらと涙も見え、サワムラは見ていられなくなった。

 楽しそうに語った吉田に従える訳。

 その中の大きな一部であるはずのこの家が自分の手で、不本意ではあるとはいえ壊すという意味がどれ程のモノか、サワムラは何となくわかった。

 そして、なんとなくでも、その感情は伝わり、サワムラはそこからさらにもう一本ナイフを用意し、イフを中点とした直線を描く様にイフの左右にナイフを投げ、床に刺した。さらに同様の直線を描く様に前後に二本投げた。

 そして、唱える。


 「〔守れ、止まれ〕!〔その箱は金剛〕!!」


 それは魔法の詠唱だった。

 ナイフの飛んだ位置からサワムラを捉え、サワムラへと足を踏み込んだ瞬間、イフ中心に正四角形を造る様に床に刺さったナイフが光り、イフを光の面で覆われた直方体の箱が現れた。

 これは空間を分断し、行動を制限する結界を作成するサワムラが覚えている八つの魔法の一つだ。

 光の壁はこの世界に存在する最高の硬度を持つコウゴン石程の硬度を誇るとされていて、並大抵の毛院では超えることができないものだが。

 イフは魔剣イフリートなのだ。

 一払いで結界は分断され、消滅した。

 だが、サワムラはそれも織り込み済みだった。

 予想通りとテンションを上げたサワムラは小さな声で唱えた。


 「・・・〔糸は絡まる、その絡まりは動きを阻む。糸は切れぬ、解くまではかたどり続ける〕」


 詠唱を終えた瞬間、イフの身体はどこからともなく現れた。

 その糸は一瞬でイフの手足の絡まり動きを拘束した。

 イフはその糸を切ろうと身体から刃を出現させるが切れない。

 この魔法は絡まる糸を解かない限り、拘束され続ける、一風変わった魔法だ。

 そして、動けないイフに追い打ちをするように梁から降りたサワムラは唱えた。 


 「〔我が身は大樹、思いが強さになる。我が身は大樹、縛るものを吸い取る根は縄のごとく〕!」


 そう唱えた瞬間サワムラの身体は解けるように形を崩し、一本の大樹と化し、大樹は天井ギリギリで成長を止め、根だけが職種のようにイフに絡みついた。

 再び根を切ろうとイフは抵抗するが、切れない。

 切れないどころか、イフの体力が根に触れている場所から吸われている気がした。

 だが、それは気のせいではない。

 この魔法はエナジードレインなのだ。

 自信を大樹と化し、根によって相手の体力を吸い取る魔法なのだ。

 この魔法は改良版だ。

 元の魔法は大樹の根の強度が脆弱だった。

 だが、改良し、相手に対する思いが強ければ強いほど根の強度が増す仕様に変えたのだ。

 切れる訳がない。

 そう確信したサワムラは体力をなくしイフに倒れてもらえるように手を尽くすしかない。

 だが。


 「逃げて、サワムラ!」


 イフが彼女にそう叫んだ瞬間。

 ゴォオ!!!

 イフリートの能力で糸が燃えて消え、根が燃えてイフから離れた。

 その瞬間、サワムラの変身排除され、それと同時に、イフの超高速で放たれた足刀蹴りがサワムラの鳩尾に突き刺さり、サワムラは吹き飛んだ。

 家具に当たり、壁に激突し、床に落ちたサワムラはすぐに立ち上げるが、目の前にはイフがおり、


 「やだっ!!!???」


 嫌がるようなイフも叫び越えと共に、イフは剣に変えた腕をサワムラに振り下ろした。

 鮮血が飛び散り、サワムラは切られた。

 切られたサワムラはそのまま膝から崩れ落ち床に倒れてしまう。

 イフを止めなきゃ、そう思いからを動かそうとしイフを見つめる視界にローブの少女が入ってきて、彼女はイフの肩に手を置いて言った。


 「もらうね」


 それと同時に床に落ちていた家具の影にイフと共に少女は消え、そこから間もなく、サワムラの意識も途絶えた。

 それから、二十分後に吉田はこの惨状を見ることになる。

読んでいただきありがとうございます。

次回も変則的でイフがメインです。

では、次回もお楽しみに!

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