第二話 転生しました。でも、理解が追いつきません。
勢いで書いた2話です。
俺こと吉田英斗は絵面が強い神様にチート能力特典を添付され異世界転生させられました、まる。
草原を歩き続け、何時間たったのだろうか。
全く疲れない。
単純に風とキレイな空気が心地いい。
というかこの草原はどこまで続くのだろうか。
そう思った時のコト。
ドン…、ドン…、ドン…。
遠くから地割れのような鈍い轟音が鳴り響いているのに気づく。
その音の方へ、原因を探るために向かうと、そこには一匹の蛇がいた。
そして、それが原因だった。
一匹の蛇がネズミを食っていたのだ。
…ただ、その程度のことであれば、別に原因と断定できるものではないだろう。
しかし、判断できてしまった理由がひとつ。
わかる範囲でネズミが十メートル以上の超絶巨大サイズだった、それだけだった。
そして、それを喰らう蛇がそれよりも大きく全長はネズミの十倍、それ以上のメガサイズ。
その光景はさながら、怪獣映画。
転生初日でこんなのに目を付けられたら、死ぬのではないだろうか。
そう感じ取った瞬間。
丸のみ中の蛇と目が合った。
目があったまま、蛇はネズミを丸のみすると、蛇の身体にネズミの大きなこぶができ、そのこぶが蛇の頭からだいぶ離れた瞬間、舌をシュロロロ、と出した。
ずっと目が合ったまま、蛇は口を開け固まった瞬間に俺は悟った。
自分が餌として認定されたことに。
死んだわ、俺。
そう思いかけたとき、思い出す。
チート装備とかチート能力とか貰わなかったか、と。
その瞬間、脳に右手首の填められた腕輪の使い方が流れ込み、使い方を理解した。
「これがチート能力の一つ、『何でも使い方が解っちゃう超絶感覚』か!」
そう独り言を叫ぶと、鎧『バアル』と魔剣『イフリート』を召喚し、身に纏った。
そして、再び、使い方が脳に流れ、剣術や身の運び方込みで理解する。
理解したまま、その知識を生かすべく、背負ったままのイフリートを片手で掴み、振りかざし、振り抜いた。
ブゴォン!
風を切る轟音と共に柄から鼓動のような感触が伝わってくるのに、気付く。
「…もしかして、これ、進化するというよりは生きていて、順応するっていう方が正しいのか?」
使い方を知れど、どういうものなのかはまった理解できていない俺はまるで、イフリートに話しかけるように呟き、一間を置いてから、両手で柄を持ち、構え、切っ先を蛇の眉間に向けた。
その瞬間、蛇は恐ろしい速さで噛み付こうと迫った。
迫ったが、蛇をは俺をとらえることができなかった。
光は波でもあり、粒子でもある。
それはご存知のことだろうと思う。
俺もそれは知っている。
だが、鎧の使い方を知ったとき、俺は驚いた。
光の流体の力を利用し、高速で体の運動を加速させる、なんてバカげた超解釈も甚だしい機能が付いていることに。
いつから光は流体になったんだと。
だが、その機能が俺の身を守った。
その機能が俺の跳躍能力を飛躍的に上昇させたのだ。
超速かつ、かなりの高度を持った飛翔を下俺の身体を宙を舞い、およそ十メートルほどぶっ飛んだ。
だが、俺は元のいた世界の常識では考えられないことを確信していた。
全部、制御できる、と。
体勢も、速度も、力も、何もかも。
その瞬間、なんか行けそうな気がした。
いつか夢見た、ヒーロ―のように立ちはだかる壁を強さを持って超えていけるような、そんな気がした。
上昇すれば、落下もする。
落下中の空気抵抗の風圧が心地よく感じる。
目の前には最初の壁となる蛇が俺を補足し、上を向いたまま、また噛み付こうと牙をむき出しにして口を開けている。
それに目掛けて、俺はまたイフリートを構え直す。
構え直して、縦に振り下ろし、体ごと回転し始めた。
ブオン、ブオン、ブオン、ブオンブオン、ブオンブオンブオンブオンブオンブオンブオン!!!!
回転は増していき、俺の姿はまるで、電気丸鋸のようになっているのだろう。
回っているこの瞬間はなんともないが止まったとき三半規管がどうなっているのかが恐ろしい所だが、今はこれを決めて、身を守らなければならない。
その一心で、回転を続け、ついに噛み付きに体を俺に向かって全身を伸ばした蛇とぶつかる。
ぶつかり、俺の回転は止まることなくまるで車輪のごとく蛇の身体を真っ二つにしていき、地面に剣が刺さり、突き刺さると同時に、その反動で、俺は吹っ飛んだ。
吹っ飛び、地面に何度も頭をぶつけながら地面を転がっていく途中で、絶対に俺の一撃で蛇を倒せたという確信と、これはまた気絶するなという予想をしつつ、案の定、俺の意識は途絶えた。
後頭部がやけに暖かい。
それになんか頭の位置が身体の位置に対して妙に高い。
そんな感覚でおれは目を覚ました。
そして、
「え」
目を覚まし、俺は唖然とし声を上げた。
俺は確かに草原で戦い、恐らく草原で目覚めるはずだ。
さらに、後頭部に圧迫感を感じたことから自分が仰向けだという事が予想できる。
ならば、視界には、夜であれ、昼であれ、曇りであれ、晴れであれ、空が写るはずだ。
はずなのだが、俺の視界に映ったのは少女の顔だった。
一応、少女の顔の背景となっている場所には空が映り、ほんの少し、頭を動かし、周囲を見てみると、恐らくさっきまで歩いていた草原が広がっている。
どうやら気絶している間、少女は俺のことを見ていたらしい。
というか、俺は視界に映る少女の状況と、俺自身の体勢と感覚から思うに、俺、目の前の少女に膝枕されてんじゃないのか?
いや、されてるわ、これ。
それに少女の顔を見てみると、めっちゃ美少女だった。
ちょっとロリよりの美少女だった。
だが、俺は思う。
漫画やラノベでよく見る突然美少女と出会って爆速で仲良くなる状況が俺に適用されてるにしても、こんなただ広い草原に人影なんて見たか、と。
気絶している間にここら辺に通りかかったとしても、あんな蛇がいる所だ。
死体だと思って、逃げるのではないだろうか。
もしそういうところで人が倒れているのを見つけたなら、少なくても俺は逃げる。
死んでるだろうと決めつけて、化け物の被害に遭わないようにさっさと逃げる。
ならば、この少女は?
俺は不思議に感じその不思議をストレートにぶつけることにした。
「あのー、どちらさまですか?」
その質問に少女は優しく微笑み、一言返してきた。
「私はイフリートです。貴方の剣、全能神からの贈り物です」
その答えに俺は、「は?」と至極真っ当な反応をして、思い返す。
イフリートは、こんな美少女だっただろうか。
確かに全能神とかいうおっさんからもらった贈り物だし、もう俺の物として扱ってはいた。
だが、剣だった。
鼓動を感じる不思議な魔剣であり、全長150センチくらいの大きな両刃剣だったはずだ。
で、いま、目の前にいる少女がそれを名乗っている。
どういう事?
そう思っていると、俺の表情が物語ったのか、少女は心配そうな顔をして、
「先ほど、私を使って蛇を倒したではありませんか。それに強く握って私の鼓動を確かめてくれたではありませんか。それでも、私のことわかりませんか?」
決定打を言ってくれた。
俺は、今までのコトを思い出し、振り返りながら、目の前の少女が魔剣イフリートだという事を確信した。
そして、小さく、
「えぇ…」
暴力的なまでの超展開に困惑したのだった。
本当に勢いだけですみません。