第二十四話 やっと対決、取り戻せ安眠生活。
勢いで書いた結果がこれです。
俺こと吉田英斗は悲しいことに異世界転生を果たし、暗殺目的の女に命を狙われてしまったのだが魔剣イフリートことイフに謎の拷問を受け、俺たちに寝返り、彼女が所属する何でも屋ヴァンヴォリックを潰しに本拠地に足を運び、ボスのいる部屋にたどり着いたのだった、まる。
「おりゃぁ!!」
全力で扉を蹴っ飛ばし、ボスがいるとヨハンが言っていた部屋に入ると、一人の男がいた。
その男は大きな机に肘を付き、豪勢な椅子に座り、俺を見つめていた。
「元気が良いな、吉田英斗」
男は俺の名を呼んだ。
そして、続く様に言う。
「お前が探してたのは俺だろ?俺がヴァンヴォリックの頭をやらせてもらっている鬼町兼弘だ」
自己紹介で堂々と教えてくれたヴァンヴォリックのボス改め、鬼町は三十代後半の見た目からも彼が醸し出す雰囲気からも年季と言うものが感じられた。
鬼町はその低い声で。
「俺は仲間に会えたことがうれしいんだ。お前、いや、ここでは英斗さんって呼ぼうかね。英斗さんよ、一旦話し合いをしようぜ」
提案を持ち掛けた。
俺はその提案を却下しようとしたが、鬼町の目や気配から、敵意こそはあるが戦意や殺気などは感じ取れないことに気付き、構えを解き、
「わかった」
一言だけ返した。
返答に頷き、鬼町は立ち上がると、椅子を一つ用意し、俺にそこに座れと丁寧なジェスチャーで指示をし、それに俺は従った。
俺が座ったのを確認すると鬼町も先ほど座っていた椅子に座った。
「申し訳ないな、それほど良い椅子じゃなくて」
「…構わない。本題があるんだろ、それを聞きたい」
お茶を濁す様な鬼町の言葉にすかさず俺は本題を急いだ。
それに鬼町は表情を変えずに頷くと、一枚の紙を見せた。
そこには俺の特徴や俺を殺したときの報酬等が書かれていた。
それが依頼書出ることが一瞬でわかった。
そして、その依頼書を読み進めると依頼者の欄に元凶の名が書かれてあった。
『エミリー・フリッツ』。
どうやらドイツ人らしく、この世界にはないドイツ語でその名前が書かれていた。
そして、俺は訊いた。
「そいつ、転生か?」
その質問に鬼町は答える。
「それは答えられないが、俺にもこの依頼者には多少なりとも因縁があってな、ヒントだけだが、ヨコタシュンスケ、そいつの仲間だ」
その言葉に俺は驚きを隠せなかった。
思いがけなかったその名前に俺は単純に衝撃を受けた。
「一応、依頼を受ける時に動機を訊くって事になっててな、いろいろ長々と聞かされたが、『この世界にとって悪影響になるから』って言うんだ。おかしくて笑っちまった」
そして、鬼町はその紙の両端をつかみ、一気に引きちぎった。
「ッ!?」
俺はさらに鬼町の行動に驚かされた。
そして、破いた紙をポイっと床に捨て、鬼町は俺にこんな質問を投げかけた。
「今回、英斗さんの突撃で負傷者はたくさんだが、死んだ奴は誰もいなかった。どうして誰もやらなかった?」
「…殺されてねぇんだ、命を奪う必要ないだろ。それに何でそんなことを訊いた?」
すぐに俺は答え、質問を投げ返した。
それに鬼町はニタリと笑い、俺の質問の答えと提案をした。
「英斗さんのその答えで信頼できるかを測ったんだ。で、だ。俺は英斗さんは信頼できる人間と踏んだわけだが…。どうだ、俺と手を組んで、依頼者のエミリー・フリッツを倒さないか?もちろん、金輪際、アンタに手出しはしないという約束は結ばせてもらおう」
三回目の驚愕。
その予想外の提案に俺は開いた口が塞がらなかった。
鬼町はそんな俺を見て言う。
「驚くのは無理もねぇ。実はな、ヴァンヴォリックには今は俺を含めて三人だが、元々は十二人の転生した同志がいたんだ。だが、エミリー・フリッツがここを襲撃しに来た。それで転生の同志の三人が殺されて、六人が連れ去られた。俺はその六人を連れ戻し、三人の敵を討ちたい。虫がいいのはわかってる。だが、これだけはしたいんだ。頼む。」
そう言うと鬼町は頭を下げた。
それは動機だった。
同情できる内容であり、鬼町の声は悔しさ、そのものだった。
だから、俺はその場から立ち上がり、言った。
「わかった、その提案は飲もう」
鬼町に同情した、というのもあったが、すべてがエミリー・フリッツから繋がるのならと言う考えもあり、考え出した答えだった。
だが、俺は肯定的な意見を放ったのだが、続けるように言った。
「これはこれ、それはそれだ。今まで襲ってきた分、いや、睡眠不足にさせられた借りはしっかり返させてもらうぞ」
本来の目的を言い放ち、イフリートを構えた。
イフは小声で「…なんか戦わない方向で話してた気がするんですけど、気のせいでしょうか…?」と地味突っ込んでいたが、小声で「…だから、これはこれ、それはそれだよ…」と俺は返すと、「…承知いたしました…」とイフが無理やり自信を納得させるように答えた。
鬼町は俺の答えに頭を抱え、彼も立ち上がって訊いてきた。
「英斗さん、受けて立ってもいいけども、実は結構、根深いタイプなのか?」
それに俺はさも当たり前に、
「そうだよ」
即答し、鬼町さんはその速さに面倒臭そうな顔をした。
そして、机の前までゆっくりと歩き、鬼町は俺の前に立ちはだかった。
お互いの視線をぶつけ、ヴァンヴォリックへの仕返し、最後の戦いが始まった。
読んでいただきありがとうございます。
次回、ヴァンヴォリック編最終話です。
では、次回もお楽しみに!




