第二十話 こいつは転生
割と狂気的なお話です。
読むときはソレを踏まえたうえでお願いします。
俺こと吉田英斗は悲しいことに異世界転生を果たし、暗殺目的の女に命を狙われてしまったのだった、まる。
朝食をいつもと変わらずにとり、今回のクエストはお休みということになり、仕事を半強制で休まざる負えなくなったことにイライラが溜まり、俺とイフは眉にしわを寄せて、殺人未遂女を睨んで監視していた。
そして、お昼頃。
「…ん、うぅ…」
女がまた目を覚ました。
そして、すぐさま自分の身体を縛られていることを理解したらしく、
「…情報は話しません」
潔く口を噤むことを選らんだ。
それに俺とイフは顔を合わせ、再び、殺人未遂女を見つめる。
そして、イフはこんなことを言った。
「血を出させずに行うことができる拷問が御座います。もちろん物音は最小限で、悲鳴も御座いません。いかか致しますか?」
「…、マジで言ってる?」
「大マジでございます。私、ご主人様の命を狙った不届き者が私の眼の前で生きていることがたいへん不服であり、さらに横柄な態度を取っていることにむかっ腹が立っております」
「まぁ、確かに、クエスト行く予定を潰した揚句、監視で時間使わせて、そして、この態度に普通に俺も怒ってる」
「では、どういたしましょうか?」
「今使ってない部屋あるだろ。そこでやるっていう約束で」
「承知いたしました。では、お手をお掛けいたしますがその部屋まで運ぶのを手伝っていただけますでしょうか?」
「いいよ、先に部屋行ってて」
そんな女側からしたら死刑宣告かどうかの裁判のような会話を繰り広げたのち、イフは俺の命令通り、空き部屋に向かった。
そして、ドアの開く音が多くで聞こえた瞬間。
俺はバアルを纏い、家の床を傷つけない様に細心の注意を払って、高速移動で椅子の上で暴れる暇もなく空き部屋に運び出した。
部屋の中心に置かれた瞬間、椅子の上できょろきょろと何が起こったかわからない様子で驚いたように辺りを殺人未遂女は見回していた。
そして、それを尻目にイフは俺に深々と頭をを下げた後に、
「ご主人様、本日、私の昼食と夕食を抜いてください。今回、ご主人様を守るという事が出来なかった罰でございます。どうかこの願いお聞き下しますでしょうか?」
「考えとく」
「では、良き答えをお待ちしております。あと、拷問などという野蛮な行為をご主人様に見せてはならないと私の方で判断いたしました、そのため、夜になるまではこの部屋に立ち入りなさらないでほしいのです」
「…わかった」
「ご理解いただき、大変、嬉しく思います。」
そんな会話をしてイフの指示通り、俺は空き部屋にイフと殺人未遂女を残し部屋を後にした。
そこから大分時間がたち、夜になった。
俺は例の空き部屋の戸をノックし、部屋に入ると、
「ご主人様、先ほど丁度、終えました」
いつも通りの笑顔のイフと顔面蒼白で、大粒の涙を流し、ガクガクと震えている殺人未遂女がそこにいた。
拷問は終わったという事で少し殺人未遂女を観察するが、目立った外傷はなく、少し方が軽い力でぶたれた程度の腫れ方をしている以外変わっているところはなかった。
たぶん一、二回は軽いビンタはしたのだろう。
だが、その程度でそんなに怯えるだろうか。
本当に何したの…?
そんなことを思っていると、イフはこっちにトテトテと近寄り、
「彼女のお名前はサワムラハルコ、十七歳。ギルドに属さない冒険者で、その代わりに何でも屋『ヴァンヴォリック』の一員であり、転生した御方でございます。ご主人様の命を狙った動機は匿名の方からもらった依頼で、という事らしいです」
拷問で得た情報を報告してくれた。
だが、
「ちょっと待って、こいつ、転生してるって?」
聞き捨てならないことに俺は聞き返すと、
「はい、この方は一度、プールで足をつって溺死というとんでもなくダサい死因をしております。チート特典は気配を消す、眼には見えなくなる、武器を隠し持てると言うものでございます」
イフは毒を吐きつつ、丁寧に教えてくれた。
そして、サワムラの方に振り向き。
「そうですよね」
と一言。
だがそれにサワムラは何も返すことはなくガタガタと震えるだけ。
そして、さらにイフは優しい口調ではあるがどこか無機質で冷たい感じを放つ声で、
「震えるのは寒さに堪えるだけでよろしいでしょう?聞かれたことには答えなさいな、童」
と言い放つと、声を出すことはなかったが、ブンブンと首を縦に振って頷いた。
本当に何やったんだろう。
そう思いながら、イフの頭を撫で、俺は廊下の片隅に置いたトレーを一つ持ち上げ、イフに見せた。
トレーの上にはこの世界で米に当たる存在、『コルメルル』を焚き、おにぎりにしたものを並べていた。
「…これは?」
イフは不思議そうにそれを見て俺に訊くと、
「昼食抜きという罰をあたえたから、情報を聞き出したご褒美として、夜ご飯だ」
あらかじめ用意していたセリフをイフに投げた。
「ありがたきお幸せ。僭越ながら、頂かせていただきます」
イフは深々と頭を下げ、感謝を述べた。
そして、サワムラに目を向け、俺は言う。
「このトレーには三つ皿があるんだ」
それだけ言って、明かりもなかった空き部屋に明かりをともし、夕食をとることにした。
ちなみに、殺人未遂女は俺が食べさせるという形でおにぎり四つを完食した。
その晩、俺とイフはサワムラが抵抗しないように見張り、朝を迎え、イフの要望で大の字に手足を縛り壁に括り付けると、拷問の第二部が開始したのだった。
この拷問、というか拷問はすべてイフがやりたいと強く押し、それに負ける感じで聞き入れていた。
やはり、悪魔。
俺はそう思い、恐怖に身震いするのだった。
読んでいただきありがとうございます。
では、次回もお楽しみに!




