第十八話 なにもない、クエストは休み。そうすなわち、平和な一日なのである!
今回はイフを可愛く書きたかったけどなんか失敗している回です
俺こと吉田英斗は絵面が強い神様にチート能力特典を添付された上で異世界転生させられ、ようやく本格的に始まった異世界転生生活の記念すべき一回目のクエストをこなしたのだった、まる。
初クエストの迷宮洞窟を出た次の夜、ようやく王都ビスタリアにたどり着き、俺たちはすぐに自宅に戻て睡眠をとった。
そして、今日。
俺とイフは依頼報酬を受け取るためにギルドに向かい。財宝以外の未知の生物などの発見があった場合の一万ルーカス、そして、このクエスト自体の報酬の五万ルーカス、さらに討伐すると報酬がもらえる特殊指定狩猟モンスターに指定されているオールンガの討伐により、オールンガ一体に付き100ルーカスが156体で1万5600ルーカス、そして、ボス個体一帯で二千ルーカスの追加討伐報酬をゲットすることができた。
報酬の合計、7万7600ルーカス。
俺たちが住んでいる家、約三つ分に相当する額である。
要は俺たちは今日、この日、金持ちになった。
だが、目標の為にはいつも通りに不自由しない程度の生活を続けていかねばならないのだ。
しかし、金の力は恐ろしいもので、散財したい欲望に俺は負けてしまう。
「なぁ、イフ。今日の夕飯はちょっと高い所で食べようか」
「そんな、よろしいのですか?」
「あぁ、アンガーさんの視線に耐えてくれたし、いつも戦ってくれてるからさ」
「ありがとうございます!」
イフの笑顔を見ながら会話をしてふと思いだした。
「そう言えば、イフって、いつも剣になったり、ヒト型になったりしてるけど、服はどうなってんの?なんかいつもしれっと人型になったときに来てるけど、その服って変哲の無い普通の服でしょ?」
それにイフは少し考えたのちに、
「確かに私が来ている服は普通のお洋服でございます。ですが、どうなってるんでしょうかね、お洋服の扱いは」
逆に疑問になってしまった。
どうやら服はどうなっているのという質問はブラックボックスに仕舞ったほうが良いのだろう。
しかし、いいことを訊いた。
俺とイフの来ている服は洗濯したものをローテーションしたボロボロの服だ。
今、お金があるこのタイミングで新しい服でも買おうではないか。
という訳で、俺とイフは洋服店を目標に歩き始めた。
商店街的な場所を歩いて十分もしないうちに洋服店を見つけそこに入店した。
入店をし、自分の服をさっと、買い物かごに入れ、子供用の売り場に足を運ぶと、俺は唖然とした。
そこには元いた世界と同じくらい大量の種類が売ってあり、キャラクターものなどはないもののカラフルな色合いの服が並んでいた。
どういう事なんだと女性服売り場を見てみると男性服と同じくらいのレベルの種類しか売っておらず、子供の服だけが充実していた。
確かに看板には「子供用衣類充実」という旨の言葉が並んではいたが、ここまでくるともう子供服専門店で売ればいいと思ってしまうほどだった。
俺は若干、品揃えの格差に引きながらも、イフに
「好きな服を買っていいからな」
とだけ言うと
「本当ですか!・・・ですが、私はそう言うオシャレと言うものに疎いので、どんなものを選べばいいのか」
と、遠回しに俺に服を選べという無茶ぶりを振って来た。
元いた世界ではほぼ年中、黒いパーカーにジーンズかスウェットというセンス皆無な服装をしていた俺に衣服を選ぶセンスはない。
そもそも色のセンスもない。
中高で美術は2だった。
だが、二次元のキャラクターのデザインや色使いにバシバシ文句を言っていた。
今、自分のセンスのなさをかみしめるこの瞬間になって思う。
俺に色合いやデザインについて文句を言う資格はなかったのだと。
「俺の馬鹿!もう知らない!」、と言いたくなった。
だが、こうもイフは俺を頼ってくれているのだ、それには答えなければ。
「よ、よし。俺が選ぶの手伝ってやる」
という事で手伝いというセンスの無さを少しでも露呈させまいとラインを引いて服選びをすることになった。
とりあえず、まずは自分で選んでみてくれとイフに言い、イフに自由に服を選ばせていると、
「…ご主人様、こっ、こここれはどうですか?」
すこし緊張しているのか少しどもりながらも身体にハンガーがかかった売り物を当て、見せてくれた。
水色のノースリーブのシャツとダークブラウンのショートパンツの組み合わせで、色もそれなりにあっているという、やっぱり、見た目のような女性っぽい所は元が堕天した悪魔でも持っているんだなと思い、俺は心に劣等感という打撃ダメージを受けた。
「いいと思うよ。活発そうに見えるし、動きやすそうでもあるね」
と、過去にネット掲示板で投稿された絵に対し言った感想をほぼコピー&ペーストしたものを口にした。
面倒だからではない。
単に知識がなかったからなのだ。
という事で、初めの組み合わせは俺がオーケーサインを出したという事で、籠の中へとはいっていった。
その後も、イフが選んだ服のセンスは良く、どんどんカゴには品物は増えていった。
そして、突然、前振りもなくイフは俺にこんなことを振った。
「あの、一品だけ、ご主人様の選んだ服が欲しいです」
それはイフの純粋の願い。
それは俺の純粋なデッドボール。
従者様、やめてください、死んでしまいます。
当人への心理への台パンは禁止になっっております。
だが、イフの俺が見る目は期待に満ちているものだった。
裏切れない。
そう思い、必死になって辺りを探し、一つ、目についたものを取って見せた。
それは黒い無地のワンピースだった。
一か八かで選んだそれは、
「素敵です!私、それすっごい気に入りました!」
どうやらイフのお眼鏡にかなったらしく、嬉しそうにイフは笑っていた。
時間は過ぎ、夜。
イフと共に、少し高そうな店で夕飯をとっていた。
「今日は本当に楽しかったです」
イフはニコニコと笑いながら感想を口にし、
「そっか、良かった」
俺は短く返した。
こうして、何もない平和な一日が終っていくのを感じてながら、俺は異世界生活を楽しんでいた。
その日の夜。
俺は夢を見た。
あの時の嫌な夢を見た。
そして、眼を覚ました。
額には汗を浮かべ、息は荒くなり指先は冷たくなっていた。
また、あの夢か。
そんなことを思いながらふと、自分が寝ていた場所のすぐ横を見ると隣のベッドで寝ていたイフがいた。
どうやら寝ぼけて、俺のベッドに入って来たみたいだ。
そんなイフに俺は安堵し、また眠ることにした。
俺はまだ許されてなくても、この世界で歩きたいと願いながら。
読んでいただきありがとうございます。
では、次回もお楽しみに!




