第十六話 本当にここから始まるバカ騒ぎ
ちょっと汚い所があります。
俺こと吉田英斗は絵面が強い神様にチート能力特典を添付され異世界転生させられ、さらに成行きでバーズさんの元で修行することになった、そして、その修行の中、巨大な鳥をチート特典をほぼ無くした状態で倒すという苦行を課されたのだった、まる。
「おりゃあぁああああ!」
岩石と岩石の間にルフレアコンドの嘴を上手く挟ませ、その隙間から嘴を引き抜く僅かの間に俺はルフレアコンドの背中に飛び乗り、剣を胴体にぶっ刺すことに成功した。
したのだが、ルフレアコンドは嘴をやっとのことで引き抜くと、空高く飛び上がり、暴れ出した。
俺は必死に突き刺した剣を深く突き刺すために押し込むとそれに比例するようにルフレアコンドは暴れる。
暴れる、暴れ、暴れまくる。
正直、三半規管に影響を及ぼし始めて来ており、俺は吐きそうになっていた。
そして、とうとう、その時は来た。
「おぼrrrrrrrrr」
吐いた。
汚いスプリンクラーとなった俺は吐きながら、自分からスプラッシュしたものを全身で浴びながら、諦めず剣を突き刺し続け、
「ぐぇ」
そんなルフレアコンドから発された断末魔と共に俺は勝利した。
ただし、勝利場所は地上ではなかった。
そりゃそうだった。
空中で暴れまわって汚物スプリンクラーになってたんだもん。
俺は空中で嘴をギリギリのところでゲットし、地面に向かって落下していった。
吐瀉物にまみれたチート転生者は地面にそのまま叩き付けられ、気絶した。
気絶する前、地面に叩き付けられる感覚はすっごい痛かった。
「…ま、ご…んさま…、ご主…ま…、ご主人様!!!」
「うわぁ!?」
イフが俺を大声で呼ぶ声に驚きながら、俺は飛び起きた。
「ひゅい!?」
その俺の起き方にイフも驚き、
「うお!?」
バーズさんも驚いた。
「お前、本当に頑丈だな」
バーズさんは俺にそう言って、目が覚めるまでに何があったかを説明してくた。
俺が地面に落ちた後、イフとバーズさんが俺が気絶しているのを発見。
念のためにと大量に持ってきていた回復ポーションを俺にすべて無理やり飲ませたところ傷は完治したのだが、意識が戻らない状態になっていた。
そして、そこから二時間ちょっとで俺が目を覚まし、今に至るという事らしい。
ちなみに、回復ポーションは三十八本飲ませたらしい。
腹は無駄に水っぽく、口に青臭さを感じているのはその所為らしい。
その説明を聞き終え、俺は抱えていた嘴を見ると半分に割れ、壊れていた。
そして、このクエストは、成功を認定する照明物が壊れたことにより報酬が半分になることが確定した。
その帰り。
馬車に揺られ、俺たち三人は談笑を交えながら、窓に映る景色を楽しんでいた。
一応、火山の麓にある街で着替えを買い、銭湯で体を洗い流し、汚物にまみれたモノを麻袋に仕舞い込むことにした。
荷台には以来の証明判定となるモノが入った袋とちょっとしたものしか入っていないポーチと汚物袋が馬車に揺られている景色を窓越しから確認することができる。
つかの間の休息、そんな時間はすぐに止まる。
突如として、馬車は止まり、馭者が突然、俺たちの元に飛び込んできた。
「団長!竜だ!ドーゴンが!」
バーズさんに縋り付き、怯える馭者をなだめ、屋形から飛び降りると、上空には完全に俺たちがいる馬車を狙って空中を旋回するドーゴンの姿があった。
そして、バーズさんは俺を見て、
「馬車と馭者さんは私が守ろう。あいつはエイト、君がやるんだ」
そう言って肩を押してくれた。
それに俺は深く頷くと、
「イフ!」
「承知いたしました!」
俺の掛け声にイフは答え魔剣イフリートに姿を変えると俺の手の中にその柄が収まり、腕輪から鎧を召喚し、身に纏う。
そして、すべての準備を終えると、俺は超高速で空中へ飛び上がり、不規則な軌道を描く。
「イフ、眉間辺りにすれ違うように飛ぶからそこで人型に一瞬だけ戻ってダメージを与えてくれ、直ぐ助けに行く」
俺はソレだけを告げると、宣言通りに眉間辺りでイフを手放し、ヒト型になったイフは人型に戻ると腕を刃に変え一閃。
そして、ドーゴンが痛みにもがく直前で高速でイフ回収し、イフはイフリートに姿を変える。
その間、二秒。
瞬く間に行われた攻撃にドーゴンは暴れまわり始めるが時すでに遅し、巨大な火炎の剣となったい振りとを振りかざし、ドーゴンを真正面から俺は一刀両断した。
そして、空中で鉤爪を回収し、着地する。
それを見てバーズさんは満足そうに笑い、
「合格だ」
そんな一言も添えて、拍手をくれた。
こうして、俺の修行生活の幕が下りたのだった。
次の日。
ルフレアコンドの半額報酬とドーゴンの緊急討伐報酬でなんだかんだで小金持ちになった俺は小さな一軒家を買った。
そして、バーズさん宅から荷物を新たな自宅に送り、元の部屋の風景に戻った間借りしていたバーズさん宅の一室を少しの間だけ眺め、俺は居間に向かった。
そこにはバーズさんがおり、あのときのように新聞紙のような紙、もとい、バーズさんが教えてくれた名前で『シィブルパース』を読んでいた。
「バーズさん、俺たちもう行きます」
短くそういうと、バーズさんはテーブルにシィブルパースを置き、玄関先まで俺たちを送ってくれた。
「エイト、イフ、君たちはさまざまな道を通るだろう。だが、あきらめなければ何とかなる。どうにもならなかったいつでも私に相談しに来なさい」
そんな言葉を俺たちに送り、それに、
「「ありがとうございます」」
二人で感謝を口にし背を向けた。
こうして、俺たちの異世界転生生活が本当に始まった。
読んでいただきありがとうございます。
今回でやっと修行の件が終り、とうとう自立生活が始まります。
ですが、今のところ世界を救うような同行は無し、果たしてどうなるのか。
作者もわからない!
どうなるんだ、この作品は!?
では、次回もお楽しみに!




