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第十三話 力試しは度胸試し(前編)

今作初の前後編です。

 俺こと吉田よしだ英斗エイトは絵面が強い神様にチート能力特典を添付され異世界転生させられ、王都ビスタリアに到着し、そこでギルドに加入、そして、二回目のクエストで自分の意識が足りないことを自覚し、成り行きで王国騎士団長アルフレッド・バーズさんの家に泊まることになり、さらに成行きでバーズさんの元で修行することになった、そして、成り行きでこの世界を脅かす者の存在を認知することができたのであった、まる。


 時間は過ぎ、修行三十日目。

 ほんの少しだが、体力がつき始め、バーズさんとの演習で連撃を続けられる時間が長くなった。

 まぁ、バーズさんにコテンパンにはされることは変わらないが。

そして、本日、バーズさんの提案でクライムボアという魔獣を一頭討伐するクエストを受けることになった。

 クライムボアとは見た目はイノシシに酷似しており、前方に大きく突出したキバが倒したときに残る魔獣となっている。

 また、その名の通り、崖を昇る(climb)習性があり、魔獣自体の気性の荒さから崖付近に分布する村に大きな被害をもたらしている。

 全長は大きい方で5m程ではあるが気性が荒いため群れを作る事はおろか、つがいの形成すら珍しいとされる。

 そう、大体一匹狩れば問題解決となる、のだが。

 被害を受け依頼を要請した崖の麓に位置する村に着きその惨状を目にしたとき、俺は唖然とするしかなかった。

 恐らくレンガの壁があっただろう後には何もなく、民家にレンガが散乱し、中には住居の残骸に突き刺さるレンガがあった。

 そして、破壊された場所至る所にある偶蹄目クライムボアの足跡。

 そんな村の中を歩いて行くと、一人の男が俺たちの前に現れた。


 「だ、団長様!!」


 そして、バーズさんの方へその男は歩み寄りながら、バーズさんの事を団長と呼んだ。


 「・・・クライムボアの被害は甚大、と言ったところだな」


 バーズさんは辺りを見渡し、そう言うと、


 「はい・・・、村の勇敢な戦士たちも歯が立たず、みんな・・・」


 男はそう言い掛けると、男は涙を浮かべ地面に崩れ落ち、


 「通常であれば、戦士たちは怪我する程度で追い払えたんです・・・。今回はデカすぎた・・・。恐らく過去最大の個体の1.5倍はデカい。…そんで普通のよりもアイツはタフで、だれも歯が立たなかったんです。どうかっ、どうか、村を助けてください!!」


 バーズさんに懇願した。

 そして、バーズさんは男と同じ高さにしゃがみ、目線を合わし、肩を叩いた。


 「…こんなところで村長が泣いてちゃダメでしょう。私たちが来たんだ、クライムボアのことは気にしないで、村を立て直す方法だけを今は考えなさい」


 そして、そう告げるとバーズさんは立ち上がり、俺に向けて言う。


 「・・・最近、こういう魔物関連の事件が多くなっている。クエストも魔獣関連のモノが増えている様でな。その原因として、『ヨコタシュンスケ』率いる組織がかかわってる可能性があってな」


 バーズさんは言い終わると、断崖絶壁の崖を見つめた。

 しばらくして、バーズさんは俺の肩を叩いて、村の外れへと歩き始めた。

 それに俺は付いて行くことにした。



 「どうだ、あの村の状況を見て」


 バーズさんは立ち止まった場所でそんなことを訊いてきた。


 「…何というか、悲惨でしたね」


 俺は率直な感想を口にすると、バーズさんは答える。


 「そうか。…あれがエイトが話をしたいと言っている連中が引き起こしたことだ」


 その言葉に俺は少しの疑問が浮かび、訊いた。


 「連中ですか…。そういえば、さっき可能性があるってだけ言ってましたけど、なんでそう言い切れるんですか?」


 「痕跡がった、それだけだ。普通、クライムボアは崖を上る途中に存在する村を襲うんだが、襲ったらすぐに崖をがっていくんだ。それで、昇った時には少なからず崖に新しい傷ができるんだ。だが、今回はそれがなかった。それに暴れるだけ暴れ尽くしたって感じで、登った痕跡がなかった、それが理由だ」


 そしてバーズさんは懐から一枚の紙を取り出し、それを見せた。

 紙面には地図が書かれており、そこには大量の赤い目印が書かれていた。


 「この印、やけに一点に集まってると思わないか?」


 確かに言われてみれば、一定の区域の大量に印が密集している。

 そして、バーズさんは続ける。


 「これはすべて『ヨコタシュンスケ』に最近潰された国と協力関係、または庇護下に置かれていた、村や街だ」


 それを聞き、俺は驚いた。

 そして、バーズさんが言いたいことを察した俺は『ヨコタシュンスケ』率いる組織はそれほどまで容赦がないのか、と思った。


 「…それでも、エイトは話をしたいと思うか」


 ゆっくりと、深い息を吐きながらバーズさんは訊いてきた。


 それに俺は言う。


 「俺はソレでも話し合いをしたいです。『ヨコタシュンスケ』がなぜそんなことをしているのか、なんでそう言う事をするまでに踏み込んだのか、それが知りたいんです」


 それが俺の答えだった。

 転生してなにがあったのか。

 転生するまで何があったのか。

 同じ転生したものとして、知りたかった。

 その答えにバーズさんは笑った。

 笑って、返してくれた。


 「ははは、やっぱり、エイトは不思議な奴だよ。まぁ、そこらへんは好きにやるといいさ」


 そして、一間を開けバーズさんはニヤリと笑って言った。


 「それじゃあ、クライムボアの狩り方を説明しようか」


 こうして、クエストが完全に開始された。

後半に続く。

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