第十話 マッチョマン先生
ウル●ラマン先生を最近見たからそういうタイトルにしたと言う訳じゃないです。
俺こと吉田英斗は絵面が強い神様にチート能力特典を添付され異世界転生させられ、王都ビスタリアに到着し、そこでギルドに加入、そして、二回目のクエストで自分の意識が足りないことを自覚し、成り行きで王国騎士団長アルフレッド・バーズさんの家に泊まることになった、まる。
バーズさんとお話をした後、バーズさんの提案で街外れの山に向かった。
長い距離を歩き、バースさんが足を止めたのは森の中の木が少なく開けた場所だった。
そこの真ん中へ、バーズさんは歩き、立ちどまると、俺とイフのいる方へ振り返り、彼の持参している日本の木刀のうち一本を俺に投げ、俺はソレをキャッチし、受け取った。
そして、受け取ったのを見て、バーズさんはもう一本の木刀を握り直し、俺に刃の方を向け言った。
「実力を見せてくれ。どうも、素人のように見えるからな」
見抜いた一言と共に木刀とは言え、剣を交えろと要求された。
それに、俺は転生してからのことを思い出し、静かに頷くと、木刀を構えた。
そして、
「うおりゃあああああああ!」
向かっていく。
知識として存在している剣術を素人の身体でアウトプットしながら振るわれる剣筋をいともたやすくバーズさんは弾き、いなす。
その表情は恐ろしいくらいに爽やかな笑顔で、俺を計り、試しているのが表情からも見てとれた。
筋力が無い俺は出来るだけ、手数で体力が持つ限り攻撃を打ち込む。
だが、それはすべてバーズさんの手によって無力と化する。
やはり本当に剣を振るったことがあるかないかの差に実践の差が加算され、大きなレベルの違いが生まれている。
そして、そのレベルの違いを見せつけるように、バーズさんの一線が右の太ももに打ち込まれる。
「イギッ!?」
思わず上げてしまう悲鳴。
だがそれでも俺は動きを止めずに攻撃を打ち込む。
だが、バーズさんはソレを無に帰し、今度は右腕を一閃の太刀筋が襲う。
「っ!!」
ギリギリのところで自分の木刀を剣と腕の間に挟み、若干のダメージ軽減を図るがそれも虚しく、声にならない悲鳴を挙げてしまう。
「ほぉ、これに剣を挟むとは。反射神経だけはいいんだな」
納得したような様子でバーズさんは感心の表情を浮かべた。
だが、その間も俺が続けて打ち込む攻撃を払い続け、
「うむ、エイトよ、君の力はよくわかったぞ!」
そう言うと一、二、三、四、五。
五発の剣筋の閃光が右肩、左太もも、左横腹、右横ばら、そして胸辺りを押し倒すように走り、俺は吹き飛んだ。
「ぐあああ!」
声をあげながら倒れ込んだ俺は痛みに蹲った。
それを見て、バーズさんは俺の元に寄り、
「ははは、すまん、ホントは最初の二発で倒れる算段だったんだが、君が予想外にタフな上に剣を止めてくれなかったせいで、少しだけ敵対者を牽制する攻撃してしまった」
そう言って謝って来た。
いや、あれだけやって牽制レベルとか、怖すぎない?
「うむ、まぁ、一応、脱臼やら骨折やらの大きい怪我はさせないようにやったが、少しやり過ぎてしまったようだ。…立てるか?」
バーズさんはそう言って、手を差し伸べ、俺はソレにつかまり、ゆっくりと助けを借りながら立ち上がった。
だいぶ俺の身体の痛みが治まり、バーズさんと俺は座り、イフは俺が倒れないようにと背中にそっと手を添えて俺の後ろで膝立ちをしていた。
一応イフにはそうしなくてもいいと言ったのだが、言う事を聞かなかったからやりたいようにやらせることにした。
それはさておき、バーズさんは俺と一戦を交えた感想を話した。
「うむ。君は剣術の知識は少なからずあるらしいな。まぁ、筋力のせいか少し目標のぶれはあったが、やりたいことはそれなりに出来ていたようには感じる。だが、あまりにも体がその知識についていけてないな。それこそ、知識だけあるが使ったことが無い、そんな感じだ」
話の内容は全く持ってその通りだった。
俺の超絶感覚の欠点を百点満点で言い当てた。
今のところバーズさんにはイフの正体含め、チート諸々のことは教えてはいない。
なのに、しっかりと本質だけは見抜く、やっぱり、騎士団長という肩書は伊達ではなかった。
そして、バーズさんは少し考えてから、言う。
「これから少しの間だが、私の元でちょっとした修行をしてみないか?」
それは提案だった。
とても俺にとってはおいしい提案だった。
だが、唐突にそんな提案をされた俺の反応は
「え?」
単純な驚愕だった。
そんな俺の表情にバーズさんは笑いながら、
「ははははは、そりゃそうだな。いきなりそう言われちゃ、そうなるか!実はな、私も数年ぶりに新人の兵士たちを育てる機会があってな。その練習というかは勘を戻すために君に剣を教えたいんだよ」
そんな裏話的なことを教えてくれた。
それに俺はならば、という意志を持って、返すことにした。
「なら、俺に剣を教えてください」
頭を下げ、頼む。
それにバーズさんはこう答えた。
「よろしくな」
こうして、俺はビスタリア王国国王直属騎士団団長アルフレッド・バーズの弟子となった。
読んでいただきありがとうございます。
やっと、十話行きました!!
では、次回もお楽しみに!




