第九話 行い改め、明日へ続け
たぶんここから二、三話はギャグないです。
俺こと吉田英斗は絵面が強い神様にチート能力特典を添付され異世界転生させられ、王都ビスタリアに到着し、そこでギルドに加入、そして、二回目のクエストで自分の意識が足りないことを自覚し、成り行きで王国騎士団長アルフレッド・バーズさんの家に泊まることになった、まる。
目を覚まし、木製の天井が視界に写る。
陽光のせいかまるで映画のワンシーンの様に映える視界は数回の瞬きでいつも通りの視界に順応し、それを脳が感知したと同時に一つ、俺は気付いた。
やけに隣が温かい。
俺は上半身を起こし、隣を見ると、イフが寝ていた。
添い寝したってやつだった。
だが、夜中に目が覚めたときにイフはベッドの横で俺を見守っていたとバーズさんから聞いた。
それにその時にベッドの横で寝ているイフを見ている。
たぶん寒くなって布団に入って来たのだろう。
「…ありがとな」
小さい声でそう言いながら、頭を優しくなでた。
そして、そっとイフを起こさないようにベッドから離れようと動きだした時、
「…ぅん…」
イフが起きた。
そして、眼をこすりながらイフが俺の姿を見つめて三秒。
「ご、ご、ごぉ、ご主人様が起きてるっ!!!目覚めていらっしゃる!目覚めていらっしゃります!!」
めっちゃくちゃでかい声で驚かれた。
笑顔で喜んだ表情を浮かべているその姿を見て、本当に懐かれてしまったなと思う同時に、それだけ慕ってくれていることに対して嬉しさをおぼえた。
だが、
「イフ、さすがにうるさいわ」
騒ぎ立てるのは通りが違うぞ、そう表さずには負えなかった。
イフに連れられるまま、バーズさん宅のリビングに案内され、その扉を開ける。
「お、おはようございます」
お泊り経験皆無の俺は他人の家で過ごす朝が初めてだったせいで少しどもった挨拶を口にした。
しかし、少しだけとは言え振り絞った勇気の割にはリビングにはバーズさん一人しかおらず、なんというか、失礼な事ではあるが勇気が無駄に感じた。
しかし、バーズさんはその声を耳にして、おそらく新聞紙的な紙の束を読んでいた視線を俺へと向け、豪快な笑顔で、
「おはよう!」
返してくれた。
バーズさんのその反応だけで少なくとも俺たちがこの家にいることを歓迎していないわけではないという事が分かった。
そして、バーズさんはゆっくりと椅子から立ちあがると、台所の方へ向かい五分ほどして、
「すまんな、家内が今、家を空けていてな、朝食はパリアだけなんだ。それでもいいなら食べるか?」
大量のこの世界に着いて初めて食べたパンのようなもの、もとい今初めて名称を知ることができた『パリア』が大量に盛られた大皿を出した。
「いいんですか?」
俺の知る値段で一つ、60ルーカスだとしてもこうして無料で食料を分け与えてくれるバーズさんに俺は一回聞いてしまう。
「はは、今日市場で30ルーカスで売っていたからな」
まさかの安値更新を果たしたことに若干驚いてしまったのはともかく、バーズさんは快く頷いてくれた。
「お言葉にあまえて、いただきます」
そして、それに俺は乗っかることにしたのだった。
朝食を食べ終わったイフと俺は食卓をバーズさんと共に囲み、俺がた取れたときのことをすべて話した。
話終り、聞き終わり、バーズさんはまず最初に。
「ははははッ!そうかそうか、若いなぁ、やっぱり」
大笑いした。
そして、続けて話す。
「まぁ、私にもそんな時期があったよ。若さの勢いでいろいろ軽視し、大失敗もした。だから私はそう言う勢いでやってしまったという点は責めることができない。というよりは、むしろ、良かったと思っているんだ」
「良かった、ですか?」
バーズさんに俺は聞き返すと、バーズさんは頷いて続けた。
「あぁ。そうやって勢いだけじゃダメなんだ、力任せでいれば何とかダメなんだ、そういう意識が足りなさを失敗を経て自覚するのはいいことなんだ。だけどね、今回のことについて私が命を懸けて戦う者の先輩として一つだけ注意しなきゃいけないことがある」
バーズさんは一息置き、厳かな声で言った。
「それはね、心配してくれる人がいても、その人を本当に心配させることなんだ。本当はね、心配してくれる人は心配させちゃダメなんだ、心配するだけ無駄だよって安心させるべきなんだ。だけど、君はそうすることはできなかった。だから、君はそういうところは改めなくてはならない」
その言葉に俺は視線を下げてしまった。
言う通りだった。
何も捻りもない正論で、俺は何も言い返せなかった。
そんな俺にバーズさんはそっと肩に手を置き、
「はは、そんくらい顔をするな。二度としなきゃいいことだ。それに俺が言ってわかる事じゃないと思う事だからな、エイトがそれを理解していると踏んで言ってることだ。あとはお前さんが決めることだ」
快活な笑いと共にバーズさんは言ってくれた。
その声に俺は顔を挙げ、イフを見る。
さっきまで項垂れていたせいか、心配そうに俺を見ていたイフに、俺は言う。
「ゴメンな。俺、これから頑張るよ。だから心配すんな」
そう言って頭を撫でた。
読んでいただきありがとうございました。
次回もお楽しみに!




