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5、復讐者と予見者

予見者に己の素性を話した復讐者。


彼らが向かう先は。

 

 ぬるくなったコーヒーを飲み終わり席を立つ。


「おばちゃん、いくら?」


「銅貨4枚。」


「はいよ。」


 対価を払い店を出る。

 わ

「ありがと、払ってもらって。」


 全然悪いと思っていないように言われる。


「別にいいぜ、お前の金だし。」


「え?あ、本当だ。返せロリコン泥棒。」


「ロリコン泥棒って…まぁいい、一飯の恩だ、返してやるよ。」


 すぐに返されると思ってなかったのか赤い目が少し見開くがすぐにムッとする。


「一飯の恩って勝手に払われた。それに、もともと返すつもりなかった。」


「捕まらなかったら返すつもりはなかったよ。」


 こちらも特に悪びれることもなく言う。


「返してくれたからいい、けどまだ質問は残ってる。」


「じゃ市場でも回りながら聞くよ。」


 市場に向かって歩きながら話を聞く。


「最初の質問、倒して着た人数は?」


「お前含めて二人、最初の一人はお前を倒す二、三週間前に倒した。」


「そう、二つ目の質問。チートスキルを教えて。」


 まぁ、聞かれると思っていた質問だが返答に困る。


 教えるのは構わないが少しめんどくさい能力なのでどう伝えるのがわかりやすいか。


「うーんと、簡単に言うと痛みを具現化させる力だ、難点はダメージを受けなきゃいけないところと、痛みを軽減する行動を取るともう一度貯め直さなきゃいけないところだな。」


「すごいめんどくさい能力。」


 この能力についてどうやら同じことを思うらしい。


「あぁ、すごくめんどくさい。お、このリンゴうまそう、買った!」


 早速買ったリンゴにかぶりつく。うん、うまい、転移前と変わらない味。


「んあ、ほうだ、んぐっ、そうだお前の力教えろよ。」


「名前は予見者、スキル内容はもう意味ない。」


 質問を否定で返されるという予想外のことをされまた質問をする。


「そいつはどう言うことだよ?」


「わからない?復讐者リベンジャーのせいだと思ったんだけど…今日になってから未来視が使えない。」


 話を聞いたがいまいちピンとこない。


「使えないって完全にか?」


「うん、完全に。あなたが次に何を話すのか、何をするのかすら見えない。」


 嘘かと疑うが嘘を言っているようには見えないし、言う意図が見えない。


「昨日俺と戦闘してた時は使えてそれ以降は一緒にいたから…俺に負けたことがトリガーか?」


「それしか考えられないと思う。」


 冷静に分析され、落ち着いたトーンで返される。


「相手のスキルをうばう能力か…復讐者らしくていいじゃねぇか。」


 また俺好みの能力が判明し、思わずニヤリと笑みがこぼれる。


「んー、だがそうなるとお前は俺にやり返そうとか思わないの?」


「思わない。私は戦闘を挑まれて負けた。その代償に少し不便になった。それだけ。それよりもこれからどうするの?転移者探し?」


「そうか…お前がそれでいいなら。それじゃ転移者探しにギルド行くぞギルド。」


 残りをすべて食べ、上機嫌にギルドへと足を向ける。


「ギルド?ギルドって私が使ってるギルド?」


「そこに情報屋がいる、ついてこい。」


 連れは半信半疑と言う表情で後ろをついてくる。


 ーーーーーーーーーー


 一応始めて来る場所だが、目的は限られているためそう困ることはない。


「こんな辺鄙な所でどうやって情報集めるって言うの?」


「まぁ、見てなって。」


 一番奥の誰も近寄らない雰囲気のテーブルに座る男を見つけ隣に立つとボソリと男は言う。


「命と金、どちらが重い?」


 金貨を指で弾き男に渡す。


「金だ。情報が欲しい、何か派手な事をやったやつとかいないか?」


「すごい曖昧…」


 後ろで呆れたような声が聞こえるが今は無視する。


「こっから南に行ったところにウェザリンシティってとこがある。そこで二人組の冒険者が大活躍してるって話だ。」


「サンキュ、助かったぜ。」


 しかし男は沈黙するだけで返答はない。


 何か言いたげにするが制止させる。


「いつもの事さ、気にすんな。」


「そうじゃなくて、何その人…今までいた?」


「それも気にするな、気づける奴と気づかない奴がいる。それより物資の補給だ、市場に戻るぞ。」


「えぇ…また戻るの??」


 ーーーーーーーーーー


 市場で大体のものを買い揃えるともう日は暮れ、町は夜の賑わいを見せる。


 昨日泊まった宿にもう一晩泊めてもらうことにした。


「どっこいしょっと……あー疲れた、流石に3日分の食料を運ぶのは辛いな。」


「お帰り、遅かったね。」


 先に帰った予見者が、わしゃわしゃとタオルで髪を拭きながら備え付けの風呂から出てくる。


「まぁ、二人分の食料買ったからな。」


 突然言われた事のように驚愕した声を出す。


「なんで私までついて行く事になってるの?」


「転生者同士一緒にいればなにかと便利だからだよ。ところで転生者ってあと何人いるんだ?」


「女神様から聞いてない?転生者は全員で7人だよ。」


 女神様という言葉を聞くがいまいちピンとこない。もしかして転移する時に居たやつのことだろうか。


「後は4人で、2人倒せば残るは2人か、楽勝だな。」


「楽勝って何もなければいいけど。」


「なにもないって風呂入って来るわ。」


 ーーーーーーーーーー


 風呂から上がり寝床に潜ろうとするが先に占領されていた。


「そこ俺が寝ようと…ま、いいわこっちで寝よ。」


 先客のいる寝床の横を通った時に強い力で握られ、引き込まれる。


「ぅん……やっぱり……これ………すぅ…………」


 こりゃしばらく寝付けない生活が続きそうだ。

復讐者は情報を頼りに次の街へと向かう。


その途中、ある事をきっかけに冷たい夜風が心を撫でる。


次回、「復讐者、出発」

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