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18、犯罪者の時間稼ぎ

裁断者を倒し、息をつく復讐者だったが街の憲兵団が彼を追う。


全く状況が読めない中、ただひたすらに街をかける。

 

「はぁ…やっとまけたか……」


 複数の鎧の音がだんだんと遠くなって行くことに一息つく。


 逃げるのにはなれているが不慣れ街、それに相手は数もいてそれにこの街に慣れている。手を焼くのは当然か。


 しかしなんで俺がスラム街破壊の張本人として扱われなきゃいけないんだ?壊したのはあいつだろ。


 考えれば考えるほどに文句が湧いて出てくるが、今はこの路地から抜け出す事が先決か。


 服はローブを脱げばいいとして、顔はバレてるかどうか怪しいな…


 ローブを脱ぐ途中、何か硬いものが内側にあることに気がつく。


 手に取って見てみると予見者がくれた仮面だった。


 これをつければ怪しまれはするかもしれないが先程のように追われることはまずないだろう。


 早速その仮面をつけて路地を抜け出す。


 ーーーーーーーーーー


 特に声をかけられると言ったこともなく街の中心に出る。


 夜でも人は多く、がむしゃらに逃げるよりかは逃げやすい。


「お前掲示板見た?」


「あぁ、見た。まったく身寄りのない人の町を襲うなんて血も涙もない野郎だぜ。」


 すれ違う人の会話を耳にする。


 突っ込みたいところだが話からするとお尋ね者にでもなってしまったのだろう。


 一応確認のために掲示板らしき場所まで行くと真新しいポスターが貼られていた。


 みると仮面を被った黒コートの男がスラム街を破壊したと書かれている。


 軽く人相まで書いてあったが白い質素な仮面をした男だったのでどうやら仮面を外しても大丈夫なようだ。


 念のために人目がなさそうなところで仮面を外し、今後のプランを立て直す。


 まだこの街の中での話だと思うので、出てしまえば問題はない。しかし次にどこに行くかだ…あぁこの世界の地理も勉強しておくべきだった。


 予見者を頼ろうにもあいつらの宿までの道わからない。


 いつもの情報屋はお尋ね者には手を貸さない主義だって言ってたし、どうしたものか。


「ま、行くあてもない旅も楽しいか。」


 俺から言わせればこんな世界、夢の中と変わらないし、どうせなら楽しもう。


「お前、ここを出るつもりか?」


 目的のない目的が決まり、食料の調達に行こうと路地を出た時、不意に声をかけられる。


 誰かと思い瞬時に振り向くが、いたのはいつも世話になってる情報屋その人だった。


「なんだよ、びっくりさせるな。それよりお前はお尋ね者には手を貸さない主義じゃないのか?」


「今回の件については目を瞑ろう。だがここだけの問題と思ったら大間違いだ、この情報はギルドがあるところすべてに共有される。」


 それを聞き自分の考えの甘さを痛感しつつ情報屋に問う。


「で、どこまでの情報が共有されるんだ?」


「お前が転移者を倒して回っているということは共有されていた情報だ。そもそも、今回の件はそういう意味で問題視していたギルドが強引に乗り出した結果だろう。そうでなければあれほどの懸賞金はかからん。」


 文を読んだだけでちゃんと見ていなかったがどうやらとんでもない額が掛かっているようだ。


「忠告ありがとよ、なるべく用心するよ。」


 思いがけない助言に素直に感謝し足早に去る。


 この後は適当に市場で適当に食料を買ってこの街から去ろう。


「よぉ、昨日ぶりだな。」


 しかし、現実はそう上手くいかないようだ。


 なるべく会いたくない奴が目の前にいたために苛立ちを隠さず、思いっきり溜息を吐き、振り向きたくはないが、その顔を見る。


「今日はよく人に会う日だな。」


「心待ちにしてくれてたようで何よりだ。」


「あ?誰もそんなこと言ってねぇだろ?」


 ガンを飛ばし、額と額を強くぶつける。


「お?やんのか?いいぜ今度はぶっ飛ばしてやるよ。」


「ふざけんなまた返り討ちにしてやるよ。」


「やめて二人とも、人が見てる。」


 間に杖を滑り込ませるように俺たちの喧嘩を仲裁する。


「ただの冗談だよ、で?何の用だ、わざわざこのタイミングで話しかけてきて。」


「事の顛末を知りたいだけだよ、あいつと何があった?」


 あいつ?おそらく裁断者のことだと思うがなんであいつ呼びなんだ?


復讐者リベンジャーちょっと話したいことがある。」


「わかった、おい守護者、お前の話は後で聞くからまってろ。」


「後回しにされるのは癪だが、いいよ。待ってやる。」


 上から目線なのはムカつくが時間をくれただけ感謝しよう。


 予見者と二人で路地に入る。


「で?話ってなんだよ。」


「実は…昨日の戦闘の後から守護者に裁断者に関する一切の記憶がない。」


 予見者の言葉に思考が固まる。


「……スキルじゃなくてか?」


 なんとか動いた頭で自分の推測を口にする。


「うん…関係あるかはわからないけど裁断者は大切な物って言ってた。」


 大切な物、か。


 それであいつは俺に復讐を…


「そうか、やっぱり俺のせいか…思ってたよりも深刻だな。」


 深い後悔の溜息を一つ吐き出す。


「とりあえず戻ろう、守護者の所に。」


「あ、うん。」


 復讐者になることとはどういうことか、その理由を胸に刻み込み、今一度この問題を真正面から受け止める為に守護者の所に戻る。


守護者から伝えられた言葉は思いもよらない言葉で、動揺を隠せなかった。


果たして記憶をなくした守護者が語ることとは。


次回、「守護者の空白」

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