第26話 聖女様の力
甲斐甲斐しく、聖女様がナナにお茶や軽い食事を準備している。
(あれって、ストーカーって言うより、ご主人様とMにしか見えないようなぁ。)
「ルル、早くしなさい。陛下がお待ちになってるのですから。」
「はい。ナナ様、今お持ちします。」
(聖女様、なぜ顔が赤いのですか?)
「ヒカルっ!」
何故か国王と一緒にビクッ!としてしまった。
「なんだい。」
「今また変な事考えていませんでしたか?」
「いや、変な事は…………てか、聖女様を顎で使っていいの?」
「聖女?……………ああ、ルルの事ね。いいのあの子は。昔から世話焼きだったから。」
(いや、世話焼きとかじゃなく、ナナが命令して、それに喜んで従っているM女にしか見えないんだが。)
「ナナ様、お待たせしました。」
「ありがとう。はい、これはご褒美です。」
「「えーーーーーーっ!」」
それが聖女様が欲しいご褒美なのか?
ナナは椅子から立ち上がり、ドレスの裾を少し持ち上げて右足を聖女様の前に少しだけ持ち上げた。
聖女様はその場所に土下座をするように座り込み、白いヒールを両手で包み込み、ヒールの先端の部分にキスをした。
聖女様~、それはおかしいですよね?
そしてナナ!あなた顔が悪役令嬢のような顔になってますから。
国王は完全に引いている。
この国の、いやこの世界に二人といない聖女様に何をやらしてるんだよ。
「はぁ~。ナナ様ご褒美ありがとうございます。」
ナナはドレスの裾を降ろし、また席にすわった。
これから大事な話をしなくてはいけないのに、国王がまたヤバい事になってる。
はい、聖女様。出番ですよ?
国王にウルトラメガヒールをかけて下さい…………って、聖女様!貴女は一体何をしてるのですか?
「なぁ、ナナ。陛下がまた意識飛んだみたいだから、聖女様にヒールをお願いしてもらいたいんだか。………聖女様。なぜ貴女は席に座らず、先程から床に正座して頭を下げたままなのですか?」
「ヒカル。ルルは私がいいと言うまであのままなのです。」
どんなプレイだよっ!
「いや、でも陛下が……じゃあ、ナナからお願いしてくれないか?それから陛下に大事な話をするんだから、聖女様にもちゃんと聞いてもらおうよ。」
「はぁ~。陛下にも困った物ですね。この調子では、これから私達の話の内容についてこられるかしら。」
お前らの方が困ったちゃんだよ!
「ルル、陛下にウルトラメガヒールを。その後は、私の隣の席に座り私達の話を聞いていなさい。」
あ、ウルトラメガとか本当にあるんだ。
それより、聖女様が一段と輝いて見えるのはなぜ?
「ウルトラハイパーメガヒールッ!」
遠い世界に行きかけた国王が、元気になって……………あれ?今なんて言いました、聖女様?
ウルトラハイパーメガヒール?
なにそれ?
陛下が目を覚ました。
あ、やっぱり。
聖女様の最高の癒し魔法、ウルトラハイパーメガヒールのお陰で、国王は(現在おそらく45歳くらい)なんと20歳くらいにしか見えない程若返っていた。
『陛下も歳だから、精神面は弱いし、頭も固そうだから若返ってもらったわ。』
と、ナナの説明念話が入ってきた。
「こ、これは!身体中から力が溢れてくるようだ。」
それはそうだと思います。特に下半身は。
「ヒカル君、ナナ君、聖女様。少し鏡を見てもいいだろうか?」
「はい、陛下のご自由にどうぞ。」
ナナが懐から手鏡を国王に渡した。
ねぇ、ナナさん。今手鏡を何処から出しましたか?
ナナは手鏡をドレスの胸の内側から出したのだが、その事に俺以外誰も気がつかない。
「うおぅーーーっ!なんと、聖女様の力で若返ってしまった。」
いや、正確にはナナの命令があって。です。でなければ聖女様がウルトラハイパーメガヒールなんて聞いたこともない魔法は使わないと思います。
「陛下、凄くハンサムになりましたわ。」
ナナさん、その上から目線は心臓に悪いからやめようよ。
「はっはははは!そうか!ナナ君もそう思うか!ありがとう!あっははははは!」
ねぇ、俺もう帰っていいかな?
話が全然進まない。
「あら、ヒカル。夜はこれからですわ。」
どこで覚えたんだんだか。
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