第17話 不気味なナナ(fever)
2019年2月5日に修正しました。
「ナナ、一体どう言うつもりなんだよ。」
「あら?ヒカルはいきなり大学生だと気にくわないのかしら?」
「それは、………やっぱり同じ年の子達と友達になったり色々青春を謳歌したいじゃないか。ナナは嫌なの?」
「そうね。今さら子供扱いされるのは家の中だけで十分ですわ。それに学園長ではないけど、私達は中身は大人なのよ。」
「確かにそうだけど。」
「では、ヒカルごきげんよう。」
ナナはさっさと自分の家の馬車に乗り込み帰ってしまった。
「さて、親にはなんて報告すればいいのかな。」
俺も馬車に乗り込み帰宅する。
「まいったなぁ~。」
悩むヒカル。
そして、こちらでも
「はぁ~、まいったわ~!」
学園長だった。
「この能力表には、名前とレベルとスキルしかわからないわ。不明なところが多すぎるわ。」
実は学園長はノリで二人を大学入学を決めたのだ。
「ただいま帰りました。」
「お帰りなさいませ。」
屋敷の入り口でメイドさん達に迎えられる。
(前世、平民育ちの俺にはなかなか慣れない。)
「ヒカルお帰り。」
「お母様、ただいま帰りました。」
「学園はどうでした。」
(やはり、その話をしないとダメか。)
「とりあえず、部屋にいきましょう。」
「はい。」
リビング……と言うには広すぎる部屋に行くと、そこには先に帰宅していた父がいた。
「お父様、ただいま帰りました。」
「待っていたんだぞ。学力テストと能力テストはどうだった?」
俺は父親の対面の席に座り、メイドさんがお茶を入れてくれたのを眺めながら、どう説明しような悩んでいた。
「ヒカル、テストはどうでしたか?」
(母も聞いてくる。…………まぁ、テストの順位でクラスが決まるから、やはり気になるのはとうぜんか。仕方がない。どうせいずれバレてしまうのだから、正直に話そう。)
「お父様、お母様。僕は小等部に入る事ができませんでした。」
ガッシャーーン。…………ガタッ!
母が飲みかけていたお茶が入った高価なティーカップを落として割ってしまい、父がビックリして席を立ち上がった。
「ヒ、ヒカル。それはどう言う事だ!ま、まさかテストの成績が悪すぎて…………」
「ヒカル。それは本当なのですか。」
(うわっ。やっぱり小等部に入れないと聞いたら、ビックリするよね、普通は。)
それは違います。両親は単純にヒカルのテスト結果が悪すぎて、学園の小等部に入れないと思ってるのですが。
「二人とも落ち着いて下さい。」
母が落として割ってしまったティーカップをメイドさんがせっせと片付けていた。
「ヒカル、なぜ小等部に入る事ができなかったのだ。」
「今日、テストの途中で学園長に呼ばれまして、小等部には…………」
「学園長ですって!」
「なぜ、ヒカルが………」
「ちょっと、落ち着いて下さい。まだ話の途中ですから。」
「そ、それで、学園長に呼ばれてどうなったのだ。」
「はい、僕とナナの二人はテストの途中で学園長に呼ばれまして、二人は小等部ではなく大学に入学するように言われました。」
「「はっ?」」
(はい、その反応ナイスです。)
「僕とナナはいきなり小、中、高等部の卒業資格をもらいました。」
「「…………………」」
(まさかの話に、言葉を失っている。ちょっとおもしろいかも。)
「それで、学園長にいきなり大学に入学するように言われました。僕は小等部から入学したい事を伝えましたが、二人には不要と言われました。」
「「…………………」」
(まだ、呆けている両親。)
「お父様、お母様。僕の話を聞いていますか?」
「あ、………え?なんだとーーー!」
「ハッ、ヒカルその話は本当なの?」
「はい。そうです。」
「まさか、まさかヒカルがそんな天才だったとは………いや、何となく頭のいい息子だとは思っていたが………よしっ!今日の夜はパーティーだ。」
「そ、そうね。早速呼べる人に連絡をしますわ。」
(へ?パーティーって。……家でこれだと、ナナの家はどうなってるんだ。)
その頃、ヒカルと同じく両親に報告をしていたナナは…………
「ですので、私は大学生になる事になりました。」
「おぉぉぉぉおぅ、さすが私の娘だ!よしっ、今日の夜はお祝いのパーティーをしよう。」
「あなた、でしたらヒカル君と合同でパーティーはいかがかしら?」
「それがいい。ついでにその時に二人の婚約発表もしよう。あっははははは。」
ナナは静かにお茶を飲んでいた。
今日のナナはなぜかいつもより大人しく感じたのは、夜のパーティーの時だった。
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