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いつか消えるその日まで  作者: 月兎
第一章
3/17

大きな木の下でまた何度でも 2



「ねぇ、お兄さん。お兄さんは……」



お兄さんは今何歳なの?なんて聞こうとしたけれど、聞けなかった。

これを聞いてしまったら、もう取り返しがつかないような気がしたのだ。

だから別のことをすぐに言おうとして考えたけれど、そんなすぐには思い付かず、焦ってつい自分の心の内側にある本音を聞いてしまった。



「あ……えっと、お、お兄さんはどんな人がタイプなの?」



言葉にしてしまった時にはもう遅く、エレナは自分が何を言ったのか理解した瞬間、一瞬まるで極寒の地に張る硬い氷のように固まった。

お兄さんはそんなエレナの様子に全く気付かない様子で何を恥じることなく普通に言った。



「タイプ……か。あんまり考えたことなかったな。でも君みたいに元気で明るい子は好きだよ」



なんてさらっと恥ずかしいセリフを照れる素振りもせずに言うのがこの男だ。



「あ、ありがとう……」



だから逆にこっちが照れてしまう。


お兄さんのこういう行動はいつものことだ。さらっと恥ずかしげもなく言ったり、普通に頭を撫でてきたり……こういう無自覚な行動に今まで何人の女性が虜になってきたのだろうか。

そんなことを考えた瞬間、私は自分の心臓を誰かにぎゅうっと締め付けられるような感覚に陥った。


お兄さんのことは昔からずっと好き。私が落ち込んでいる時は何も言わずに側にいて、優しく頭を撫でてくれるから。そういう優しさが好き。

でも、今の私のお兄さんに対する気持ちは本当に昔の好きのままなのかな……?

この気持ちは2人が言うように恋、なのかな……?


この時の私は自分の気持ちが恋なのかどうかまだよくはっきりしていなかった。

だけど友達に話を聞いてもらったりしていくうちにこれが恋なのだと知ったのだ。


恋なのだと知って私の心の内側が暖かくなったのを感じた、と同時にもの哀しくも感じた。

お兄さんは私のことを意識していないだろうから。

そもそもまだ子どもだとすら思われている気がする。

自分の中ではもう大人の領域に踏み込んでいる気がしていたが、大人にとって、お兄さんにとって私はまだ子どもなのだろう。



「あーぁ、早くお兄さんみたいに大人になりたいなぁ」


「大人になったら何かやりたいことでもあるの?」


「そういうのじゃないんだけど……お、お兄さんと対等になりたい……かな?」



恥ずかしくなって少し頬を赤らめて照れながら言った。



「今はそう思わなくても、対等どころかいつか君は僕のことを追い越すだろうよ」



私が何に照れているのかすら気付かないとは思っていたけれど、まさかこういう返しをされるとは思っていなかった。

それに何を言っているのか正直よく分からなくて戸惑ったけれど、それよりもなんだかお兄さんが寂しそうな顔をするから、優しく抱きしめてあげたくなった。



「お兄さん、私はお兄さんが何を抱えているのか知らないけど、お兄さんが私と一緒にいる限り私はお兄さんの側にいるよ!」



抱きしめる勇気なんてないけれど、お兄さんにはずっと笑っていてほしいの。



「ありがとう。君は本当に優しい子だね」



そう言ってお兄さんは優しくそっと私の頭を撫でた。

やっぱり子供扱い。そう思ったけど、お兄さんが笑ってくれるのならそれでいいやって思った。



そして月日は経ち、4年の歳月が流れた。

現在高校2年生、夏。



読んで頂きありがとうございます!

第2話目です!

今回の話はエレナが恋に目覚める話ですね(´▽`)

暑い日が続いているので、熱中症には気を付けてくださいね╭( ・ㅂ・)و ̑̑

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