50メートル走
障害物競走が終わり、プログラムは私たちが出る50メートル走に。
「走者は、入場門の前に…」
そんな放送を聞きながら、愛実と入場門の前に順番ごとに並ぶ。
「あ、あれ、愛実って私と同じ番…?」
「え!リハーサルあったじゃぁん!」
「自分の番号とコースだけ覚えてそれっきり関心ないな」
うわ…ないわぁ…。なんて呟く愛実。
運動は一定の競技以外はできる方だから一位取れると思ったけど…強いと有名な外周しまくってるバドミントン部の橋谷愛実さんがいるなら話は別だなぁ…。
え、私?私はバスケ部ですが?先生が出張で全然いないから遊んだり休みありまくりで有名なバスケ部ですが何かァ!
「バド部怖いぃ!」
「おいごらドリブルで走りまくって一年のくせにレギュラー入りしてるてめぇが言うな」
「愛実ちゃんお口悪いっ!!」
「静かにっ!」
私達も、周りも、教師の一声で静かになる。
あー怖。
「それでは入場に…」
その放送で50メートル走に出る一年生は入場し、位置に並ぶ。
「位置について、よーい…」
パンっ!と音がなり、本日二回目の火薬の匂い。臭い。
一番目の走者は、最後…十番目の走者の私たちを置いて、コースをなぞって走り出した。
「てかなんで私達最後なの」
「ランダムでしょどーせ」
ランダム…!?そんな言葉で順番を決めやがったのかっ!?
教師…恐るべし。
二、三、四…次々に走り出していく走者たち。
「うっ…お腹痛いぃ!」
「人前に出るのほんと嫌だよね、響。でもそんな目立つ髪型してるから自業自得でしょ」
「目立たないわ!ストレートにポニーテールしてるだけ!」
「髪の毛の長さが太ももの上までの普通の人がこの時代にいるもんですか」
切ろうと思うんだけどさ…いやいじるの楽しいんだよ長いと!
「でも知ってる?響。アンタ、髪の毛長い子で有名だよ、学年で。あと一部の先輩。」
「嘘…恐るべし情報網…!!」
「あ、次だ、私達の番」
あぁ…あぁああ……お腹痛いよぉ。
「位置について、よぉーい…」
先生、その引き金を引くのやめません?
パンっ!
私の願いを無視し、先生は引き金を引いた。
こうなったら走るしかない。
いつも通りに、まっすぐ、負けないように。息を整えつつ、目に見えるゴールテープを目指す。
とうとうテープの目の前。finishと書いてあるゴールテープを、私は___
____走り抜けた。
「…ハァっ」
いや50メートルだしそんな疲れてねぇけどな!?
一人で突っ込んでると、案内役に一位の場所に連行される。
連行された時に愛実がゴール。その後他の人も続いてゴールしていった。
「…っちょ、響早っ!50メートル何秒よ!?」
「6.98」
「チートだっ!!」
私8.21秒なんだけど!?と、聞いてもいないことを言う愛実。
「もう…響は黙ってニコニコしてればモテモテハイスペックなのに」
「それが出来ないから三次元にハイスペックはいないんだな」
「だよねぇ…」