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一目惚れ。
中学生になって、生活に慣れてきた頃、体育祭が近づいてきて、学校中が種目練習に励んでいる。
そんな中私は、ふとすれ違った三年生の先輩に、俗に言う“一目惚れ”をしてしまった。
元々恋なんて興味がなくて、好きな人が出来てもいつの間にか好きじゃなくて、なんて面白くもないことの繰り返しだった。
ただ、そのすれ違った先輩が好きなアニメキャラに似ていただけ。
それだけ、とずっと言い聞かせても、どうも頭から離れない。
どうやら私は、謎の恋の病にでもかかってしまったようだ。
でも私は少女漫画のヒロインじゃない。
その先輩と偶然会ったりして連絡先を交換、なんて話絶対にないわけだ。
ましてや向こうから興味を持たれている、なんてことこの厳しい現実世界じゃありえない。
だから、言い聞かせるようにしてすれ違った先輩のことは忘れて、アニメを見てた。
テレビに映るアニメに好きなキャラが出る度、先輩を思い出してしまうのを自分に隠しながら。