僕にはわからなかった
あの子は言った
怖い、辛い、悲しいと
あの子は言った
皆が私を嫌ってると
あの子は言った
視線が怖い
あの子は言った
無視されるのが辛い
あの子は言った
誰からも相手にされないのが悲しい
僕は何も言わずに背を向ける
「待って おいていかないで」
あの子の声が聞こえた
「独りにしないで」
どうやら泣いているらしい
でも、あの子がどうしてそんなに必死なのか
僕にはわからなかった
あの子の怖さも
あの子の辛さも
あの子の悲しさも
僕にはわからない
現実を受け入れなかった
向き合おうとしなかった僕には
何もわからなかった