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マローネ!!  作者: 桜本 結芽
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第8章 突然の再会そして戦争へ

 俺達はイーモンを見送った後しばらく立ち尽くしていたのだが数分が経った頃アシャストスが近付き、

 『イーモンは無事神々の元へと逝くことが出来た、お前はこれから修行をして彼の遺志を継ぎ異世界間戦争を収めるのだ』

 そう言って俺の腕に口を当てるとすぐに離し、

 『先ほど話していた通りお前は魔力の高い神の御子だ、その自覚をもって訓練に励みなさい』

 見つめられながらそう言われた俺は真剣な表情で頷くと彼は満足気に頷き、

 『それでは始めるが、気を抜くでないぞ‼』

 と微笑みながら言うと宙に浮いて角から音波を出して攻撃をし、木刀を上げてさらに魔法を使い防ぐ訓練と心を瞬時につなぐ訓練を最初の一週間程続け、その後地上戦では難なくこなせるようになったころにアシャストスはとても嬉しそうに微笑むと、

 『今日からはセラフィナに乗って私と戦いなさい‼』

 そう言われセラフィナに乗って瞬時に心の中へ入り彼女が飛ぶと、空中での戦闘になれるためアシャストスと飛び続け、その訓練は二週間かかったのだがそれでも次第に上達していき地上にいる間は体力をつけるため腹筋などの訓練をして、ひと月もすると俺達はアシャストスに勝つようになっていて朝方起きた時彼に呼ばれたので行くと彼は目を合わせながら、

 『マモル、私が君に教えられる事はもうない、これで私の役目は終わりだ……だがこれで全ての訓練が終わったと思うな、君はまだ強くなるんだそれを頭に置いてこれからも訓練を続けなさい……いいね?』

 と真剣な面持ちで言った後モヤと共に消えていき俺はその後も彼の言葉を心に置き自分で訓練を続け、ある時森の中に気配を感じて不審に思い行ってみると、そこには一人の少年が怯えながらこちらへ歩いて来ていたので俺はため息をついて少年に近づき、

 「おい、ここで何をしているんだ?」

 そう尋ねると少年は心底驚いたように叫んで頭を隠すようにしゃがんだ後恐る恐る顔を上げると俺を確認してから安心したように、

 「お、おばけかと思った……でもそういう君こそどうしてここにいるの? 僕みたいに迷ったとか?」

 と尋ね返されたのだが無視してコロニを呼ぶとしばらくして現れた彼らに山のふもとまで送るように説得していると少年に服を引っ張られ彼はさらに不思議そうな顔で、

 「ねぇ、誰と話しているの?」

 そう聞かれ一瞬固まった後コロニに問うような目線を送るが、彼らはサラッと普通の人には見えないことを言われ、諦めたようにため息をつくと少年と目線を合わせるようにしゃがみ、

 「この森は獣や君達とは違うモノ達がいてとても危険なんだからもう入って来るなよ? 今日は俺がふもとまで送ってやるからな」

 と言うと少年は少し表情を固めて頷くと俺は頭を撫でてやり山の出口まで送ると、手を振り街の中へと入るまで見送った後突然目眩がして、近くの木にもたれかかった瞬間嫌な気配がして頭上を見上げると空が暗くなっていき真っ二つに割れると、驚愕のあまり言葉が出ずに茫然としていると空の割れ目から複数の気配を感じ視線を下げると、ちょうど街の手前に俺が通っていた学校の生徒や教師が現れ、彼等は混乱して騒いでいたのだがその中に友人の晴登を見つけ、急いでセラフィナを呼び飛び立って彼の近くまで飛んで行くと、

 「晴登‼」

 そう彼の名前を呼んで目の前で降りると彼は驚いた顔で俺を凝視した後信じられないといった様子で、

 「お前……守か!? なんでお前がここに? っていうかここはどこなんだ⁈」

 と捲し立てるように尋ねられたのだが俺も混乱していたので、

 「それは俺の台詞だ! どうやってこの世界に来たんだよ? しかもこんな大人数なんか俺もさすがに無理がありすぎ……」 

 そう言っている途中横から音波攻撃がおそってくる事に気付き咄嗟に魔法で壁を作って防ぐと、恐怖で叫ぶ生徒達を無視してセラフィナに小声で、

 「晴登達を頼む、サキは俺がなんとかするから」

 と言うと木刀を手に持ち歩き出すとサキの前で止まり、

 「俺がいた世界の人達を連れてきたのは王国の連中か?」

 そう自分でも驚くほど冷静に尋ねると彼は不敵な笑みを浮かべながら、

 「ああ、40人ほど魔力を使い切って死んじまったけど60人は残ってよかったと思ってるよ、それにしても……強くなったんじゃないか!? 僕の魔法を止める壁を魔力で作るなんて、お前に出来るとは考えもしなかった‼」

 と小ばかにしたように言うと剣を構えたので俺も木刀を構えるが、分が悪い事は変わらないことを考えていると頭上で、

 「我がひ孫よこの剣を使いな‼」

 と声が聞こえたと思えば目の前に鞘に収まった剣が浮いていたので一瞬驚いたのだが、俺は咄嗟にその剣を掴み鞘を抜いて構えるとなぜかしっくりと手になじむのでさらに驚いているとまた頭上で、

 「その剣で早く戦いな!」

 そう言われ我に返った俺はサキを睨みつけ走り出すと彼は舌打ちをして剣を受け、跳ね返された俺は5メートルほど飛び回転してから着地するとまたかかって行き、何合か切り結んでいるとサキが息を切らせ動きが鈍くなっていたので俺は力を抜き、前のめりに体制を崩したサキに切りかかるが突然風が吹き後ずさると先ほどまで目の前にいた彼が消え、次に少し遠くの方に気を失いぐったりとするサキを肩に抱えフードを目深に被っている人物が現れ、呆然とする俺にそいつが浅く一礼してから、

 「今はここまでと致しましょう……のちに、戦う事が出来ますので」

 と言ってまた激し風を起こし消えていくと完全に気配が途切れるまで待った後、上からほうきに乗った若い女性が降りて来て、

 「よくやったよ! さすがは私のひ孫だな‼」

 そう嬉しそうに言われた俺は少し驚いたがすぐに、

 「さっきはありがとうございます、あの、この剣は……俺を選んだんですよね? 手になじむし俺を呼んでいる気がします……」

 と剣を見つめながら言うと彼女はまた嬉しそうに微笑むと俺の背中を何度もかなり強く叩きながら、

 「そうだよ、やるじゃないか‼ 私の義理の息子はちゃんと教えたんだね、で? そのイーモンはどこへ行ったんだい?」

 と尋ねられたので俺は俯いて彼が神の元へと逝った事やその経緯を説明すると、彼女は舌打ちをして怒りに満ちた面持ちで、

 「まったく、ディオパタ王は何を考えているんだい!? そんなに異世界の奴らと戦いたいのかね⁈」

 そう怒鳴るように言ってからため息をつくと俺に向き合い、

 「そんな事より、あのバカどもはどこへ行ったんだ⁈ それにお前さんも早いとこあの壁を消さないとぶっ倒れるよ⁇」

 顔を近づけて言われた俺は頷いて壁を消した途端、晴登が走って来て殴り掛かるので俺は避けると彼は怒ったような表情で、

 「てめぇ守! どういう事か最初から俺に分かるように説明しやがれ‼」

 と言われたのだが俺は嬉しくて以前のように肩を組むと、

 「はーると! 本当に久しぶりだな、元気だったか!?」

 微笑みながら言うと彼も一瞬泣きそうになったのだが俺の肩に腕を回し、

 「あったりまえだろ⁈ それよりお前はいつの間にか強くなりやがって! 今まで何があったのかちゃんと説明しろ‼」

 最後は目に涙を浮かべながらそう言っていて俺も泣きそうになったのだがぐっと堪え、夢の話から今に至る事まで全て話したのだが、始め信じていないような表情だった彼も辺りを見回し現実を悟ったのか顔を青ざめながら、

 「お、俺等……帰れるん……だよ、な?」

 そう怯えて自信なさげに聞かれた俺は微笑むと、

 「大丈夫! 俺がなんとかするから!」

 とガッツポーズをして安心させると女性を振り返り、

 「遅れてしまってすみません、あなたは魔女……ですよね? 名前を伺ってもいいですか?」

 そう真剣な面持ちで尋ねると彼女は一瞬驚いた後、

 「良く気付いたね、私の名はミシルアさ! あんたの曾祖母でナオの母親だよ」

 と嬉しそうに微笑んで名乗ると手を差し出したので俺は手を取って握手をして微笑み合うと、サキ達を追うためにずっと晴登に寄り添っていたセラフィナを呼び歩きかけたと同時に晴登が前に出て立ちふさがったので見やると、

 「な、なんで守がそのなんとか戦争に行かなくちゃいけないんだよ……? この前まで俺達と同じ高校生だったのに……」

 まだ納得のいかない様子でそう言われ困った顔で見つめているとミシルアがため息をつき、

 「全く、あんたは何も聞いていなかったのかい? 彼はこの国のライティアであんた達とは根本的に違う存在なんだ、それを早く理解しな‼」

 そうきつい言葉で言われた晴登が言い返そうとしたので俺が間に入り、

 「二人共落ち着いて! 今は喧嘩をしている場合じゃないんだから‼」

 と言うとミシルアはつんとして振り返り晴登には不機嫌そうに睨まれ、ため息をついているとまた目眩がしたのだが晴登が支えてくれて倒れずに済み、その瞬間王都で俺がいた世界の軍隊と思う人たちとアンチカ王国の兵士達が戦っていてそれを見た後意識が戻った俺はミシルアに真剣な表情で、

 「今、王都の兵士と異世界の兵士が戦っているみたいです……俺、行かないと……! ミシルアさんはここにいる人達をお願いします‼」

 頭を下げてそう言うとセラフィナの背中に乗りずっと遠くで聞いていた体育教師が歯を食いしばるような面持ちで、

 「どうして……中辻はまだ子供なのに、こんな……辛いことを……」

 そう悔しさが滲んだ声で言われたのだが俺は微笑んで、

 「それは、俺がマローネという責任を持つべき存在だからです」

 と言ってセラフィナと瞬時に心を繋ぐとミシルアに頷いてから王都へと向かい飛び立った。

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