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マローネ!!  作者: 桜本 結芽
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第6章 手配書と新たな決意

 城での一件が落ち着いた俺達は街へと戻るため街道を歩いていると、通り過ぎる人達がなぜだか避けて歩いている事に気付いて首を傾げていると、目の前に屈強そうな男が立ちはだると胸を張りながら、

 「おめぇらが手配書の奴らか? 弱っちそうだがマローネなんだよな……? それにあれだけの報奨金だ、どうやって王国に歯向かったんだ? 教えてくれねぇか⁈」

 そう言って豪快に笑っていたのだが俺はショックで立ち尽くしていると横でイーモンが、

 「なんだ、もう手配書が出回ってんのか、さすがにそういう仕事は早いな」

 と余裕で微笑んでいたので目の前に立つ男は額に青筋を浮かばせながら、

 「余裕ぶっこいてんじゃねぇよ! まずはこのじじぃからぶっ殺してやる……!」

 大声でそう言った後右腕を振り上げ殴り掛かろうとしたのだがイーモンは難なく避け、ホッと胸をなでおろしているとイーモンが俺に微笑みかけたその瞬間、おそってきた男は俺よりもはるかに弱いという事に気付いて、考えるよりも先に体を動かして静かに男の後ろに回るといつもより力を緩めて殴ると、

 「はぐぁ!」

 そう変な声を上げながら飛んで行って落ちた場所で気を失ってけいれんしながら倒れた男は、鼻血を出して倒れていので、俺は驚いた表情で男を見下ろしているとイーモンが俺の肩を嬉しそうに叩きながら、

 「よくやった! それでこそ俺の弟子だ‼」

 と豪快に笑いながらそう言っていると王都の方から鎧を着た大勢の騎士達が走って来る音がしたので、俺とイーモンは顔を見合わせて悪戯っぽく微笑むとその場から全力で走り出してその場を後にした。


 そして王都から逃げ出してから二週間ほどで俺達が暮らしていた街へと戻り中へ入るのだが、街の人達の視線が様変わりしている事に俺が驚いて目を丸くしていると目の前に市場の男性が一人歩いて来て、

 「悪いがこの街を出てってくれないか、あんた達のせいで俺等はサフォールどころか店も住む家も全部失っちまった……! それに手配書のせいでもう俺達はあんたを匿うことが出来ねぇ……あの山にでも行って住めばいいんだ、ほら早く出ていってくれ‼」

 男性は涙を流しながら言うとずっと黙っていたイーモンが肩を落としながら小さな声で、

 「そうか……」

 と呟くように言った後無理に作った笑顔で、

 「今まで迷惑かけちまってすまなかったな! ……ありがとよ」

 そう言うと振り返り無言で街の外へ続く道を歩いて行きそのまま街を出て山のふもとまで来ると、急に止まった事で俺が背中に顔をぶつけるがそれも気にしない様子で、

 「マモル、戦いが……異世界間戦争がとうとう始まるぞ……‼ 今日からはセラフィナに乗って戦う訓練をするから気を抜くんじゃねぇぞ! いいな?」

 と眼光鋭く言われ緊張しながら返事をする俺に気付いたイーモンが頭を撫でまわしながら、

 「そんなに気張らなくてもいいさ! お前には才能もあるし2、3日で習得できるから安心しろ!」

 笑顔でそう言われるがまだ自信が持てず俯いて黙り込む俺にイーモンは口を開きかけたとき横から、

 『己の心はその者にしか変える事は出来ない、マモルよ……自己の心を強くすることは己にしか出来ないのだ、たかが人間の言葉一つで揺らぐ決意など無きに等しい……それ程の決意ならば捨て去る事だ』

 そう俺達の心に伝えながらユニコーンは俺と目を合わせると目が離せなくなりずっと見つめていると、先ほどまで激しく波打っていた心が落ち着きとても静かな湖の中で耳をすませているような感覚になり、最後には燃え滾る炎のように決意を固めると真剣な表情でユニコーンに向き合い、

 「俺は、絶対に諦めない! 元いた世界の人達やこの世界にいるコロニやユニコーン達を守るために‼」

 右の拳を胸の前で固めながら言うとユニコーンは満足気に頷き、

 『よろしい、その意気込みで訓練に励みなさい』

 と言い残しまた白いモヤと共に消えると俺は頷いてイーモンに向き直り頭を下げると、

 「よろしくお願いします、師匠‼」

 大声でそう言うと彼はとても嬉しそうに微笑み、

 「おう、その意気だ! 共に頑張ろう‼ と、言いたいところだが……無理は禁物だ、今日は一日休んで明日から訓練をするから、覚悟しとけよ?」

 ニッと笑いながら言われたのだが正直燃え滾ってた俺は、渋々と返事をすると彼は苦笑しながら俺の後頭部を思いっきり叩くと、

 「俺はお前の身体を気遣ってるんだ! それに気付けバカ!」

 そう言うと豪快に笑い飛ばしながら山に入って行くので俺はため息をついてから返事をすると共に山に入って行き、手慣れた様子で野宿の支度をして山で狩った動物をさばいて夕食をつくりそれを食べた後はすぐに眠った。


 そしてその夜、俺は知らない建物の中にいてなぜか上から下へと見降ろしていて、その先ではフードを目深に被った百名ほどの人達が何重にも円になって魔法陣の上で呪文を唱えており、何かの儀式をしていると突然目の前が眩しいほど光りだしたその直後、俺は急降下していて次に見えたのは燃え盛る街の上でセラフィナに乗って飛んでいて視線を上げるとサキが自身のサフォールに乗っていて、不敵な笑みを浮かべた彼はサフォールに命令をして音波の魔法を唱えた次の瞬間、彼のサフォールが大きな口を開け音波を出すと防ぐ間もなく直撃して真っ逆さまに落下する途中、イーモンが誰かに胸を貫かれている光景が見え怒りの余り叫んでいると遠くから名前を呼ばれ、ふっと目を覚ますとイーモンが必死に俺の肩を揺すっていたので俺が目を覚ますとホッとした表情で息を吐くと手を離し、

 「大丈夫か? 眠ってしばらくするとうなされてすぐに叫び出すから慌てて起こしたが、嫌な夢でも見たのか……?」

 と心配そうに尋ねられたのだがまだ跳ねるように心臓が鳴っていた俺は放心状態のまま、

 (ゆ、夢……? でも、この世界に来る前にも似たような夢を見た……それにあの儀式は何のためにしていたんだ? それよりどうしてイーモンが……死んで……)

 などと考えていると突然イーモンが俺の頬を両手で挟むと真剣な面持ちで、

 「マモル、俺達ライティアは時に予知夢を見ることがあるんだ、だから今見た夢の内容を全部話せ‼」

 そう言われたので俺は不安な思いで頷いてから今見た夢の内容を全てを話した後、アンチカ王国に来る前に見た夢の事も話すと、イーモンは黙り込み考え出してしばらくすると意を決した面持ちで足を叩き、

 「よし! もう朝になった事だし、朝飯を食って訓練を始めるぞ‼」

 と言って立ち上がると俺に手を差し出し立たせてくれて微笑むと先を歩いて行って振り向くと、

 「なにしてんだ? さっさと始めるぞ!」

 そう大声で言われた俺は不安を打ち消すように首を振ってから声を張り上げて返事をすると前を行く背中を追うように歩き出した。

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