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嫁コレクション

「あぁ美しいよ真凛、君のことはボクの次に愛している。とても名誉なことだろう?」


 鏡に囲まれた部屋で、真凛は美しい花嫁衣裳を着せられ椅子に座らされていた。


「君の為に盛大な式をあげよう。ボクらを邪魔するものは何もない。行こうピリオドの向こう側に」

「…………」


 ナルシスが話しかけるが真凛からの反応は何もない。

 目に光を失った少女の頭の中には何度も何度もカルロスが死ぬシーンが再生され、モスキートの不気味な笑い声が響く。

 あまりにも強く死に触れ過ぎた為、脳がこれ以上の”傷”が増えないように心を閉ざしてしまっていたのだった。

 なにをしても無反応な真凛にナルシスは肩をすくめる。


「モスキート、これではただの人形じゃないか」


 何もない場所に語り掛けると、突如影が浮かび上がりローブ姿の男が実態を形づくる


「フヒヒヒ、予想以上にメンタルが弱かった、弱かったデース。無理やり起こせるが心壊れ、壊れヒャッヒャッヒャッヒャッヒャ」

「笑ってる場合じゃなくてだな。ふん、まぁいい時間はいくらでもある。ゆっくりとボク好みに調教してやるさ」


 そう言ってナルシスは鏡に自身の顔を映すと、恍惚な表情を浮かべる。


「やはり、ボクは美しい……」

「ヒャヒャヒャヒャ」

「何がおかしんだよ……それよりモスキート逃げた同盟軍はまだ捕まらないのか?」

「フヒヒヒ、追っても同じ、追っても死体、死体は塵」

「まぁ確かに同盟軍はもう死体と同じだが。汚名を被せ過ぎたせいで降伏もしてこないしな」

「降伏、死、降伏、死、誰でもワカール、ヒャヒャヒャヒャヒャ」

「お前の能力は優秀だけど、喋ると疲れる。もういい、後は適当にやってくれ」

「フヒヒヒヒヒヒ」


 モスキートは不気味な笑い声を残して、影の中へと溶けて行った。

 ナルシスはあれならまだカチャノフの方がマシだったかと、顔をしかめる。

 同盟軍との戦いはカルロスの死と、真凛が捕まったことにより実質的な終了を迎えていた。だが、ナルシスの策によって住民殺しの汚名を着せられた同盟軍は、負けだとわかっているのに投降せず逃げ回っていたのだった。

 その為、未だ戦争状態が解除されず、ナルシスが身動きとれない状態は続いていた。


「同盟軍みたいな集合体は頭潰しても勝ちにならないのが面倒だな。そうなると実質的なナンバー2を殺す必要があるな……確かリーダーの息子がナンバー2のはず。そいつを探し出して殺すか。だが戦争が長引いてそろそろ食料が怪しい。野盗でも使って当面の食料稼ぎでもしておくか」


 今や自分は英雄であり、誰も自分がこの地域の野盗を使って強奪行為をしているなんて思わないだろう。ナルシスとしても足の着く行為は避けたいところだったが、これがなかなかに美味しくて、今ではやめられなくなっている。

 たまに盗賊たちの持ってくるお宝の中にはロリンダ好みの少女や貴族のお宝も含まれているので、楽しみにさえしているほどだ。

 同盟軍の残党狩りは面倒だなと思いつつも、もはや勝利は確定しており、後は事後処理のみである。

 その後は自分の頬に傷を負わせた、なめた真似をしてくれた奴を探し出して八つ裂きにする。

 それですべて終わりである。名誉も女も領地も手に入れた。完全勝利といっても過言ではないだろう。

 そして今度は教会を足掛かりにして西部地域にも進出し、いずれは世界を……。

 そう思いながら、ナルシスは物言わぬ人形と化した真凛の髪をすくい匂いをかぐ。


「全て終わったら、ボクらの新しい生活を始めようね……真凛」


 ナルシスの口元は高く吊り上がっていた。

 真凛の周りには、同じように花嫁衣裳を着せられた少女達の姿があった。

 しかし皆一様に目に光を失っている。

 真凛はこれからナルシスのお気に入りのコレクションとして時を過ごすことになるのだった。

過激表現の修正を行っています。


前後の文がおかしくなっている可能性があります。

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