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GM

「悪いね、僕はリチャード。君がEXを四人も所持している王と聞いて、どんな凄い男なのだろうかと思い試してみたんだ」

「それでいきなりナイフ投げとか、どうかと思いますよ」

「EXを四人も連れてきているんだ。その程度で王が死んだら責任はEXにあると思わないか?」

「昔から殴られた奴が弱かったのが悪いって理論には賛同できません。どうやったって殴った方が悪い」

「ごもっともだ」


 クスクスとバカにしたような笑いをされて、なんじゃこいつはと思う。


「今日呼んだのは、一応王との面談という形で君たちの実力と資料に相違がないかを調べるのと、力の弱い王達へのアドバイスなんかを行っている。君のチャリオットは小規模ギルドをもう脱しそうなくらい人材には恵まれている。ただ領土が狭すぎて資源が大分苦しいんじゃないか?」


 リチャードは手にした資料に視線を落とした後、見透かした目を俺の方に向ける。

 こちらの情報は筒抜けらしい。


「苦しいのは間違いないですけど」

「君のところはEXの維持費はどうしてるんだい? 四人もいると毎月高額になるだろうし、普通ならそれだけで破算するから、そこは不思議に思っていたんだ」

「維持費? 食費とかは普通ですよ」

「いや、そうじゃなくてガチャから出てきたわけじゃないEXなら契約費や防衛費、戦闘したらファイトマネーを要求してきたりするだろ? さすがにEX四人ともガチャから出てきたわけじゃないんだろ?」


 確かにガチャから出てきたEXはソフィーだけだ。

 ガチャからでてくる戦士は最初にちゃんとした契約をしてから召喚されるので、強制的に言うことをきかせるコマンドが使用できる。その為、裏切ることは少ない。

 しかしディーやエーリカたちのようなスカウトでチャリオットに入れた場合は、ちゃんと契約しなければ、コマンドを使用することができず、後からいくらでも報酬をふっかけることができる。

 それは乾チャリオットに入った三人の偽ディーで確認した。

 王はEXとちゃんとした契約を結びたがるが、EXは報酬をふっかけられるので曖昧な口約束だけにしたがるものが多いことも知っている。

 だがウチはディーもエーリカも、レイランもちゃんと契約をしているのでコマンドは使える。

 使う気はさらさらないが、彼女達が敵に操られた場合などを想定すれば、ちゃんとした契約を結ぶことにこしたことはない。


「もしかして本当に渡してないのか? ……いや、とれるほど国庫がないのかな。もしかしてローンや借金なんかしてたりしないか?」

「そんなものはないが。そもそも金を貸してもらえるだけの信用が銀行にないです」

「そりゃそうだ。それでよく忠誠が維持できるね。失礼だがステータスの忠誠欄だけ見させてもらっていいだろうか?」


 言われて俺はスマホにステータスを表示させてリチャードに見せる。


「高いな……これは素直に驚いたよ。EXやSRのような能力の高い人物は、その分見合った対価を支払わないと、どんどん忠誠値が落ちていくんだ。亡きバラン王やドロテア王、赤月のモルディナ提督なんかはその点を持ち前のカリスマや統率力で維持しているんだ。弱小の王でもEXを保持している王は何人か知っているが、手離そうか考えていると言ってる王が多い」


 そんなことがあったのか。ウチは報酬なんて個別で支払ったこと一度もないから知らなかった。


「僕はEXのような強力な力をもつ人間は、力のある王にしっかりと管理されるべきだと思っている。どうだい君たちさえよければ僕が責任を持って強い王に斡旋してあげるが?」


 唐突にディーたちに話題をふるリチャード。

 いきなり何言いだすんだコイツは。そりゃウチより待遇のいい王の方がいいに決まってるだろう。

 ほんとそういう勧誘やめてください。

 だが予想に反してウチのEX陣の反応は悪い。


「いきなり人の顔面にナイフ投げるような、常識なしの紹介を受けるとでも思ったカ?」

「そうです! 神も言っています。お前は胡散臭いと!」

「本機はマスターの命令以外では動きません」

「というわけだ。私達を扱えるのは王だけだと思ってくれ」


 リチャードはふむふむと頷く。


「なんとなく君がハーレム王なんて名前で呼ばれる意味がわかるよ。そうか表面的な浅い繋がりではなく、もっと深いところで繋がっているということか」

「何をわけのわからんこと言ってるね! このヒゲは!!」

「ほほほんとに耄碌しるんじゃありません!!?」

「あまりいい加減なことを言わないでもらいたい」

「理解不能です!」


 なんで君らそんな早口で声でかいの?


「ククク、いや面白い仲間だと思う。良いEXに恵まれてると思うよ」

「それはどうも」

「面白いことを一つ教えよう。これは見たことあるかい?」


 リチャードが机の上に紋章の入った赤い結晶石を置く。それに俺は見覚えがあった。


「七曜の結晶石!?」

「そう、EXレアのキャラクターが二人以上配属されているチャリオットの領に、ボスモンスターと一緒にポップするんだよ」

「てことは、あの裏山に出たゴーレムは」

「心当たりがあるみたいだね。さも偶然みたいに置いてあったかもしれないが、あれはそういうものだ」

「ん? でも一個足りなかったんだが」


 見つけた時、確か日月火水木金と石が並んでいたが土の結晶石だけはなかった。


「どれがなくなっているかはランダムだが、六つの石の主を全て見つけると七つ目が現れるんだよ。実際は全部の持ち主を見つけた人は過去に一人しかいないんだよね」

「つまりEXを複数人持ってる王の元にこの石は現れるってことなんだろ?」

「そういうことだ」

「ドロテア王なんかは早くに揃えてそうだから、全部の持ち主見つけてそうなんだが」

「あまり結晶石を揃えることに興味がないみたいだからね。それに七つ揃えても能力が上がったり、自軍が強化されるわけじゃない」

「なんだそりゃ意味ないのか」

「ああ、ただの趣味アイテムと言ってもいい」

「そのわりには強力な力を持っているみたいだが」

「強力でも持ち主がいなければ意味がない。それに結晶石の持ち主はこの大陸だけじゃなく、全世界、異世界までもを含めている。そんなの探す労力が無駄だと思わないかい?」


 確かに、ないもの探しをしているのと同じだ。


「なんでそんな話を今?」

「いや、君たち仲が良いから教えてあげようと思って。結晶石の本当の意味を」

「本当の意味……」


 リチャードは神妙な面持ちになり、両手を顔の前でくむ。

 なんだ一体何があるって言うんだ。


「この結晶石はね……」

「結晶石は……」

「実は……」

「実は?」

「……結婚石なんだよ」

「はぁ?」


 背後でカラスが鳴いた気がする。一気に気が抜けたぞ。


「結婚石?」

「そう、さっきも言ったけど、この石自体別にそろえたからと言って特別何かあるわけじゃない。ただ、ラインハルト法の特例で、七つの結晶石を集めし王は石の数だけ婿、嫁をとることを許すって法があってね」


 ほんとかよ? 心の底からどうでもいい法律作ってるな。

 と思ったが、あれあれなんかウチのEX陣の目の色が変わった気がする。


「それは本当アルか? 種族は!? 種族はどうなっている?」

「関係ないよ。亜人だろうがドラゴンだろうが嫁は嫁だ」

「し、神職者はどうなんです!? 神職の従事中は結婚を認められてないはずですが!?」

「特例で神職の職務従事中も結婚は認められている」

「なんて素晴らしい、ラインハルト法……」

「もう一つ面白いのだが、交配率の低い種族同士でも結晶石を揃えると、必ず子供を授かれるという話もある」


 ガタッとエーリカとレイランが立ち上がる。


「その話、詳しく」

「隠し立てしたら、そのヒゲそり落としてチョビヒゲにしてやるネ」

「言った通り、神からのご褒美ってやつさ。七つ揃えると結晶石に生命の力が宿り、ありえない交配でも種を残すことが出来る。それが例え融機人であろうとアンデッドであろうと」

「あ、赤ちゃん産めるネ……」


 エーリカとレイランは同時にお腹をさすった。

 融機人の異種族交配での出生率は絶望的と言われているし、アンデッドのレイランはそもそも死体から生命をはぐくむなんて生命的矛盾できるはずがなかった。

 それは良いニュースだと思ったが。


 お前ら……相手俺だぞ。わかってるのか……。


「お、王様、残ってる結晶石ってどれなんです?」

「えっ、闇と火と雷以外だから、水と風と光かな。それとまだ見つかってない七つ目」

「とりあえず、それ全部貸してください!」


 凄い剣幕のソフィーに、俺は残った全部の結晶石を手渡す。

 青、緑、白の石はソフィーが握ってもなんら変化は起きなかった。


「うー、なんで光らないんですかー」

「こればっかりはなぁ。でもこれ結局七人限定なんだろ?」


 俺は主要人物を指折り数える。

 闇がレイランで火がフレイア、雷がエーリカで残りは水、風、光の三つと、まだ見ぬ一つ。

 ウチの主要となっていて石に選ばれてないのがオリオン、ソフィー、ディー、クロエ。

 最近加入したとこで言えばアギやキュベレーにアデラ。この時点で既に人数オーバーである。

 石に選ばれない人間もいるわけで、これから先、仮に七つの結晶石の持ち主が見つかったとしても、その時にオリオンたちが選ばれず、新しく入って来た戦士ばかりが選ばれて、それで結婚ってなっても俺はしないと思う。

 勿論相手の意思を確認するのは大前提としてだが。

 そもそも結婚を七人でするって時点でいろいろ破綻しているだろう。

 結婚というのは本来一人を愛すると誓う為のものであって、七人と同時結婚なんてありえない。


「なんてこと考えてるんだろ君は」


 リチャードは完全に俺の思考を読み透かして言い当てて見せる。


「そ、そうだよ。悪いかよ」

「別に悪くはないけど、古いよね」


 古いと言う言葉が刃物になり、俺の背中にグサリと突き刺さった。

 まさか俺より年上のおっさんに古いと言われるとは。


「君は周りにいる女の子たち嫌いなの?」

「き、嫌いじゃないし、好きだよ」


 何言わせるんだ。


「じゃあ別に問題ないでしょ。法律でもOKでてるんだから」


 なにこの悪魔の囁き。


「いや、そんな結晶石に選ばれたから結婚とかはおかしい」

「だってそういうアイテムだからね、これは。まぁ君が心配しているであろう、君の意中の人が石に選ばれなかった場合の対処法だが。君の持っている端末から所持アイテム一覧を開いて、その下にある項目を押してみな」

「所持一覧に?」


 そんなところに項目なんてあったっけなと思ったが、ばっちり交換アイテムと書かれた項目が存在した。


「交換?」


 項目をタップすると、召喚石と交換でお金や資源が得られるようになっているようだった。

 ただしそれは全て戦争中に限ると注意書きがされている。

 更にページをスクロールさせていくと、結婚石と書かれた項目が存在した。

 無色の結晶石と呼ばれる交換アイテムと引き換えに結婚石を得られる仕組みになっているようだ。


「おい、見たことない騎士とか、影とか鬼とか獣とか月とかいっぱいあんぞ」

「それ実績っていうシステムで、戦争して勝ったら貰えるアイテムの一つなんだよね。でも、実際交換してみないとその結婚石が使えるかどうかわからなくて、不人気アイテムの一つなんだよね」


 なにそれ、もし仮にソフィーにこの結婚石をやっても、持ち主じゃなかったら意味ないってことなのか。

 さらにページをスクロールさせていくと、この無色の結晶石他にも交換先があり、どう考えても使えるかどうかわからない結婚石と交換するより、別のものに交換した方が有意義なようだ。


「だから超不人気アイテムとして有名でね」

「そりゃ交換して使えなかったら誰だって怒るだろ。これ交換したら、さすがに王として怒られるわ」


 そう言うが、周りのEXたちは試しに一個交換してみたら? なんて言い出す始末。


「おいおい、そんなこと財務大臣のディーさんが許さないぞ」

「私はこの騎士の石が気になります」


 うっそだろオイ。

 ディーさん意外と乗り気?


「冗談です」

「びっくりした。まさかディーがそんなこと言うわけないもんな」

「しかし、EXレアのモチベーションが上がるというのなら、費用対効果を考えるべきです」

「う……うむ、そうなの……かな?」


 い、いらんだろーって思ってるんだが、らんらんと目を輝かせているソフィーを見るとなんとも言えない気分になる。

 これ交換して持ち主じゃなかったら目もあてられないぞ。

 それに大体ラインハルト法の七人って言うのは七曜の石に選ばれる必要があるんじゃないのか?


「あぁ、別に七曜の石でも、そこから交換した結婚石でも、どっちでもいいから七人揃えたらいいんだよ。難易度的には同じだからね」


 変に融通きくんだな。


「それもし仮に七曜の石の持ち主七人見つかった後、こっちの交換石の持ち主も見つかったら七人以上になっちゃうんじゃないか?」

「大丈夫だよ。七人目以降の持ち主は発見され次第結婚ってことになってるから」

「それ相手が嫌がったらどうするんだ」

「嫌がる相手に石は光らない。つまり今光ってないのは好感度が足りてないだけって可能性もある。勿論それ以外の理由で光ったり光らなかったりもするけどね」


 石が光るにはそんな条件もあったのか。

 ん? てことは実はフレイアは……俺のこと。

 本人にそんなこと言ったら殺されるので口が裂けても言わないが。


「私は好感度たりてますよ?」


 ソフィーは軽く小首を傾げながらこちらを見る。それどういう意味かわかってんのかな?

 「くるっくー」と鳩のように首を傾けるソフィー ……わかってねぇだろうな。


「ただ一つ条件があってね。見ての通り、無色の結晶石を揃えるのと、城主ランクを上げなきゃならないんだよ」

「城主ランク?」

「そっ、君まだまともに戦争したことないでしょ?」

「ええ、必要とも思ってないので」

「結婚するには何度か戦争し、勝って大規模チャリオットと認められなければならない。まぁ無色の結晶石がほしければ戦争するしかないんだけどね」

「なんかいろいろ条件厳しいな」

「これはやり込み要素みたいなものだからね」

「やり込み?」

「おっと失礼。大前提はこの世界で一番になることだが、その副産物として美人の嫁が手に入る。少しはモチベ上がったかい?」

「いや、とくには……」

「上がりました」

「本機の次の目標が設定されました」

「やることないから手伝ってやるネ。感謝するよろし」


 EXのモチベは上がったらしい。


「東は特に小さい王が多いからね、石の数は稼ぎやすいと思うよ」

「その分恨み買うことになるでしょう」

「ドロテア王を相手にしなきゃならない、ってなるよりよっぽどいいだろ」


 そりゃそうなんだが。


「これを渡しておこう」


 そう言ってリチャードは何枚かの資料を俺に手渡す。

 そこには王の名前と城の住所が書かれており、規模と兵の数が記載されていた。


「ウチが管理しているチャリオットの詳細情報だ。君の端末からでも見れる情報だから、大したものではないが、僕なりに君と相性の良さそうな王を見繕ってる」

「これを参考にしながら戦争しろと……」

「そっ」

「どうにも戦争させたがってるみたいだが、その理由はなんなんです?」

「理由はいくつかあるが、一つは単純に王が増えすぎている。王の転移回数が多くて、ウチで把握している数より多く、この大陸には王がいる。正直雑魚王が増えたところで情勢が不安定化するだけだし、弱い王は城に頼ってくる。ラインハルトの資源も有限だ。そんな際限なく現れる難民みたいな王を受け入れてられないんだよ。しかし強い王が弱い王を受け入れていけば、この問題は解消される。二つ、最近この近くで魔神の存在が観測されている」

「魔神?」

「そう、災厄をもたらすもの魔神。他のモンスターとは一線を画す存在であり、街を一つ二つ滅ぼすだけでなく大陸全てを焦土にさせる力を持ったモンスターだ。それと同時に魔神を滅ぼす天使の存在も確認されている」

「天使までいるのか……。じゃあその天使に魔神を滅ぼしてもらえばいいんじゃないか?」

「天使と言えば聞こえはいいが、僕からしたら、あれもただのモンスターだよ。彼女達は魔神を滅ぼすことしか考えていない。辺りの人間や資源なんて関係なしに大魔法をぶっぱなす。残ったのは灰になった土地だけだ。その時に人間が滅んでようが関係ない。天使を味方と思ってはいけない」

「天使に魔神……」

「そう、でも年がら年中戦ってるこの大陸の人間に魔神と戦えって言っても、なかなか相手にしてもらえなくてね。報酬をつけて王に協力してもらってるんだけど。今魔神が現れてまともに機能してくれる王は恐らくいない。魔神と戦ってる隙に他国から攻められたらたまらないから」

「そんなの俺だって同じでしょ」

「いーや、君はやる。仲間が殺されたり帰る場所を失うってのは君は許せないタイプだろ?」


 リチャードの目は俺の心の奥底を見透かしているようで、正直気味が悪い。


「別に君だけを戦わせるわけじゃない。いざというときは城も戦うし、協力してくれる王もいるだろう。だから君にはできるだけ強くなってもらいたいんだよ。君も強くなって損はないだろ?」

「そりゃそうだけど」

「弱いままで生き残れるほど甘くはない。もし君がここで何もしなかったとしても、違う王が東側の統一に乗り出すだろう。その時君の城が襲われても戦争なんて必要ないなんて言っていられるかい?」

「…………」

「この世界は戦うよう仕向ける仕組みになっているんだ。あえて戦わずにすむというのなら……この世界の覇者になることだね」


 茶化すわけでもなくリチャードは真剣な面持ちで俺を見据える。


「…………」





「彼、戦うと思います?」


 勇咲がいなくなった部屋で、秘書であるマーガレットはザマス眼鏡のつるをもちあげながら窓の外を眺めるリチャードを見やる。


「やるだろ。もう戦争無しで維持できるほど彼らの領地は広くない。それに王より兵の方がやる気になってるみたいだったからね」


 リチャードはクツクツと笑みをこぼす。


「結婚石なんて嘘をつかれたとき吹きだしそうになりましたわ」

「面白かっただろ? でも実際にその効果もあるんだから僕の言ってることは間違いじゃない」

「七曜の結晶石。懐かしく感じましたわ」


 マーガレットは机に置かれた火結晶をとろうとして、落としてしまう。

 するとカチャンと安っぽい音をたてて結晶石は砕け散った。


「すみません」

「いいよ、捨てておいて。よくまぁそんな安物のレプリカで気づかれなかったものだ」

「七曜の結晶石。またの名を次元の石。王に相応しき伴侶が揃いし時、別世界を繋ぐ門となす」

「いわゆるゲームクリアってやつだよね。異世界から来た王以外には全く意味のない報酬だ。だからドロテアやモルディナのような元からこの世界にいる王にとってはゴミでしかない」

「かつて一度だけ七曜の石を全てを集めた王……リチャード・ラインハルト様」


 マーガレットはまるで我が子を送り出すような目で勇咲たちの後ろ姿を眺めているリチャードを見やる。


「僕は元の世界になんて興味ないからね。嫁とこの世界で暮らすのが一番だよ」


 そう言ってリチャードはマーガレットの腰を抱き寄せた。


「あっ……」


 リチャードのポケットには古びた携帯電話が今でも入っている。

 彼の携帯のディスプレイにはゲームマスター専用端末と表示されていた。


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