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愛する娘と一緒に来ちゃいました

 私は空に憧れていた。

 蒼い蒼い空。どこまでも澄んでいて、果てしなく広がる空が好きだった。

 だから、仕事の合間を縫って、ハングライダーに夢中になった。

 人一人だけでは、空は飛べない。

 それこそ、超能力とか魔法とかないと飛べないから。

 でも、ハングライダーなら……。

 そんな大層なものがなくても、ちょっとだけ、空に近づける。

 その感覚が大好きだった。


 いつしか、私は恋をして。

 あんだけ夢中になった仕事もやめて。

 そして……。


「うわああっ!! ユキちゃん、急ぐよっ!!」

「うん、いそぐー」

 ばたばたと身支度を整えて、私達は駆け出した。

 私は望月沙夜もちづきさや。27歳。

 数年前まで、バリバリのキャリアーウーマンでした。

 でも、結婚して……ユキちゃんという、可愛い子供ができました。

 今、ユキちゃんは3歳。……っていうか、子供って、こんなにパワフルなの!?

 私もね、マラソン大会の選手に選ばれるくらい体力に自信あったけど……それを上回るってどうよ?

 まあ、それはおいといて。

 これから、私達は買い物に出かける途中です。

 ちょこっと遠いけど、そのスーパーで凄いプライスダウン品があるのです!!

「ユキちゃん、今日は激安卵2パック、トイレットペーパー2パック、そして……」

「ユキちゃんのちょこーっ!!」

「そう、お徳用チョコレートも2パック買うよっ!! 頑張ろうねっ!!」

「がんばるー!!」

 その前に、まずはバスに乗らなくてはなりません!

 1時間に1本しかないバスだから、急がないとっ!!

「ママ、バス見えたー」

 なんですとっ!!

「ユキちゃん、走るよっ!」

「はーいっ!!」

 ユキちゃんの手を握って、走り出す。

 この曲がり角を越えれば、バス停は目の前っ!!


 の、はず……でした。


「………はぁ?」

 思わず声が漏れる。

「わー、ママ、ユキちゃん空飛んでるー」

「ユキちゃん、これは飛んでるじゃなくって……落ちてるぅーーー!!!」

 って、曲がり角を曲がったら、宙に浮いてて、遥か上空から落ちてるって、どういうことっ!!

 しかも下に見える大地が、明らかに馴染み深い日本国ではなく、宙に浮かんだ大陸やら、火山やら、変な鳥っぽい生き物やら見えるんですが、これは気のせいでしょうか?

 い、いや、そうじゃなくって。ももも、もしかして、これって噂の……。

「異世界トリップ、ですかぁーーっ!!」

「ですかー?」

 ユキちゃんは、こんな状況でもきゃっきゃと楽しんでいます。

 ママもね、きゃっきゃと楽しみたかったよ。

 こんな、今にも死にそうな状況でなければっ!!


「きああああああっ!!」

「きゃー楽しいね、ママー♪」

 地面に衝突する前に、私はなんとかユキちゃんを抱きしめることに成功。

 ただ、それで気が緩んだのか、そこで意識が飛んでしまいました。

 ふっと、途切れたというか、そこから記憶がないというか。


 っていうか、そこ重要でしょ、私っ!!

 とにかく、よくわからない異世界に私、来ちゃったみたいです。

 愛する子供も一緒に。

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