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第一幕 {プロローグ2}

でろりーぬが最近言うことを聞いてくれないのれす。

買った当初は従順な子だったのに……


公園でわんこと戯れてたら幼女たちが寄ってくるので一緒に遊んだりします。

冬なのに子供たちはいつでも元気だねぇ…その若さを分けてくださいな


あ、活動報告いろいろ書いていこうと思うのでたまに見てやってくださいな。



強い日の光を受け、誰に起こされるわけでもなく自然と目が覚めた。

どうやら昨日もらったボロい服のまま寝てしまっていたようだ。

よほど疲れていたのだろう、昨日のお昼寝過ぎに寝たはずなのに今はもう日が登りきっていた。

しかし、起きたのはいいが今後の予定をまったく知らされていない上、それをどこの誰に聞けばいいのかさえもわからないという状況だ。


仕方がないので誰か来るまで部屋を散策することにした。

昨日の時点では気が付かなかったが、この質素な部屋からはあまり想像できない綺麗な色と形をしたバラに似た造花が花瓶にさしてある。

少し気になったので手に取ると質感からやはりこのバラは造花であることがわかった。

持ち上げるとカランッとものが落ちるおとがしたので花瓶の中身を見てみると、シルバーの指輪が入っていた。

シンプルな指輪なのだが内側に小さく文字が刻印されている。

その数は大量で小さすぎて読むことはできないが、かなり精密な形で書かれている。

誰かが忘れていったものかもしれないので後で誰かに報告しようと回収しておく。


指輪を棚の上においた瞬間右にあるドアがゆっくりと開いた。

空いたドアから昨日部屋まで案内してくれたお兄さん2が、食事をトレイにのせ部屋にはいってくる。

放置されていたためガチムチなお兄さんでも来てくれただけで今はとても嬉かった。

指輪のこととか今後のこととか色々聞きたいことがあったため非常に助かる。


「おはよう、食事を運んできたから暖かいうちに是非食べてくれ」


顔の厳つさに似合わず滑らかで低音のいい声が部屋に響く。

雰囲気はさながら爽やかな男子だ。


「ありがとうございます。昨日からなにも食べてなくてお腹がペコペコで…助かります…」


お兄さん2は笑顔で頷きながら食事をテーブルの上に並べる。

冷めないうちに食べようと椅子に腰かけると向かいの席にお兄さん2も座る。


「失礼するよ。いいかな?」


と少し恥ずかしそうに頬をかきながらお兄さん2は座った。

印象は少し厳つい感じではあったが、対面して表情を感じ取ると寧ろその中に柔らかさのある不思議な人物だった。


「あー、どうぞ。一人で食べるのも寂しいものなので」


「ありがとう、君も聞きたいこととかあると思うし食べながら話しをしよう。

あ、オレの名前はエリック。

君の世話を頼まれたんだ、これからよろしくね」


「是非ともよろしくお願いします。

安部春臣といいます。

あーっと、こちらだと春臣の部分が名前になります」


「こちらこそ、世話なんて言ったけど俺も本業は見ての通り兵士だからあまり期待しないでね?」


爽やかに笑いながらエリックさんはそう言った。


「あ、そうだ。先ほどそこの花瓶のなかに指輪が落ちてたのですが…」


そういいながら席を立ち、先に拾った指輪をもってくる。

指輪をテーブルの上に置くとエリックさんは不思議そうな顔で首をかしげ、それを手に取った。

じっくりと見ているようだがそんなに珍しいものなのか。


「そんなところに指輪が?この部屋は作られてからあまり使われてないからそんなことはないと思うんだけど…

それにこれは内側に魔術の刻印が施してあるね。

専門じゃないけどそこそこ値の張るものだと思うけど。

ありがとう、とりあえず報告しておくよ」


エリックさんは不思議に指輪を胸のポケットにしまっい、春臣に顔を向ける。


「是非お願いします。あと、その…恥ずかしいんですけど、魔術刻印って言うのは…?」


「全然恥ずかしいことじゃないよ。

まぁ、あれだけの適正があって知らないのはびっくりだけどね。

魔術刻印って言うのは主に魔術を発動するときに使うんだけど、この指輪にはそれに使う文字がすべて刻まれているんだ。

で、全部刻まれているとどうなるかというと、簡単に言えば魔術の発動をより強力かつ速く発動することができるんだ。」


どうやらなかなかすごい物のようである。

しかしそんなものがあんなところに放置されていたのか謎である。


「さらにこれは見たところによると発動体としても使えるみたいだね。

あ、発動体って言うのは魔術を発動をサポートしてくれるものだよ」


「な、なるほど…要するになかなかいいものだということですね」


少し長くなりそうなので一回切る。


「まぁ、端的に言えばそういうことになるかな。

この指輪は一応報告しておくよ、ありがとね。」


エリックさんも長くなったのを察したのか話題を手早くきってくれた。


「エリックさんは魔術に詳しいみたいだけど、もしかして使えますか?」


「まぁ、使えないことは無いけれど才能が無くてね…努力はしたんだけどどうも剣のほうが才能があってさ…」


少し空気が悪くなったので、申し訳ない気がしたけれどなんと言っていいか分からずとりあえず食事に手をつけた。

トレイに乗っていたのはシチューとパン、それに水だった。

シチューをスプーンですくい口に運ぶが冷めており、薄味で雰囲気も相まって美味しいものではなかった。


「ま、まぁ、今は満足してるんだけどね」


エリックが気まずそうに変な方向を向き頭をかきながらこの雰囲気を打開してくれる。

中々いい人だなと思いながら、いろいろ聞く。

エリックさんはどうやら姫の近衛隊の所属らしく、どうやらエリートらしかった。

最初は魔術の勉強をしながら学者を目指していたようだが、どうも適性が無く父親が軍人ということもあり、剣術を学んだらしい。

剣術のほうは才能があったらしく鍛え始めるとすぐに力をつけて近衛の試験をパスしたらしい。


「あの、エリックさんにこんなこと頼むのもあれなんですけど…魔術、教えてくれませんか?」


エリックさんに聞いてみると、笑顔になり僕でよければと了承してくれた。

上手いこと魔術の勉強を手配できたので、うれしさのあまり何度も頭を下げた。


「あ、あと敬語はやめにしようよ。

これから一緒にいることも多くなるだろうし、堅苦しいのは好きじゃないしね。

僕は春臣と呼ばせてもらうよ?」


また恥ずかしそうに頬をかきながら言うエリックさん。

いや、エリックは窺うような目で見ているが、今までの仕草や言動から好感がもてる人物だということは十分理解できるものだった。


「是非っ!よろしく、エリック。」


その言葉を聞いたエリックはまたまた頬をかく。


「こちらこそよろしく。

はははっ、なんだか嬉しいよ、僕実は友達少ないからね…」


どうやらその仕草は恥ずかしさを紛らす癖なのだろう。

外見だけをみると、とても似合いそうには無いがその姿は妙に様になっていた。




ご飯を食べ終え、エリックの古着だという服を新しく獲得し着替え、とある部屋の前に着いた。

古着にしてはまだ新しいもののような服はなかなか仕立てのよいもので、目立つことなくしかしこの前のように笑いを誘うような服でもなかった。

エリックが扉を開け、俺に入るよう促すとすぐに扉を閉めてまるで逃げるかのように去った。


中を見渡すと伊藤君とリリエナ、それに知らない女性が三人いた。

三人とも美人でチープな言い方になってしまうがアイドルグループのように見えた。


一人は燃えるように赤く激しく短い髪に活発そうな表情に目は少し細く、鋭い眼力を放っているが全体的に愛嬌のあるまだ少女のような女の子。

全体的にしなやかそうで華奢な体をしているが、持っている武器が見た目のままではないぞと主張している。


二人目に緑色でロングストレートの髪の毛をしており、少したれ目な女性。

おっとりとした雰囲気が離れていても分かるほどだった。

さらに、ローブを着ているのだが一部の部分がすばらしい具合に盛り上がっており、男として非常に惹かれるものがある。


最後に金髪の女の子で、この子はまだ未成熟な体をしており、とても女性と呼べるような子ではないのだがこの中でも人一倍勝気な顔をしている。

目は少し釣り目気味で小生意気な悪魔という表現が正しく思えるような容姿だった。

見る人が違えば天使にも見えるような容姿ではあったが、少なくとも小悪魔のように感じたのである。


長い机の奥に伊藤君と巫女さんが並んで座っていて、伊藤君の左側に金髪の子。

右側の巫女さんのほうに緑色の髪の女性が座っており、その隣に赤髪の子が座っていた。


入室した際、全員から一度視線を向けられたがまったくといっていいほどほかの反応が無く、再び5人は会話に戻ってしまった。

会議というのもおこがましいほどにお粗末なものだったが、その内容が進むにつれ俺の存在は空気のように溶けていくようだった。

結局自己紹介もされぬまま椅子に座ることもなく部屋の隅で立って聞いていた。

内容は30日間で伊藤君を鍛えて、その後ここにいるメンバーで魔王を探し出し討伐の旅に出ることに決まった。

しかしびっくりするのは魔王が現れたという啓示があり、その魔王の姿が確認されていないのにも関わらず、王家秘蔵の召喚魔術システムが刻まれたあの祭壇で勇者召喚の儀を行ったようだ。


会議が終わった後、伊藤君たちが談笑してるのを尻目に部屋を出ると扉のところにエリックが申し訳なさそうに立っていた。


「さっきはごめんね、どうももう一人の勇者様が苦手でね…」


そういいながら申し訳なさそうにする彼に話を聞くところによると、勇者の従者として選ばれたものたちの中から一際美人の子達を選んだ上、周りの人間に対してかなり高圧的な態度をとっているようだ。

もともとのイメージではそのような感じはなかったのだが、ここに来て本当にまだ全然たっていないのに変わってしまったようだ。


「あー、伊藤君のことかな?なんか一寸俺が知ってる時とは違うなぁ…今の伊藤君は…」


伊藤君のことも気になるところだけれど今は自分のことが精一杯。

まず身の回りのことを済まそうと思う。


「エリック、予想通り魔王の討伐に向かうことになったんだけど、魔術の件今日からお願いできない?」


エリックには急ですまないとは思いつつも、旅立つときになって準備不足ですでは洒落にもならない事実だからな。


「全然いいよ!あ、そうそう春臣にこれを渡しておくよ」


胸ポケットを探り取り出したものは先ほどの指輪だった。


「どうも、よく分からないものらしくてね。処分してくれといわれたんだけどもったいないし春臣が使うだろうし渡しとくよ。」


そういいながら心なしか先ほどよりも綺麗になった指輪を受け取る。


「ありがとう、助かるよ。そうと決まればまず一般的な常識からぜひともご教授願います、エリック先生」


「こちらこそよろしく。さぁ、早速行こうか。まず見てほしいものがあるから先にそこに行こうか」



予定より早く完成ー。

誤字脱字報告、感想、評価、などなど幅広くお待ちしてますー

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